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IS掃討した「テロリスト」のイラク民兵司令官、米国は警戒
ジャマル・ジャーファル・イブラヒミ氏は米国からテロリストに指定されている
By NOUR MALAS
2016 年 6 月 3 日 14:27 JST
【バクダッド】イラクで非正規軍(いわゆる民兵集団)が活躍し、それが過激組織「イスラム国(IS)」からイラクを救ったと評価されているが、その活躍の背後にイランで訓練を受けたあるジハ−ディスト(聖戦主義者)がいる。米国にとって戦場にいちばん近づけておきたくない人物だ。
10年前、このイラク人はジャマル・ジャーファル・イブラヒミ(Jamal Jaafar Ibrahimi)という名前で米当局に知られていた。米軍との間で「ネコとネズミのゲーム」を繰り広げていた。1980年代、クウェートの米国大使館およびフランス大使館の爆破を指揮したとしてクウェートから死刑を言い渡されたが、その後逃亡していたからだ。米財務省は彼をテロリストのリストに載せている。
今日、この人物はアブ・マハディ・アル・モハンデス(Abu Mahdi al-Mohandes) という偽名でもっぱら知られている。イラク非正規軍のシーア派民兵組織「人民動員隊」(PMF)のなかで最も大きな影響力を持つ司令官だ。PMFは過去2年間、IS掃討作戦の成功にとって不可欠な役割を果たした。イラク正規軍が崩れ、米国がその再建に動いた後の空白を埋めてきたのだ。
PMFは今週、ISからファルージャを奪還する攻撃に参加しており、攻撃の中核的な存在だ。PMFなどイラク部隊は2日に、作戦を一時中断すると述べた。ISによって「人間の盾」として拘束されている一般市民を当局が避難させるか保護するためだという。
PMFの作戦上の役割は大きく、既にファルージャのスンニ派住民を激怒させたり、おびえさせたりしている。この町でスンニ派過激集団ISを長年かくまったとして、PMFなどシーア派主導の部隊が住民に報復するのではないかと恐れているのだ。PMFの台頭はまた、イラク全般に衝撃をもたらした。イランとその関連組織がイラクで遍在していることを多くの住民にしっかり印象付けたのだ。
ISは2014年6月、イラク第2の都市モスルを占領し、首都バクダッドとアルビル(北部のクルド自治区の中心都市)に向けて勢力を伸ばした。ISによる広範な攻撃からイラクを救ったのはイブラヒミ氏の功績だ、とPMFの兵士たちはみている。
各地の戦場で2年近くインタビューに応じてきたPMFの戦闘員らは、63歳になる白髪の司令官(イブラヒミ氏)について、謙虚で恐れを知らないと述べている。戦争という苦難を通して、イブラヒムミは彼ら戦闘員と一緒に祈り、食事し、そして勝利の雄叫びを上げてきたという。大半のイラク人は彼を「アル・モハンデス」という名前で知っている。アラビア語で「エンジニア」を意味する名前で、彼のもともとの職業からとったものだ。
イブラヒミ司令官とPMFの台頭は、米政府がイラクで直面する新たな現実を反映している。4年以上前に数万人の米軍兵士を撤収した後の新たな現実だ。イラク民兵集団というイランのプロクシー(代理人)は、かつて米軍にとって最大の脅威だったが、今やイラク最強の戦闘部隊としてIS掃討の戦いにおける意図せぬパートナーとなった。
イブラヒミ氏はシーア派神権政治のイラン式モデルを信奉していることを隠そうとしない、と同氏の個人的な友人だというミスハーン・ジュブリ氏は言う。ジュブリ氏は「彼は、自分が(イラン最高指導者)ハメネイ師を代表していると述べている」と語った。
ファルージャに向けて軍を進めるPMFの戦闘員ら(5月23日) ENLARGE
ファルージャに向けて軍を進めるPMFの戦闘員ら(5月23日) PHOTO: AHMAD AL-RUBAYE/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
オバマ政権を批判する人々は、同政権が中東への本格的な軍事関与を嫌悪していることがイランの介入と新たな台頭を招いたとみている。
とりわけイブラヒミ氏は、イランの亡命ゲリラ戦士から、イラクにおけるパワーブローカー(陰の実力者、まとめ役)に変身を遂げた。それは、イランがこの地域全域の安全保障上の真空を、自らのイデオロギーに駆られた非正規軍戦闘員で埋めたことを象徴している。イラクの場合と同じように、戦争で荒廃したシリアでは、イランがプロクシーとしての民兵をシリアに派遣し、地元部隊を組織し、最終的には自国軍を投入した。アサド大統領を支えるためだ。イランはまた、イエメンでシーア派の一派であるフーシ派反政府勢力を支援および訓練している。
PMFはイランの影響力がイラクで拡大し続けるかどうかのカギを握っており、イラクがISに対する戦いから団結して再浮上するかどうかのカギになる、とイラクおよび米国の当局者は言う。米国が支援するアバディ首相は、名目的にこのRMF勢力を監視する立場にあるが、イラクにおけるイランの力を抑止するよう求める米国の要求に苦慮してきた。
今年2月、クラッパー米国家情報長官は国家安全保障に関する会見で、「イランは中東における地域的な危機の中で影響力を行使し続けている」と述べ、「米国と世界のパートナー諸国の権益に対しテロリスト的な脅威を与え続けている」と警告した。
イブラヒミ氏の事務所は、同氏へのインタビュー要請を繰り返し拒否している。
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