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RIMPACに米軍は中国軍を招待、中国の艦隊が参加するというが、南シナ海で米軍は挑発を続ける
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201606040001/
2016.06.05 04:19:41 櫻井ジャーナル
アメリカ海軍太平洋艦隊が行う演習RIMPACに中国海軍はミサイル駆逐艦やミサイル・フリゲート艦を含む艦隊を派遣するという。南シナ海で両国は対立、軍事的な緊張を高めているが、自制心は働いているということだろう。
しかし、アメリカと中国は南シナ海で対立していることも事実。南シナ海はアメリカ支配層の戦略上、重要な場所にある。
つまり、中国が進めている「一帯一路(シルク・ロード経済ベルトと21世紀海のシルク・ロード)」で海上ルートが始まる場所であり、イギリス地理学者、ハルフォード・マッキンダーが1904年に公表、恐らく今でもアングロ・サクソンの基本戦略である「ハートランド理論」で最終ターゲットのロシアを締め上げる「内部三日月帯」に含まれている。
この三日月帯は西ヨーロッパ、パレスチナ(1948年にイスラエル建国を宣言)、サウジアラビア(サウード家のアラビアを意味するサウジアラビアが登場するのは1932年)、インド、東南アジア諸国、朝鮮半島/日本をつなぐ。
また、南シナ海を押さえれば、アメリカが言うところの「東アジア版NATO」で中核になる日本、ベトナム、フィリピンを寸断できると中国は考えているだろう。逆に、アメリカもここを押さえれば中国の戦略にダメージを与えられると思っているはずだ。
5月10日にアメリカ海軍は駆逐艦ウィリアム・P・ローレンスを南沙諸島に派遣、永暑礁から12海里(22キロメートル)以内を航行して中国を刺激した。今年1月には駆逐艦カーティス・ウィルバーを西沙諸島へ派遣、やはり12海里の内側を航行させ、昨年10月27日には駆逐艦ラッセンを南沙諸島へ送り込んで12海里の内側を航行させている。好戦派のジョン・マケイン上院議員などは中国をRIMPACに招待するなと言っていた。
南沙諸島や西沙初頭は領有権が問題になっている地域で、軍事的に不安定。そうした場所に軍艦を送り込む意味をアメリカ側も十分に承知した上での行動のはずで、挑発と言わざるをえない。5月の場合、中国軍は2機の戦闘機と3隻の軍艦を派遣したという。中国は南シナ海にADIZ(防空識別圏)を設定するという情報も流れている。
アメリカでは親イスラエル派が多額の資金を政治家へばらまいているが、その中でも有名な富豪が民主党担当のハイム・サバンや共和党担当のシェルドン・アデルソン。日本の政治家はアデルソンとの関係があり、2013年11月には自民党の幹事長代行だった細田博之に対してプレゼンテーションを行い、東京の台場エリアで複合リゾート施設を作るという構想を示したという。自民党側は利権の臭いを嗅ぎつけたようで、その翌月にはカジノ解禁を含めた特定複合観光施設(IR)を整備するための法案を国会に提出した。
この頃、日本では軍事分野で大きな出来事があった。例えば、防衛白書で中国や朝鮮への強い警戒を示し、今後10年間にわたる自衛隊の増強方針を打ち出した「国家安全保障戦略」と「防衛計画の大綱」では、アメリカの海兵隊をモデルにした「水陸機動団」の編成を明らかにしている。アメリカ軍の普天間飛行場を名護市辺野古へ移設するとした政府の沿岸の埋め立て申請を沖縄県の仲井真弘多知事が承認したのは12月27日のことだ。細田にカジノ計画を説明する直前、2013年10月にイランを核攻撃で脅すべきだと発言したアデルソンがこうした日本の動きと結びついても不思議ではない。
年明け後、2014年2月にアデルソンは日本へ100億ドルを投資したいと語る。世界第2位のカジノ市場になると期待、事務所を開設するというのだ。そして5月、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は日本政府高官に対し、アデルソンへカジノのライセンスを速やかに出すよう求めたとイスラエルのハーレツ紙が2015年2月5日付け紙面で伝えた。
その後も安倍政権の好戦的、独裁的な政治姿勢に変化はなく、首相は2015年6月1日、赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道された。
安倍の背後で蠢いているアデルソンを動かしている戦略がある。本ブログでは何度も書いているが、1992年初頭にアメリカ国防総省のDPG草案という形で作成された世界制覇プランだ。彼らネオコンはアメリカが「唯一の超大国」になったと認識、潜在的なライバルを潰しにかかる。旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどだ。さらに、膨大な資源を抱え、ライバルを生み出す基盤になる西南アジアも支配しようと考えた。
当時の国防総省は特にネオコンの力が強く、長官はリチャード・チェイニー。DPG草案を書き上げた中心人物は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツ。そのため、これを「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」と呼ぶ人もいる。
欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークによると、ウォルフォウィッツは1991年にイラン、イラク、シリアの3カ国を5年以内に殲滅すると口にしている。
1992年の大統領選挙でジョージ・H・W・ブッシュは再選されず、ビル・クリントンが選ばれた。この新政権は当初、ネオコンの影響力が弱く、ウォルフォウィッツ・ドクトリンは棚替えになった状態だった。クリントン大統領は選挙の頃からスキャンダルで攻撃され、大統領になってから弁護費用のために破産寸前だったと言われている。
クリントン大統領が国務長官に選んだウォーレン・クリストファーは戦争に消極的な人物だったが、1997年に長官がマデリン・オルブライトへ交代すると状況は一変する。オルブライトはコロンビア大学でズビグネフ・ブレジンスキーに学んだ好戦派で、国連大使だった1996年には経済制裁で死に至らしめられたイラクの子ども約50万人について意見を求められ、アメリカが目指す目的のためには仕方がないと言ってのけた人物だ。このオルブライトを国務長官にするように働きかけたのがヒラリー・クリントン。
1998年にオルブライトはユーゴスラビア空爆を支持すると表明、99年3月にNATO軍は先制攻撃を実行している。偽情報を流して好戦的な雰囲気を作りだし、先制攻撃で破壊と殺戮を繰り広げるというパターンはここから始まる。2008年にバラク・オバマとヒラリーが民主党の候補者選びで争っていた時、サバンはヒラリーを選んだ。
中国が領海だと主張する南沙群島の海域へアメリカ海軍がラッセンを送り込んだ日、ロシア軍は2機の偵察機Tu-142を朝鮮半島の東にいたアメリカ第7艦隊の空母ロナルド・レーガンの近くを飛行させている。タイミングから考えて、Tu-142の飛行はラッセンの南沙群島派遣と関係している可能性がある。
日本とアメリカが中国と戦争を始めた場合、ロシアが出てくることを想定する必要があるということだ。そのロシア軍の東アジア側の拠点はペトロパブロフスクやウラジオストク。今年4月21日、アメリカ海軍の対潜哨戒機P-8はカムチャツカのペトロパブロフスク近くを飛行、ロシア軍のMiG-31戦闘機が要撃して50フィート(約15メートル)の距離まで接近したと報道されている。ペトロパブロフスクはウラジオストクと並ぶロシア太平洋艦隊の重要な軍事拠点。新しい潜水艦が配備された直後だった。22日にロシア軍は日本海で軍事演習を実施している。
また、ロシアは千島列島の松輪島にある放棄されていた軍事施設を復活させ、ロシア軍の太平洋艦隊の基地にできるかどうか調べ始めたという。ロシア軍は超音速で飛行し、西側の防空システムでは対応できないイスカンダル・ミサイルを配備、昨年11月にロシア軍がリークした戦略魚雷も注目されている。この魚雷は潜水艦から発射され、遠隔操作が可能。海底1万メートルを時速185キロメートルで進むことができ、射程距離は1万キロに達する。空母を沈められるだけでなく、アメリカの海岸線にある都市を攻撃することができる。勿論、日本の原発はひとたまりもない。
1991年12月にソ連が消滅した後、ボリス・エリツィン時代のロシアはアメリカの巨大資本に支配されていた。その段階で兵器が実戦で使われることはないと考えたのか、アメリカでは性能の良さではなく、価格が高い兵器の開発を進めてきた。その結果、今ではロシアはアメリカより兵器の性能で遥かに先を歩いていのだが、それでもネオコンは軍事的な緊張を高めている。「アメリカは神軍」とでも思っているのだろうか?
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