http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/450.html
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※関連参照投稿
「ロシアの軍事作戦はシリアの平和への道を開いた:シリア内戦介入諸国が協議し決断すれば終わることなのにおぞましい世界」
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「米、シリア反体制派支援を縮小 ロシア攻撃で大打撃:ロシアのシリア軍事介入のこれまでと今後:巡航ミサイル4発イラン領に着弾」
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http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/112.html
「〈FT特約〉プーチン氏の空虚な「勝利」 シリア内戦は終わらず」
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/361.html
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『ニューズウィーク日本版』
2016−3・29
P.13
ロシア軍撤退を決断したプーチンの胸の内
シリア和平協議の主導権を確保できたので「お荷物」化したアサドを切り捨てた?
ロシアのプーチン大統領は先週、シリアに駐留するロシア軍の大半を撤退させると発表した。翌日にはロシア軍機が実際に撤収を開始したので、どうやら本気らしい。ロシア政府は公式声明で、「ロシア軍部隊は主要目的を達成した」と宣言した。
この撤退は、イラク戦争当時のブッシュ米大統領と同じような早まった決断なのか。とにかくシリア内戦の泥沼から逃げ出したかっただけなのか。それとも、本当に半年間の軍事介入で「主要目的を達成した」のか。
おそらく、3つの要素を部分的にすべて含んだ判断だろう。
ロシアの「主要目的」は、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の壊滅ではない。真の狙いはシリアにおける自国の権益を守ることだ。そのために、古い盟友のアサド大統領を当初は支援した。
だが、やがてコストと効果のアンバランスが目立ち始める。コスト面では、標的をピンポイントで狙う「スマート爆弾」を最初の数日で使い果たし、通常爆弾の備蓄も急速に減ってきていた。つまりプーチンには、軍事介入をこれ以上続ける物理的余裕がなかったわけだ。
効果の面では、アサドの存在がむしろ重荷になりつつあった。ロシア外交筋は2、3カ月前から、アサドの退陣に道を開く内戦の政治的解決に必ずしも反対しないと示唆し始めている。ロシアとしては新体制移行の時期と人選に関与し、シリアの安定と自国の権益維持を確実なものにしたいという意思表示だ。
アサドに電話で直接通告
これに対し、アサド退陣が和平の前提条件だと主張していたアメリカも、徐々にロシア側に歩み寄った。理由は2つ。アサドの即時退陣は権力の空自を生み、現政権よりも危険な勢力の台頭と内戦激化を招く危険性が高いこと。そして、維持可能な停戦合意にはロシアの関与が欠かせないという認識の高まりだ。
こうした米ロ間の歩み寄りによって、プーチンはアサドを切り捨てても問題ないと判断した可能性がある。公式声明によれば、ロシア軍撤退の知らせはプーチンが直接電話でアサドに伝えたという。
この電話が、シリア内戦の停戦を目指すジュネーブでの協議再開の直前だったことにも重要な意味があるかもしれない。プーチンは古い盟友に、もうロシアの軍事力を当てにするなと通告したのだ。
プーチンが軍事介入で最も手に入れたかったのは、シリア問題をめぐる交渉のテーブルで(オバマ米大統領と並んで)重要な位置を占めることだった。今やその日標は達成された。
数十万の死者と、それ以上の避難民、欧州全土を政治的大混乱に陥らせた難民危機―停戦協議に関わる国々は、シリア内戦にうんざりしている。プーチンも自分なりの理由から、この意見に同調したようだ。アサドが君臨する限り戦い続けると大多数の反体制派が主張している以上、恒久的な停戦にはアサド退陣が不可欠だという共通認識も受け入れたように見える。
近い将来、シリアに平和が訪れると断言するのは時期尚早だ。最終的な和平協議に参加する反体制派の顔触れについては、ロシアやイラン、その他の国々の問で対立が続いている。トルコとクルド人勢力の関係は、先週のアンカラの爆破テロ事件でさらに緊張が高まった。
それでもアサドの最も有力な守護者が戦闘から手を引いた今、内戦の元凶が権力を手放す日もそう遠くないかもしれない。
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
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