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ベトナムのオバマ… アメリカ戦争機構の再帰
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2016年6月 6日 マスコミに載らない海外記事
Finian CUNNINGHAM
2016年6月4日
バラク・オバマ大統領の“世界修学旅行”は、ベトナム、そして、日本の都市広島への“歴史的な”訪問の連続だった。彼は、71年前、アメリカが原子爆弾を投下し、少なくとも140,000人を殺した日本の都市を訪問する最初の現職大統領だ。
ベトナムの首都ハノイで、オバマは、ベトナムに対するおよそ300万人のベトナム人の命を奪った、アメリカによるベトナム戦争の終焉以来、過去50年間行われてきた禁輸であるアメリカ兵器禁輸の“歴史的”解除を発表した。
非公式的には、アジア歴訪はオバマの“修学”旅行と見なすことができる。ホワイト・ハウスでの二期目の任期がわずか数カ月しかない中、オバマの目的の一部は、歴史書の中に自分の席を作るため、一連の歴史的偉業とされるものを押し進め、更に将来たんまりもうけられる、世界を駆けめぐる有名講演者として、称賛を勝ち取っておこうというものだったのは明らかだ。
今年始め、この第44代大統領は、1928年にカルビン・クーリッジ大統領が訪問して以来、大げさに宣伝した“関係正常化”をうたって、社会主義キューバを訪問する初めてのアメリカ大統領となったが、アメリカ政府がこのカリブ海の島国に過去55年間科した禁輸はまだ終わっていない。
“画期的”というイメージをかきたてて、昨年、テヘランによる核兵器製造の狙いなるものを阻止する国際協定に調印することで、アメリカとイラン・イスラム共和国間の何十年もの冷戦を終わらせたともオバマは主張した。オバマの下での“歴史的”な政策の変化だという派手な宣伝にもかかわらず、核合意に定められている、貿易制裁のいかなる意味ある解除も、アメリカはいまだに実施していない。
とはいえオバマのベトナム・日本“修学旅行”は単なる虚栄心の強いイメージ作りではない。
ベトナムというアメリカ兵器新市場は、他が衰退している経済において、活力ある部門であるアメリカ軍需産業にとって天恵だ。この動きは、ベトナムへの最大の兵器輸出国ロシアに取って代わることを目指している。
北京の戦略的ライバルを困らせるべく、アメリカは南シナ海における軍事的存在を増強しているという合図も中国に送っている。ベトナムは、フィリピンとともに、資源豊富な海の島を巡って、中国と長年の領土紛争を抱えている。ベトナムを武装させるというタブーをなくして、アメリカは中国に対するこの紛争への介入をエスカレートしている。
アメリカ政府は今週、ベトナムとの軍事協定は、中国を巡る戦略的懸念が動機ではないと否定した。だが過去五年間、アメリカの好戦的“アジア基軸”を考えれば、そんなたわごとを真に受けるのはうすのろしかいない。
もし歴史的というのが、アメリカ外交政策における画期的な変化の先触れとなることを意味するのであれば、このような重要な進展は“歴史的”なものではない。
ベトナムでも日本でも、オバマ政権は、戦争や広島と長崎への原子爆弾投下に対する謝罪はしないことを事前に明らかにしていた。
ニューヨーク・タイムズは“ベトナムのオバマは、過去ではなく、将来に焦点を当てる”という見出しの記事で、大統領のベトナム訪問について予想した。
将来に焦点を当てるというのは、アメリカ兵器をベトナムに輸出し、ベトナムを甘言でだまして、中国に対する戦略的最前線にし、究極的に中国の経済力を妨げることを狙った、アジア-太平洋における貿易・投資連携協定(TIP)によって、アメリカ政府の貿易上の狙いを推進するのにベトナムを利用することに対する控えめな表現だ。
そしてアメリカ政府の観点からすれば、ベトナムとの過去を再検討するのを避けるのには十分な理由がある。そうすれば、前世紀中で最も犯罪的な戦争の一つに関する疑問を投げ掛けることになるからだ。
1960年から、1975年までの15年間に、アメリカは、ベトナムに、第二次世界大戦中に投下した総重量より多くの爆弾を投下したと推測されている。従軍記者経験が豊富なジョン・ピルガーは著書「Heroes」で、この期間に、アメリカがベトナムに対して行った荒廃と恐怖の最も痛ましい記述を書いている。
アメリカは、最初はフランスの植民地主義から、後に、アメリカによる代理支配からの独立のために戦っていた、基本的に農民の国家を消し去ったのだ。アメリカが“自由世界を共産主義の拡張から守る”などという考え方は、アメリカによる侵略に対するお笑いの口実だ。この口実は、法律的、あるいは道徳的に受け入れ難いだけではない。だが、ある程度政治的に受け入れられる口実になっていた。
ケネディ、ジョンソンとニクソンという三人の大統領のもとで遂行されたアメリカの対ベトナム戦争は、戦争犯罪の紛れもないカタログだ。ところが、今月始め、オバマ政権は、ニクソンの元国務長官ヘンリー・キッシンジャーに、アメリカ人民間人に与えられる最高の褒賞、ペンタゴンの“特別市民功労”勲章を授与した。
“通常”爆撃に加え、1961年から71年まで、アメリカ空軍は、ベトナムの田園中に、エージェント・オレンジを含む7600万リットルの枯れ葉剤を雨あられのごとく降り注いだ。ジョン・F・ケネディ大統領が開始した化学兵器使用は、その物質は“除草剤”だという身勝手な説明で“正当化された”。広大なジャングルと水田丸ごとの破壊が、住民も汚染していないかのような言い方だ。
今日に到るまでに、約400万人のベトナム人がアメリカが空爆で投下した毒物がひき起こした無数の癌や、グロテスクな出生異常の被害者になっていると見なされている。アメリカに帰国し、発癌効果の影響を受けたアメリカ人兵役経験者は、連邦裁判所で補償を受けたが、同じアメリカの裁判所が、ベトナム人被害者に対する同様の補償を拒否し続けている。
アメリカ-ベトナム関係の“将来”に焦点を当てた上記ニューヨーク・タイムズ記事は、アメリカの大量虐殺戦争が東南アジアの国にもたらした死亡者数や破壊については全く触れていない。記事が、アメリカ人兵役経験者に“絶えずつきまとう”ベトナムの“幽霊”にしか触れないことにはうんざりさせられる。
アメリカの桁はずれな犯行現場に立ち戻ったオバマにとって、自己陶酔的な唯一の関心事は、あらゆる破壊行為の中で“アメリカ国民がいかに苦しんだか”であるかのようだ。
吐き気を催すようなオーウェル風のねじれで、オバマの“歴史的”訪問に関するアメリカ・マスコミ報道は、アメリカ政府が関係の“完全な正常化”に進む前に、ベトナムが“人権実績”をいかに改善すべきかに焦点を絞っている。
極めて順調に動いているプロパガンダ装置として、アメリカ・マスコミが機能しているという証明がもし必要であれば、自国政府のベトナムでの戦争犯罪を歴史記録から誤魔化した連中の手口が、その機能に関する、反駁の余地ない証明だ。
アメリカに対するベトナムの勝利は、現代史における最も壮大な帝国主義者による戦争挑発の敗北の一つとして確かに傑出している。
現在のベトナム政府が、一体なぜ、オバマやアメリカの犯罪行為に迎合しなければならないのかは、実に気になる問題だ。明らかに、北の巨大な隣国中国に対する何世紀にもわたるライバル意識が、一体なぜベトナムが、今やアメリカと緊密にしているように見えるかという一つの要素だ。だが、アメリカの大量虐殺戦争の矢面にたたされた一般のベトナム国民が、薄気味悪い転向を決して喜んではいないのは確実だ。
“過去を水に流そう”という人々にとって、重要な考え方はこうだ。もしアメリカ政府が過去の犯罪に対して責任を負わず、もしアメリカ軍が大量虐殺行為をしても、許されるのであれば、不気味な結論は、アメリカ支配層自ら、そのような理不尽な犯罪や破壊を繰り返す許可証を与えていることになる。それは常習犯の行動と考え方だ。
日本への原子爆弾投下と同様、それに続く世界中での侵略戦争は、全て公式な反省のひとかけらも無しに行われた。これは、アメリカ戦争機構も、おべっか使いマスコミも皆、再び始める用意がすっかりできていることを、背筋も凍らせるほど彷彿とさせる。
ロシアと中国国境における、アメリカ軍事力の執拗な展開は、アメリカ戦争機構が自らを国際法を超越する、止めることができないものと考えていることから当然生じる厄介な結果だ。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/06/04/obama-in-vietnam-us-war-machine-returns.html
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