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シリアで侵略軍の敗北が決定的になる中、米支配層の内部にはネオコンと違い、露と話し合う動き
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201602100000/
2016.02.10 20:30:44 櫻井ジャーナル
アメリカ支配層は現在、大きな問題をふたつ抱えている。ひとつはドルが基軸通貨の地位から陥落しそうなことであり、もうひとつはシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒して傀儡政権を樹立するという目論見が崩れつつあることだ。現在、行われているアメリカの大統領選の行方も、支配層がこの問題に対してどのように対処しようとしているかで決まってくるだろう。
本ブログでは何度も書いていることだが、シリアでは昨年9月30日にロシア軍が始めた空爆で侵略軍、つまりアル・ヌスラ(アル・カイダ系武装集団)やそこから派生したダーイシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)は敗走を始めた。国連主導という形で行われていた和平交渉は2月3日に中断したが、アレッポの戦況が急展開したことが影響していると見られている。
シリアの要衝、アレッポを政府軍がほぼ奪還したようだが、ここを政府軍が押さえたならば、トルコから延びている侵略軍の兵站線が断ち切られてしまい、戦闘を続けることも難しくなりそうだ。こうした武装勢力を編成、訓練、支援してきた国々は窮地に陥ったということでもある。ワシントン・ポスト紙でさえ、アレッポを政府軍がおさえたことで戦争自体の決着がついた可能性があると報道している。
https://www.washingtonpost.com/world/middle_east/syrian-rebels-are-losing-aleppo-and-perhaps-also-the-war/2016/02/04/94e10012-cb51-11e5-b9ab-26591104bb19_story.html?tid=pm_world_pop_b
侵略を主導してきたのはアメリカ/NATO、サウジアラビア/ペルシャ湾岸産油国、イスラエル。当初は侵略に積極的だったフランスやイギリスはここにきて目立たなくなり、サウジアラビアとトルコが侵略で中心的な役割を果たしている。
ロシア軍の攻撃は軍事演習レベルで大規模なものではないが、効果的。アメリカ主導の連合軍がシリア政府の承認を得ずに行ってきた攻撃への疑惑が強まっただけでなく、こうした勢力は狼狽しはじめる。
そうした中、10月10日にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシア軍機の撃墜を決めた。
https://twitter.com/wikileaks/status/673221504356786176
これは内部告発支援グループのWikiLeaksの情報だ。当然、この決定にはアメリカの好戦派が関係しているだろう。11月24日から25日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問、トルコ軍幹部と会談しているのだが、その24日にトルコ軍のF-16戦闘機がロシア軍のSu-24爆撃機を待ち伏せ攻撃で撃墜した。
トルコ政府は「国籍不明機」を撃墜したと主張したが、ロシア軍は軍事衝突を避けるため、事前に攻撃計画をアメリカ側に通告していたうえ、アメリカは偵察衛星で監視しているはず。しかもその当時、ギリシャを拠点とするアメリカ/NATOのAWACS(早期警戒管制)機、そしてサウジアラビアもAWACS機も飛行していた。トルコとシリアの国境付近で何が起こっているかも監視していたはずだ。トルコ軍機を指揮管制していた可能性もある。
トルコ政府の主張では、国境線から2.19キロメートルの地点までロシア軍機は侵入し、1.88キロメートルの距離を17秒にわたって飛行した。Su-24は時速398キロメートルで飛行していたことになる。この爆撃機の高空における最高速度は時速1654キロメートルで、トルコ説に基づく飛行速度はあまりにも遅く、非現実的だ。
ロシア側の説明(アメリカやトルコから否定されていない)によると、トルコ軍のF-16は午前8時40分に離陸、9時08分から10時29分まで高度4200メートルで飛行して午前11時に基地へ戻っているのに対し、ロシア軍のSu-24が離陸したのは1時間後の午前9時40分。午前9時51分から10時11分まで高度5650メートルで飛行、16分に目標を空爆、24分に撃墜されている。領空侵犯に対するスクランブルではなかった。
WikiLeaksの情報がなくても、トルコ軍が計画的にロシア軍機を撃墜したことは明らかで、当然、アメリカの政府や軍の上層部も承認していたはずであり、ロシア側もそう判断しただろう。ロシア軍が報復攻撃しても不思議ではなかったということ。
しかし、ロシア軍は報復攻撃をしなかった。その代わり、ミサイル巡洋艦のモスクワをシリアの海岸線近くへ移動させて防空体制を強化、さらに最新の防空システムS-400を配備し、約30機の戦闘機を「護衛」のために派遣してシリア北部の制空権を握る。アメリカが供給している対戦車ミサイルTOWに対抗できるT-90戦車もさらに配備した。最新鋭戦闘機のSu-35も送り込んでいるようだ。
それに対し、トルコ軍は12月の初め、25台のM-60A3戦車に守られた部隊をイラクの北部、モスルの近くへ侵攻させて占領、トルコ政府の抗議にもかかわらず居座っている。
1月22日になるとアメリカのアシュトン・カーター国防長官が米陸軍第101空挺師団に所属する1800名をイラクのモスルやシリアのラッカへ派遣すると語り、23日にはトルコを訪問していたジョー・バイデン米副大統領がアメリカとトルコはシリアで続いている戦闘を軍事的に解決する用意があると発言している。
スイスのジュネーブで国連主導という形で和平交渉が始まるのだが、アレッポにおける侵略軍の壊滅が決定的になると交渉は中断する。侵略軍の立て直しを図るために時間稼ぎをしようとしていたとするならば、その必要がなくなったということだ。
その一方、ロシア国防省はトルコはシリア侵攻の準備を始めているとトルコ政府を非難し、サウジアラビア国防省の広報担当は同国の地上部隊をシリアへ派遣する用意があると表明した。サウジアラビアにはすぐにシリアへ派遣できる15万人の部隊が待機していると報じられている。アメリカのアシュトン・カーター国防長官はサウジアラビアの表明を歓迎すると発言した。
この部隊はサウジアラビアのほか、スーダン、エジプト、ヨルダンの軍隊で構成、さらにモロッコ、トルコ、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタールの軍隊も派遣される予定で、マレーシア、インドネシア、ブルネイからは傭兵が送られるという。
トルコやサウジアラビアが実際にシリアへ軍事侵攻する可能性は低いだろうが、もしトルコが本当に攻め込んだ場合、ロシア軍との戦闘になる。トルコはNATO加盟国。トルコが侵略したと判断されなければ、ロシアとNATOの戦争に発展してしまう。
ロシアとNATOの戦争になれば世界大戦であり、核戦争ということになる。そうした世界大戦が不可避だということになった場合、ロシアのウラジミル・プーチン大統領は躊躇なく核兵器を使い、トルコの軍事施設は全て破壊すると考えられている。NATOがロシアを核攻撃するのを座して待つようなことはないはずだ。
そのトルコのアフメト・ダウトオール首相は「アレッポの兄弟」、つまりトルコ政府が支援してきたアル・ヌスラやダーイシュを助けるとしている。つまりロシアと戦争をすると言っているに等しいが、その結果がどうなるかはすでに指摘した通り。バラク・オバマの副大統領や国防長官はこうした好戦的な動きを支援している。こうした動きに安倍晋三政権も同調しているように見えるが、アメリカ支配層の中で、核戦争は避けたいと考える人びとが動き始めているようにも感じられる。ヘンリー・キッシンジャーが2月10日にロシアを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談するようだが、その内容が興味深い。
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