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ロシアのシリア介入第17週 エルドアンはロシアとの戦争を望んでいるのだろうか?
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2016年2月11日 マスコミに載らない海外記事
エルドアンが戦争を始めたら、ロシアは一体どう反撃するのだろうか
2016年2月9日
" Unz Review"
The Saker
トルコの状況は、急速に制御が効かなくなりつつある。トルコは、シリア国境を越えての砲撃を行っているのみならず、トルコは、領空開放条約のもとの義務を守ることを拒否しており、ロシア偵察機がトルコ上空を飛行するのを拒否している。ロシア軍は現在、トルコが侵略を準備している兆候を探知したと発表している。とりわけシリア侵略準備に関するロシアの警告と組み合わせると、トルコが領空開放条約に従うことを拒否しているのは極めて憂慮すべき展開で、しかもロシアは歯に衣着せずに言っている。
Пресс-брифинг официального представителя Минобороны России (4 февраля 2016 г.)
エスカレーションがありうることを、非常に多くの兆しや警告が示している。ジュネーブ交渉は突然終わり、サウジアラビアは、シリアを侵略すると脅し、シリア軍はゆっくりではあるが、確実に、タクフィール主義者からアレッポを開放する作戦を準備している兆しがあり、アンカラとリヤドでパニックを引き起こしている(ロシアが勝利しつつあるわけではないやら、シリア軍は存在しないやらという愚劣な考え方はもうたくさんだ)。
一方、エルドアンのシリアに対する“大構想”が丸ごと完全に崩壊し、彼にはもはや選択肢が残されていないことを示すものは多々ある(今日投稿された、この話題に関するガッサン・カディによる素晴らしい分析と、同じ問題に関するペペ・エスコバールの見解をお読み願いたい)。
私は霊能者でも予言者でもない。エルドアンが一体何を本当に考えているのか、あるいはトルコがシリアを侵略しようとするかどうか私にはわからない。私にできるのは、そのような出来事に対するロシアのありうる反応に関して、経験に基づいて推測することだ。
まず、二つの基本原理だ。
1) もしロシア軍が攻撃されれば、彼らは反撃する。プーチンは軍に、既にその権限を与えており、現地司令官が最終的に決断を下すだけで、ほぼ自動的にこれが起きるだろう。言い換えれば、そのような砲撃の応酬が、自動的に、トルコとロシアの間の全面戦争に等しいということにはならない。
2) もしトルコがシリアを侵略すれば、ロシアは国際法に厳密に準拠して行動する。つまり、ロシアは国連安全保障理事会の緊急会議を要求し、安全保障理事会の反応がどういうものかに大きく依存する。もし、いつもの傀儡連中がトルコを“擁護”すれば(これは決して確実ではなく、私の考えでは、少なくとも長期間にはならず、一週間程度か)ロシアは、両国間の1980年の“友好協力協定(ロシアは現在ソ連の継承国なので、条約はいまでも有効だ)のもとでのシリアを支援する義務と、2015年の“国軍の飛行集団のシリア・アラブ共和国領土への配備に関するロシア連邦とシリア・アラブ共和国間の協定“を言い出すだろう。
言い換えれば、ロシアは状況をあれこれ解釈する上で、かなりの柔軟性を確保することになる。それは結局トルコが一体何を実現しようとするかに大きく依存していることになる。
彼らが過去既に何度もしてきたようなクルド人を攻撃するための典型的なトルコの国境侵犯についての話だけで、もしその介入が、深さの上で限定されているのであれば、ロシアはおそらく、トルコに圧力をかけるため非軍事的な手段を選ぶだろう。トルコの狂人連中は、ロシアとの戦争 紛争を国際化して、NATOに介入を強いることを熱烈に望んでいるが、ロシアはそのようなエスカレーションに全く興味はない。ドンバスでと同様に、欧米がロシアを戦争に引きずりこもうとしても、ロシアは餌に引っかかろうとしていない。問題は、ウクライナ・ナチとは違って、トルコには、ロシアが、ウクライナ・ナチ軍や様々な暗殺部隊を無視したようには無視することができない遥かに強力な軍機構があるのだ。だから、もしエルドアンの狙いが、レーガンがグレナダでしたように、ただ男らしく見せたくて、力を誇示することであれば、彼は恐らく逃げきれるだろう、少なくとも短期作戦なら。しかし、もしエルドアンが、ロシアとの紛争を引き起こすと固く決めているのであれば、ロシアはただ座りこんで彼が落ち着くのを待っているわけにゆかなくなる。
後者の場合には、ロシアには複数のエスカレーションの選択肢がある。
一つ目の明らかな選択肢は、シリアとクルド人に諜報情報を渡しての支援だ。これは現在既に行われており、トルコが侵略した場合には強化するだけのことだ。
二つ目は、トルコの固定翼、あるいは回転翼の航空機の撃墜だ。シリアは既に一定のかなり強力な防空システム(パーンツィリS1、ブークM1/2E、ツングースカ2K22や、極めて堅固な早期警戒システムを含む)や強力な航空機(強化したMiG-29を含む場合もあり得る)を保有しているので、これは容易な選択肢だ。クレムリンは、CIAが“妥当な否認権”と呼んでいるものを一定程度享受できる。
ロシアの三つ目の選択肢は、52ミリMTSA-B砲、BM-27ウラガンやBM-30スメルチ・ロケット・ロンチャーを含む、シリアに配備していると報じられている砲システムで、シリアを支援することだ。
こうしたオプションのいずれも、ロシアとトルコの間の“全面”戦争には到底およばない。しかし、もしエルドアンが更にエスカレートすると決めているのであれば、戦争は不可避となる。もしトルコがヘメイミーム空軍基地を直接攻撃しようとすれば、ロシアが反撃するだろうことは疑う余地はない。
それは一体どのようなものになるだろう?
私が最初に申しあげたいのは、どちらの国もお互いを侵略しようとはするまいことだ。トルコがロシアを侵略するという考えかたは、言うまでもなく馬鹿げており、トルコはロシア軍が戦うよう訓練されている1000km内にあるが、ロシアがこういうことをしようとするとは思わない。一例を挙げれば、ジョージアの場合も同様だが、ロシア国内の誰一人として、トルコが国として、戦争をしたがっているなど本気で考えてはいない。エルドアンが、むしろ“サアカシュヴィリ v2″で、ヒトラーのようなものであれば、彼は同じような目に遭うだろう。更に、08.08.08戦争の際、ロシアは虐殺的なジョージアから、オセチア人を保護しなければならなかったが、クルディスタンでは、ロシアにはそういう義務はない。
もっとずっとありそうなシナリオは、既に我々が見てきたものの繰り返しながら、遥かに大規模なものだ。もしエルドアンが本当に、ロシアに戦争を強いれば起こるだろうことは、トルコ侵略を支えているインフラへの巡航と弾道ミサイル攻撃、この取り組みに関与しているあらゆるトルコ海軍艦船の撃沈と、トルコ軍集団、弾薬と燃料(燃料班)軍需品集積場と、特に、飛行場への爆撃とミサイル攻撃だ。ロシア反撃の目標は、トルコを軍事的に“打ち破る”ことではなく、エルドアンにある種の停戦をさせるに十分な期間だけトルコを押し返すことだ。たとえ、ロシア軍が、戦争でトルコを完璧に打ち破ることが可能でも、クレムリンは、トルコとロシア間のあらゆる戦争は、できるだけ早く停止すべきであることを自覚しており、ロシアの本当の目標は、“トルコを打ち負かす”というより、エルドアンを打ち負かすことのはずだ。
この理由から、ロシアは、むやみに発砲したがる状況からはほど遠く、たとえ、トルコがシリアに侵入することを意味しようとも、少なくとも、トルコがトルコ国境近くに留まり、戦争の行方を変えようとしない限りは、ロシアは戦争を始めないことを示すため、考えられるあらゆる取り組みを行っている。もしトルコが望んでいるものがシリア国内の狭い“立入禁止地域”であれば、ロシアが、それを拒否するため、軍隊を用いるとは思わない。ロシアは、外交レベルで強く反対するだろうし、ロシアは、シリアとクルド人を支援するだろうが、彼らがトルコ軍を直接攻撃することはないだろう。
サウジアラビアはどうだろう? 連中は一体どうなのだろう? 彼らはイエメンでのフーシ派にすら対処できずにいるのに、シリアでなら、しっかりできるなどと一体誰が考えるだろう? サウジアラビア軍はお笑い草で、反シーア派弾圧作戦実施がせいぜいの堕落した弾圧部隊なのだ。連中は好き放題にあらゆる脅しをできるが、もし連中がシリアに侵入しようとすれば、シリア、ロシア、イランとヒズボラ全員が、こうした阿呆連中を捕らえて、連中が長い間決して忘れられないような教訓を与える一番乗りになろうとして競争するだろう。
率直に言って、エルドアンと顧問連中が、ロシアとの戦争を引き起こしたり、シリア侵略をしたりしようとするほど狂っていると、私はどうしても思いたくない。エルドアン本人は明らかに狂人だが、彼のスタッフ全員までもが狂人とは思えない。更に、アメリカ/NATO/EUが、トルコのシリア侵略や、ましてロシア攻撃を実際に支持するだろうとは想像できない。ロシア嫌いが勢いが良いのは、大陸での戦争にさらされない限りのもので、そうなれば、利己主義と生存が、あらゆるイデオロギー的思想より優先することになる。少なくとも、私はそう願う。
また私は考えが甘いのかも知れないが、自国指導者が自国をロシアとの戦争に引きずりこむのを、トルコ国民が何もせずに座視しているだろうとと思いたくない。
結論として、ひとつ気がかりなことを申しあげたい。ギリシャ正教会が聖人として称賛しているギリシャ人長老、パイシオスという名の修道士は、その予言で有名だ。最も有名なものの一つは、トルコとロシアが大規模戦争をし、トルコの完全解体と、オスマンの軛からのコンスタンチノープル解放(もし詳細にご興味がおありなら、こことここをクリック願いたい)という結果になるという予言だ。現代、大半の人々は、そのようなことは、意味のないたわごと、意図的な難解言説、迷信、一人の“恨みがましいギリシャ人”の希望的観測、宗教的なたわ言等々といって即座に片づけるだろうことは十分承知している。だが、15世紀から二十世紀までの間に、ロシアとトルコは既に12回も戦争していた(!)ことを是非とも想起願いたい。つまり一世紀あたり、戦争2回(正確には2.4回)で、最後の戦争は一世紀前に起きている。
予言、過去の経験や統計、どれを見ても、少なくとも私にとっては、状況はもう実に恐ろしい。そして、ガッサン・カディとペペ・エスコバールが説明している通り、エルドアンは追い詰められている。それゆえに彼は一層危険なのだ。
英米シオニスト連中は、狂ったイデオロギー信奉者(中東のワッハーブ派や、ウクライナのナチス)を解き放つ上では専門家だが、連中はいつも、最終的には、なぜか彼らの制御ができなくなってしまうように見える。アメリカのトルコ政権‘援護’が、さらにもう一つの狂気じみたイデオロギー - オスマン帝国主義 -を解き放つ結果とならないこと、あるいは、もし解き放ってしまったのであれば、アメリカこの狂人を抑えるのが手遅れになっていず、まだ間に合うのを祈るばかりだ。
エルドアンと彼の政権は、地域と、世界の平和に対する脅威だ。トルコ国民、あるいはホワイト・ハウス、一体誰が彼を排除するのか私は興味がないが、彼が権力の座にいる限り、大規模災厄が起こりかねないのだから、彼の権力が余命いくばくもないものであるよう願っている。
記事原文のurl:http://www.unz.com/tsaker/week-seventeen-of-the-russian-intervention-in-syria-does-erdogan-want-war-with-russia/
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