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米国、トルコ、湾岸産油国等がシリアへ送り込んだ軍団を敗走させる露軍を西側メディアが攻撃
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201602180000/
2016.02.18 05:21:17 櫻井ジャーナル
トルコとサウジアラビアがシリアへ地上軍を侵攻させる動きを見せ、西側のメディアはシリア政府軍やロシア軍を悪魔化するキャンペーンを強化している。アレッポをロシア軍の支援を受けたシリア政府軍が制圧しようとしていることと無縁ではない。この要衝を奪還されると、トルコからシリアへ延びているアル・カイダ系戦闘集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)への兵站線、あるいはシリアやイラクで彼らが盗掘した石油をトルコへ運び込むルートが断ち切られてしまい、侵略勢力にとって大きな痛手になる。兵站線や盗掘石油の輸送ルートを守りたいのだろう。
トルコやサウジアラビアだけでなくアメリカ政府からも好戦的な発言が聞こえてくる。例えば、1月22日にアシュトン・カーター国防長官は陸軍第101空挺師団に所属する1800名をイラクのモスルやシリアのラッカへ派遣すると語り、翌23日にはジョー・バイデン米副大統領が訪問先のトルコでアメリカとトルコはシリアで続いている戦闘を軍事的に解決する用意があると口にしている。例によってメディアもシリア政府軍やロシア軍を悪魔化するプロパガンダを強化している。
これまでアメリカ、サウジアラビア、トルコを含む国々はリビアのケースと同様、ワッハーブ派/サラフ主義者を中心とする武装集団、つまりアル・カイダ系のアル・ヌスラやそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)をシリア侵略に使ってきた。その戦闘部隊や司令部、兵器/武器や食糧などを運び込んでいた兵站線、またシリアやイラクで盗掘した石油をトルコへ運んでいた燃料輸送車がロシア軍の空爆で破壊され、シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すという計画が崩れ去ろうとしているため、侵略を目論む国々は動揺しているのだ。
アメリカはシリアの「穏健派」を支援している、ダーイッシュを攻撃している、シリア政府軍やロシア軍は住民を攻撃している、といった情報を西側のメディアは伝えているようだが、彼ら自身、そんなことは信じていなるとは思えない。
例えば、2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAはシリアの反政府軍に関する報告書を提出、その中で反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)であり、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けていると報告、アメリカ政府が方針を変えなければ、その勢力はシリア東部にサラフ主義の支配地を作りあげると見通していた。実際、その通りになっている。それはアメリカ政府がそうした展開を臨んでいたからにほかならない。報告書が作成された当時にDIA局長だったマイケル・フリン中将はアル・ジャジーラに対し、ISの勢力が拡大したのはオバマ政権が行った決断によるとしている。
また、2014年10月2日にジョー・バイデン米副大統領はハーバード大学でシリア情勢について語った際、シリアにおける「戦いは長くかつ困難なものとなる。この問題を作り出したのは中東におけるアメリカの同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、UAEだ」と述べ、あまりにも多くの戦闘員に国境通過を許してしまい、いたずらにISを増強させてしまったことをトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は後悔していたとも語った。エルドアンが反省しているはずはないが、ほかの事実は間違っていない。
2015年2月には、1997年から2000年にかけて欧州連合軍最高司令官を務めたウェズリー・クラークがCNNの番組でアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたとも語っている。
このクラークは2007年10月、ネオコン/シオニストの軍事侵略計画を明らかにしている。1991年に国防次官だったポール・ウォルフォウィッツは、イラク、シリア、イランを5年以内に殲滅すると語り、また2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて間もなく、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺ではイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを攻撃する計画を立てていたとも口にしている。
2007年3月5日付ニューヨーカー誌にシーモア・ハーシュが書いた記事によると、アメリカはサウジアラビアやイスラエルと共同でシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始していた。その手先がワッハーブ派/サラフ主義者だ。
アメリカが主導する連合軍がダーイッシュを攻撃するという話が嘘だということはアメリカをはじめとする西側の政府は熟知、当然のことながら有力メディアも知っている。こうしたメディアの嘘をローマ教皇庁系のメディアは2012年6月の時点で指摘していた。
「もし全ての人が真実を語ったなら、シリアの平和は維持することができただろう。1年間にわたる戦闘の後、地上の現実は西側メディアの中に現れる意図的な誤報が描くイメージからかけ離れている。」と東方典礼カトリックの修道院長はダマスカス、アレッポ、ホムスなどを視察した結果をフィデス通信へ報告している。また、現地で宗教活動を続けてきたキリスト教の聖職者、マザー・アグネス・マリアムも外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。
つまり、遅くとも2012年の時点でシリアでの戦闘はアメリカ/NATO、サウジアラビア/ペルシャ湾岸産油国、イスラエルなどによる侵略の結果だということは西側のメディアもわかっていたはずだ。そう伝えなかったのは「意図的な誤報」で人びとを戦争へと導くためだとしか考えられない。「リベラル派」や「革新勢力」を自称している人びともメディアと同じようなことを主張していたが、そうした人びとも事実を知ることはできたはずだ。そして今、西側ではまたもやシリア政府やロシアを悪魔化し、自分たちの侵略戦争を正当化しようとしている。大規模な戦争の勃発する可能性が高まっている。
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