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米露両政府はシリアでの停戦で合意したが、ISやアル・ヌスラなど「テロリスト」への攻撃は継続
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201602230000/
2016.02.24 02:31:52 櫻井ジャーナル
アメリカ政府とロシア政府は2月22日、シリアで2月27日から停戦することで合意したと発表、国連も歓迎している。
http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2016/02/253115.htm
この合意はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)、アル・ヌスラ(アル・カイダ系武装集団)、あるいは国連がテロリストと認定しているグループには適用されず、こうした武装集団に対する攻撃は継続される。2月10日にヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談しているが、そこで何らかの話し合いがあり、ロシア政府がそれに答えた形になっている。ダーイッシュなどはこの合意を潰そうと必死のようだ。
1月22日にアシュトン・カーター国防長官は陸軍第101空挺師団に所属する1800名をイラクのモスルやシリアのラッカへ派遣すると語り、翌23日にはジョー・バイデン米副大統領が訪問先のトルコでアメリカとトルコはシリアで続いている戦闘を軍事的に解決する用意があるとしていた。ここにきてアメリカ支配層の内部で状況に変化があったのか、脅しがロシア政府に通じなかったのか、ロシア政府が主張していた方向で停戦合意が成立したようだ。
シリアでの戦闘は2011年3月以来、アメリカ/NATO、サウジアラビア/ペルシャ湾岸産油国、イスラエルなどがバシャール・アル・アサド政権の打倒を目指して始めたものであり、侵略戦争にほかならず、内戦ではない。シリア政府軍と戦ってきたのは外国の侵略勢力が送り込んできたダーイッシュやアル・カイダ系武装集団だった。
こうした武装集団を訓練していた場所がトルコのインシルリク空軍基地。その教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、イギリスとフランスの特殊部隊員。それ以降、現在に至るまでトルコは反シリア政府軍の拠点であり、ダーイッシュへの兵站線はトルコの軍隊や情報機関MITが守ってきた。
今年に入り、トルコ外相はサウジアラビアの軍用機や人員をトルコのこの基地へ派遣、シリアで地上戦を始めることもできると語っている。そこには戦闘機や爆撃機に搭載できる核爆弾B61が80発ほどあると言われ、それをトルコやサウジアラビアが押さえて使う可能性もあると懸念されている。
シリア政府軍と戦っている武装勢力の実態をアメリカ政府も熟知していたはず。例えば2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAはシリアの反政府軍に関する報告書を提出、その中で反シリア政府軍の主力はサラフ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)であり、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けていると報告、アメリカ政府が方針を変えなければ、その勢力はシリア東部にサラフ主義の支配地を作りあげると見通していた。
https://www.youtube.com/watch?t=675&v=SG3j8OYKgn4
ダーイッシュにしろ、アル・カイダ系武装勢力にしろ、戦闘員の中心はサラフ主義者。つまり、実際にDIAが予測した通りの展開になった。報告書が作成された当時にDIA局長だったマイケル・フリン中将はアル・ジャジーラに対し、ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が行った決断によるとしている。
DIAの報告書が公開されたり、フリン中将の発言が出てきた背景には、アメリカ支配層の内部でサラフ主義者やムスリム同胞団を傭兵として使う手法に批判的な人が増えてきたことを暗示している。つまり、ネオコン/シオニストの勢いが弱まっている。
そうした傭兵、つまりダーイッシュやアル・ヌスラなどのシリアにおける敗北は決定的。侵略勢力はさらなる部隊を「穏健派」として侵攻させるかもしれないが、ロシアやシリアは「テロリスト」として攻撃するだろう。
シリアへの軍事侵攻を臭わせているサウジアラビアやトルコは現在、自国の支配体制が揺らぎ始めている。サウジアラビアは原油価格の下落などで財政赤字が深刻化、トルコはシリアやイラクからの盗掘石油が減少して苦しんでいる。トルコはNATO加盟国という立場を利用、ロシアと対決しようとしていたようだが、目論見通りには進んでいないようだが、追い詰められて暴走するという可能性はある。
リチャード・ニクソンはアメリカが何をしでかすかわからない国だと世界の人びとに思わせて自分たちが望む方向へ世界を導こうとし、モシェ・ダヤン将軍はイスラエルが狂犬のように振る舞うことで世界を脅そうとした。ネオコンも同じ手法で世界を屈服させてきたが、ロシアと中国には通じず、窮地に陥っている。ただ、こうした手法は一歩間違えると核戦争へ突入しかねない。敗北できない事情の人びともいる。
東電福島第一原発は過酷事故で炉心が溶融、おそらくチャイナシンドローム状態で、廃炉には数百年が必要だとみられている。その間、環境中に大量の放射性物質を撒き散らし続けるわけだ。こうした事故を東電も起こしたくはなかっただろう。それでも事故は起こる。核戦争も同じだ。
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