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リビア、武器禁輸緩和へ
対「イスラム国」 米欧ロが統一支援
【ドバイ=久門武史】国家分裂状態にあるリビアの統一を支援するため、欧米など関係国は国連がリビアに科している武器禁輸の緩和への支持を表明した。リビア統一政府が武器を入手できるようにし、同国で台頭する過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)との戦いを後押しする。国内を安定させ、リビアがイラクやシリアに代わるISの拠点になるのを防ぐ狙いだ。
リビア周辺国に加え、米国や旧宗主国のイタリア、ロシア、欧州連合(EU)などの外相らは16日、ウィーンで会合を開いた。リビアのシラージュ暫定首相は会合後の記者会見で「できるだけ早く制裁解除を求める武器のリストを国連に提出する。国際社会に緊急に支援を求める」と強調した。
リビアでは中東の民主化運動「アラブの春」の余波で2011年、40年あまり続いたカダフィ政権が崩壊した。だがその後の民主化は混迷。12年の選挙で発足したイスラム勢力中心の制憲議会は機能不全に陥り、14年に暫定議会選が実施された。リベラル勢力が勝利したが、イスラム勢力は暫定議会を認めていない。
制憲議会は首都トリポリを中心とする西部、暫定議会は東部を拠点に対立。双方は15年12月、国連の仲介を受けて統一政府の樹立で合意したが、それぞれ内部の強硬派が抵抗し、シラージュ氏をいただく統一政府はうまく機能していない。
分裂状態にある国内の混乱と、権力の空隙に乗じて勢力を伸ばしたのがISだ。北中部のシルトを拠点として、首都トリポリで高級ホテルを襲撃するなどテロを重ねている。国連安保理は昨年の報告書で、リビア国内に最大3000人のIS戦闘員がいると指摘した。
地元のイスラム主義者のほか、隣国アルジェリアなどから過激思想に染まった若者が合流しているもようだ。ナイジェリアを拠点とする過激派組織「ボコ・ハラム」がリビアのISと共闘しているとの情報もある。リビアは南部の国境がサハラ砂漠にあり、近隣国との戦闘員の往来は容易だ。
リビアには戦闘や貧困から逃れるため、地中海を渡ってイタリアなど欧州に向かう難民も多い。難民を装ったイスラム過激派の流入に欧州諸国は警戒を強めている。
リビアの安定に向け、米国などは武器供給が有効と判断した。しかし武器がISの手に渡る可能性も排除できず、逆にIS掃討が難航する恐れもある。ケリー米国務長官は会合後の記者会見で「難しいバランスだ」としつつ、「テロと戦う正統な政府が、国連の行動に苦しめられてはならない」と指摘した。
ISは本拠地のイラクとシリアでは、米軍主導の有志連合などの空爆を受けて劣勢に回っている。米国防総省のクック報道官は16日の記者会見で、イラクでISの支配下にあった地域のうち「約45%を奪還した」と語った。こうした状況下で、ISがリビアで勢力の拡大を探る構図となっている。混乱からリビアが立ち直るのは簡単ではない。
[日経新聞5月18日朝刊P.6]
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