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サウジアラビアのシリア侵略 : 第三次世界大戦を引き起こしかねないはったり
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2016年2月13日 マスコミに載らない海外記事
公開日時: 2016年2月7日 14:33
編集日時: 2016年2月8日 18:30
Finian Cunningham
"RT"
シリアに地上部隊を派兵するサウジアラビアの計画は単なる策略に過ぎないように見える。しかし、これはまさにアメリカ合州国とロシアを巻き込みかねない全面戦争を勃発させかねない無謀な軍事力による威嚇だ。
サウジアラビア支配者は、“テロに対して戦い”、いわゆる「イスラム国」(ISIS/ISILとしても知られている)を打ち破るためという口実でシリアを侵略すべく、総勢150,000人の軍隊を集めたと報じられている。サウジアラビア当局者は、CNNに、サウジアラビア軍に加え、エジプト、トルコ、スーダン、モロッコ、ヨルダン、カタール、バーレーンと、アラブ首長国連邦からの地上軍も出ると述べた。
シリアのワリード・アル=ムアッリム外務大臣は断定的対応をして、そうした動きは侵略行為と見なされ、シリア侵略の口実が何であれ、あらゆる侵略軍は“木の棺桶”で送り返されると述べた。
それにもかかわらず、アメリカのバラク・オバマ大統領は、シリアに介入するというサウジアラビアの計画を歓迎。
アシュトン・カーター国防長官は、サウジアラビア計画を始動するかどうか決定をするため、今週、ブリュッセルで、アメリカが率いるいわゆる“対テロ”連合の代表連中と会合予定だ。既にサウジアラビア軍広報担当官は、もしアメリカが率いる連合が同意すれば、サウジアラビアは、介入を進める予定だと述べている。
ここ数週間、カーターやジョー・バイデン副大統領を含む他のアメリカ幹部は、シリアとイラクのISISに対する地域のアラブの軍事行動強化を呼びかけている。カーターとバイデンは、もしジュネーブ和平交渉が決裂した場合、アメリカは自らの地上軍を大挙して派兵する用意があるとも述べた。
今や、この交渉は不調に見える。すると、アメリカが率いる、シリアにおける外国軍による大規模侵略が実現途上にあることを意味するのだろうか?
しばし一歩離れて、実際には一体何が起きているのか評価してみよう。サウジアラビアの警告、というより正確にはシリアへの軍事介入する“脅威”が言われたのは、これが初めてのことではない。昨年12月中頃、リヤドが“テロと戦う”ための34のイスラム教国家の同盟結成を発表した際、軍事同盟は、シリアを含め、テロの脅威があると見なされたどこの国にでも侵略する権利を留保する、とサウジアラビアは述べた。
もう一つの要素は、サウド王家が、アメリカが率いるシリアに関する外交的取り組みを快く思っていないことだ。アメリカ国務長官ジョン・ケリーが、実現しようと動き回っている5年間の紛争に和平調停を見いだそうとするものとされるジュネーブ交渉は、サウジアラビアには、バッシャール・アル・アサド大統領のシリア政府と、その外国の同盟者、ロシア、イランと、レバノンのヒズボラに余りに譲歩し過ぎだと見なされている。
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Faisal Nasser
先週失敗に至ったジュネーブ交渉は、戦争を解決するための本物のシリア内部のプロセスとは評価できないことはほぼ間違いなく、むしろワシントンと同盟諸国による、彼らが長年抱き続けてきた政権転覆という目的のために、シリア政府を弱体化させる冷笑的な政治的企み。ジュネーブの会談に含める反政府派に、アルカイダとつながり、欧米から支援を得ている過激派のジャイシ・アル-イスラムやアフラール・アル-シャムを含めていることが、隠された狙いを実証している。
ワシントン・ポストは週末にこう報じて馬脚を現した。“オバマ政権は、外交では、これまでのところ無力で止められないように見える、シリアにおけるロシア爆撃によって、益々窮地に立たされる状況になっている。”
言い換えれば、主として、ケリーがしかけているジュネーブ和平交渉は、実際はロシアのウラジーミル・プーチン大統領が命じたロシアの猛烈な空爆作戦を止めることを狙ったものだ。四カ月の介入が、シリア戦争全体の流れを変え、シリア・アラブ軍が戦略的に重要な地域を取り戻すことを可能にしている。
止まらない、実際は強化されているロシア軍の作戦が、ワシントンとその同盟国を大いにろうばいさせているのだ。
ロシアとシリアが、11月と12月に成立した国連決議によって、彼らがISISや、他の全てのアルカイダとつながるテロ集団を打ち破る作戦を継続する権限を与えられたと主張するのは筋が通っている。しかし今や、ケリーが、ジュネーブ交渉を、政権転覆用の傭兵に対するロシア-シリア攻撃を止める手段として期待しているのは明らかなように見える。
ケリーは週末記者団に、シリアで停戦を呼びかけるようロシアを説得する最後の試みをしていると語った。相手方、ロシアのセルゲイ・ラブロフとの議論の困難な性格を反映して、ケリーは述べた。“停戦そのものの手順も議論されている… しかし、もしそれが爆撃を継続するための、交渉のための交渉に過ぎないのであれば、誰も受け入れることはなく、それはここ数日のうちにわかるだろう。”
先週、モスクワは、シリア国内の“全てのテロリスト”を打ち破るまでは爆撃作戦を止めないと譲らなかった。今週末、シリアのアル=ムアッリム外務大臣は、シリア国内にあらゆる違法武装集団が残っている限り、停戦はありえないと繰り返した。
我々が推測できるのは、シリア国内での政権転覆のためのアメリカが率いる秘密の軍事手段が頓挫させられ、同時に、本当の狙いに対するロシアとシリアの明敏さのおかげで、政権転覆のための代替政治的手段も全く勢いがつかないために、ワシントン枢軸は欲求不満から反応しているということだ。
この欲求不満の反応の一部が、アメリカの黙認 - 直接軍事介入の承認による、サウジアラビア、トルコや他の地域政権の脅威なのだ。
要するに、これは、実際は、外国が支援するテロリスト代理軍が一息つける時間として機能するはずの停戦要求を受け入れさせるよう、シリアとロシアに圧力をかけることを狙ったはったりなのだ。
軍事的な観点から、サウジアラビア軍侵略は、効果的な配備として真面目なものから遥かほど遠いものとしか見なせない。サウジアラビアがシリアで作戦遂行する能力を評価するには、サウジアラビア政権がアラブ地域の最貧国イエメンで、過去10か月にわたり、いかに打ちのめされているかを見るだけで十分だ。
アメリカ人教授、コリン・キャヴェルは筆者にこう語った。“サウジアラビアのシリア介入は、イエメン介入同様、大して成功しない。傭兵部隊は国外での戦争を決して成功裏に戦えないことを歴史が明らかに示しており、正気なサウジアラビア兵士で、サウジアラビア君主制を本当に支持しているものはいない。サウド王家には正当性など皆無で、ひたすら武力と操作に基づいており、アメリカとイギリスによって支えられていて、もしこれだけの大金がなければ、阿呆が運営するお笑い種に過ぎないことを、サウジアラビア内の全員が知っている。”
だから、軍事的な策略は、明らかに非現実的で、本当の危機は、サウジアラビア支配者と、連中のアメリカ後援者が、現実からすっかり遊離してしまい、誤算して、シリアに侵攻することだ。それは火薬だる中の火花のようなものとなろう。それはシリア、そして同盟諸国のロシア、イランとヒズボラに対する戦争行為と見なされる。アメリカは必然的に、世界大戦のスパイラルに完全に引き込まれることになろう。
戦争は、たった一つの意図的な決定ではなく、これまでにない速度で進む愚行プロセスの結果であることが多いことを、歴史が実証している。
シリアは一つの潜在的な大変動に過ぎない。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。北アイルランド、ベルファスト生まれの農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。ミラーや、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は20年以上、ミラー、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデントなどの大手マスコミで、編集者、著者として働いた。現在は、東アフリカを本拠とするフリーランス・ジャーナリストで、彼のコラムは、RT、スプートニク、Strategic Culture Foundationや、Press TVに掲載されている。
記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/331648-saudi-invasion-syria-bluff/
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