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南シナ海問題、米中対決を恐れるな
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160421-00010002-wedge-int
Wedge 4月21日(木)12時11分配信
米ワシントン・ポスト紙のコラムニストであるイグネイシャスが、3月15日付の同紙で、南シナ海仲裁裁判に際し、中国が新たな防空識別圏の設定などを行なうことや、それをめぐって対立が一層激化する可能性があることを、米国内の動きと合わせて論じています。要旨は以下の通りです。
■南シナ海問題が“八月の砲声”になる危険性
オバマ政権は、南シナ海に関して中国と危険な対決に向かいつつある。対立は過去3年間に積み重ねられてきたもので、中国は米国の警告にもかかわらず、係争水域に人工島を建設したり、ミサイルやレーダーを設置したりしてきた。今春、ハーグの仲裁裁判所は、中国の海洋主権の主張は「過剰」であるとの判決を下すと予想され、米中の緊張が最高潮に達する可能性がある。
キャンベル元国務次官補は、「この問題は、すべての当事者が慎重でなければ、『八月の砲声』になりかねない」として、第一次世界大戦を引き起こした誤算の連鎖に言及しつつ、「米政権は、過去の警告をどう実行させるかという新たなレッドライン」に直面していると述べる。
習近平主席は、昨年9月の米中首脳会談で「中国には軍事化の意図はない」と明言したものの、パラセル諸島ウッディー島には地対空ミサイルを配備し、スプラトリー諸島クアテロン礁には軍用レーダーを配備するなどの矛盾した行動をとって、米側の警告をことごとく無視してきている。
■米中対決に備えた政策立案も
中国は次に何をするだろうか。中国は仲裁裁判を非難しているが、米政府関係者の中には、中国に不都合な判決がなされた場合には南シナ海の防空識別圏(ADIZ)を設定し、中国当局の許可なしの飛行を禁止するのではないかと予測する者もいる。国防省は、いかなるADIZの主張であっても、それにすぐさま挑戦すべきだと主張している。2013年に中国が東シナ海にADIZを設定した際には、B-52が識別圏内を早急に飛行する措置をとった。この時の飛行はあらかじめ予定されていたのでホワイトハウスの許可を必要としなかったが、国防省は、今後ホワイトハウスが軍の作戦を承認しないことを危惧している。
ホワイトハウスは、徐々に表れつつある対立に備え、省庁間で集中的な政策立案を行っている最中にある。オプションの中には、米国が、ベトナムやフィリピンなどによる係争水域内での人工島建設を支援するという、攻撃的な対応戦略も含まれている。フィリピンは1999年に、スプラトリーの浅瀬に大型船舶を意図的に座礁させ、効果的措置をとった経緯がある。
キャンベルは、米国は他の東南アジア諸国と一緒に行動することが望ましいと主張している。その行動には、豪州やシンガポール、インド、欧州の航空機や艦船が含まれるかもしれない。キャンベルは「中国のメンツを失わせたくはないが、こんなことを続けていると米中関係を極めて否定的なものにしかねないことを中国に理解させるべき」と言う。
出 典:David Ignatius ‘The U.S. is heading toward a dangerous showdown with China’ (Washington Post, March 15, 2016)
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中国の南シナ海での国際法に反する行動は目に余るものです。人工島に領海があるとか、九点線に囲まれる水域に歴史的権利があるかのような主張は到底認められません。
こういう主張に対しては、断固対決していく以外に道はありません。紛争になることを恐れて躊躇していると、航行の自由や飛行の自由が既成事実として侵食されることになります。対決を恐れない姿勢を示し、中国に厳しく警告し、またしっかりと権利を行使していくべきでしょう。
■軍事的対立忌避する弱腰オバマ
国防省は中国が南シナ海でADIZを設定した場合、それを否認する飛行を行うことを考えているが、ホワイトハウスの了承を得られるか否かを懸念しているとこの記事は述べています。イグネイシャスはワシントンでの事情によく通じた人であり、この記事の描写は真実に近いと思われます。オバマ・ホワイトハウスは軍事的対決を回避することに傾きがちであり、南シナ海でもそうする可能性があり、中国にレッドラインを越えさせる恐れがあります。これは大きな懸念を呼び起こします。
中国も、この記事を、関心を持って読んでいると思われます。
キャンベルは、米国は東南アジア諸国と協力して行動するのが望ましいと言っていますが、米国は自らの利益のために航行の自由や飛行の自由を確保すべきであって、東南アジア諸国との協力を条件にすることはありません。ベストを望んで、ベターを排する結果になりかねません。
フィリピンやベトナムにも埋め立てや人工島建設を慫慂することは論外です。中国がしていることを非難しておきながら、近隣諸国に同じことを勧めることは筋違いです。領有権の争いのあるところでの一方的現状変更はやめるべしというのが正論でしょう。
この問題では、米国が既存の海洋秩序堅持のため、対中対立も辞さずという姿勢をとることが利益になります。米国が安易に中国に歩み寄るのが問題です。
岡崎研究所
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