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シリア: 敗北した代理戦争におけるNATO最後の絶望的選択肢
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2016年2月10日 マスコミに載らない海外記事
New Eastern Outlook
2016年2月6日
著者: Tony Cartalucci
シリア軍と同盟している部隊が、シリア最大の都市アレッポを完全包囲する中、アメリカ合州国と地域の同盟諸国は、トルコ-サウジアラビアの地上軍を支援するアメリカの空軍力を含め、シリアでの地上作戦への関心を突然高めている。
シリア中で、紛争を更にエスカレートするのに対する最新の脅威である、彼らの代理部隊崩壊に、アメリカと同盟諸国が直接反応していることが明白なのに、白々しくも“ISISと戦う”のを理由にしている。
ガーディアンは、“サウジアラビア、ISISと戦うため、シリアへの地上軍派兵を申し出る”という記事でこう報じている。
木曜日、サウジアラビアは「イスラム国」と戦うため、シリアに地上部隊を派兵することを初めて申し出たと、国防省が語った。
““王国は連合がシリアで遂行すると合意したあらゆる地上作戦(対「イスラム国」)に参加する用意がある”と、軍広報官アフメド・アル-アシリ准将がアル・アラビヤ・ニューズ・チャネルのインタビューで述べた。
サウジアラビアの情報筋は、恐らくトルコと協調して、何千人もの特殊部隊が派兵される可能性があるとガーディアンに語った。
現実には、トルコとサウジアラビアは、ISISの意図的な創設と、シリアとイラク国内で彼らが活動するための兵站と財政的永続化において中心的な役割を演じている。これはアンカラとリヤドの敵だけが言っているのではなく、最も中心的同盟国のアメリカ合州国も言っているのだ。
2012年という早い時期に、アメリカ国防情報局(DIA)文書(.pdf)は、シリア紛争とISISの勃興について、こう認めている。
もし状況が展開すれば、東シリア(ハサカとデリゾール)に、宣言した、あるいは宣言しないサラフィー主義侯国を樹立する可能性があり、そして、これは、シーア派拡張の戦略的最深部(イラクとイラン)とみなされているシリア政権を孤立させるため、反政府派を支援している諸国がまさに望んでいることだ。
2012年、この“サラフィ主義者”(イスラム)“侯国”(国家)への言及は、あきらかに当時“反政府派”と呼ばれていた、アメリカ、サウジアラビアとトルコが支援するアルカイダ系列を、公式に、ISISに変身させることが決まった時期のことだ。一体どういう“支援勢力”がその創生を支援していたのかを明らかにすべく、DIA報告はこう説明している(強調は筆者)。
欧米、湾岸諸国とトルコは反政府派を支持している。一方ロシア、中国とイランは政権を支持している。
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エスカレーションに対するこの突然の関心は、ISIS対策とは無関係で、欧米の代理テロリストが、完全に絶滅され、そして/あるいは、シリアから追い出される前に、救出することが狙いなのは明らかだ。シリア国内のアルカイダとISISの過激派戦士の形勢を不利にする上で、極めて重要な役割を演じたロシアは、シリア北部地域への差し迫った軍事的侵略らしきものにつて、トルコを非難するに至っている。
ロイターは“ロシアとトルコ、シリアを巡り非難の応酬”という記事でこう報じている。
木曜日、シリア軍情報筋が、ロシアによる上空援護を得て、政府軍によってアレッポが間もなく包囲されると語る中、トルコがシリアへの軍事侵略を準備していると疑っているとロシアは述べた。
ISISは常にそのように作られていたのだが、アメリカと地域の同盟諸国によるあらゆる将来の作戦を正当化するための単なる口実として機能しているのだ。全て実際には、戦場におけるシリアとロシアか獲得したものに挑戦し押し戻すこと、最低でも、敗北した欧米の代理軍が撤退するため、シリア領内に難攻不落な避難所を獲得することを狙った作戦なのだ。
緩衝地帯(またしても)
シリア領から緩衝地帯を切り出すという発想も、リビア風政権転覆が、すばやく実現するのは、不可能ではないにせよ、困難だろうということが明らかになった2012年という昔にさかのぼる。考え方は、アメリカと同盟諸国が、力ずくでダマスカスをパニックにさせたいと願っていたテンポの速い、圧倒的な代理戦争から、NATOがシリアで占領した“安全な避難場所”からしかけるよりゆっくりとした代理戦争に切り替えるというものだ。
NATOの上空援護を得て、テロリストは、シリア領奥深く、安全に作戦をしかけることが可能となり、緩衝地帯と、NATOによる事実上の飛行禁止空域の両方を徐々に拡張する。
最終的に、緩衝地帯が直接ダマスカス政府崩壊を引き起こすよう計画されていた。
またしても、陰謀論どころではなく、ワシントンの政策コミュニティで、この計画があけすけに議論されている。
- 、大企業から資金提供を受けて、そこの政策立案者達が、イラク、アフガニスタン、リビア、そして現在は、シリア紛争のための上位戦略や、イランやその先の相手との将来における対決のための計画策定を手助けしてきた政治シンクタンク、ブルッキングス研究所は、これら“緩衝地帯”の本質について明確に語っている。“シリア脱構築: アメリカの最も絶望的な戦争のための新戦略”と題する最近の文章にはこうある。
…それが可能になり次第、穏健派が、シリア国内に確実な安全地帯を設置するのを支援するというのが考えかただ。アメリカや、サウジアラビアや、トルコや、イギリスや、ヨルダンや他のアラブの軍隊が、空からのみならず、最終的には地上でも、特殊部隊を送り込んで、支援するだろう。
論文は更にこう説明している(強調筆者)。
こうした地域の大詰めは、事前に決めておくべき必要はないだろう。暫定的目標は、いくつかの極めて自治的な地帯と、ささやかな(最終的に) 国家政府のある連邦シリアかも知れない。もしこの取り組みが、協定によって正式なものにできれば、この連合は国際平和維持軍から必要な支援を受ける可能性が高い。しかし短期的には、野心はより控えめで、これらの地を防衛可能で、統治しやすくし、その中で暮らす住民に安心感を与え、地帯を安定化し、次第に拡張できるよう、より多くの新兵を訓練し、装備させることだ。
Su-35-ロシア戦闘機24
テロリストが占領しているシリア領土で、程度の差はあれ、様々な方法で、既にこれは試みられてきた。ロシアの上空援護を得て、シリア軍が北アレッポに進出する中、欧米マスコミ報道は、欧米政府が費用負担したインフラが破壊されつつあると文句を言っている。文字通り、アメリカ政府が提供する小麦粉を使って、アルカイダが運営しているパン屋を含むこのインフラは、“これら地帯を統治しやすくするための”ブルッキングス計画の一環なのだ。
シリア国内のロシア軍事勢力の駐留が、どうやら欧米が、シリア軍部隊に向けて直接軍事力を使用し、これらの地域をより“防衛しやすくする”のを妨げているようだ。
この計画が一体どのような形であらわれるのかは、今のところはわからない。最もありそうなのは、シリア、ロシアとクルドの軍が完全に空白状態を埋める前に、北シリアで縮小しつつあるアフリン-ジャラブルス回廊への限定された侵略だ。トルコとサウジアラビア軍が回廊のごく僅かな部分を確保しているので、ブルッキングス研究所が構想したように、それを徐々に拡張する取り組みが、近・中未来に行われる可能性がある。
ブルッキングス研究所は、北部でのトルコ作戦と、南部でのイスラエル攻撃を連携させることも想定しているが、これはいまでも検討されている選択肢の可能性が高い。
欧米がシリア領シリアの東端地域に入り、かなりの部分を占領して、バグダッド中央政府から、似たような戦術で奪い取る可能性が高いと思われるイラク国内の領土と合併させようとする可能性もある。
最良のシナリオは、依然、敗北 + 費用のかかる長期的対立
しかしながら最も可能性が高い結果は、何十年ではないにせよ、何年ものゴラン高原風の対立だ。
シリアはそれでも、領土の大部分で平和と秩序を回復し、国境内の欧米の代理勢力を一掃し、恐らく掌握した領土内で、彼ら自身の代理を動かし、トルコにとって、政治的、財政的、軍事的に大きな代償を招く紛争を引き起こすことが可能だろう。
サウジアラビアにとって、軍事力を更に広げれば、王国における作戦準備に負担がかかり、隣国イエメンに対する侵略戦争のさなか、戦闘能力を更に低下させる。サウジアラビア軍事能力の生来の弱さを暴露するもう一つの機会でもあり、中東いたるところで連中の影響力に挑戦している、反対勢力の大きくなりつつある弧を更に勢いづかせるだろう。
最悪のシナリオは、アメリカ覇権を脅かす
最悪のシナリオでは、NATOの北シリア侵略が圧倒的な抵抗に会って、空軍も地上部隊もなまくらにされることもある。トルコとサウジアラビアの大半の軍装備品は、アメリカとヨーロッパ製だから、次は世界という舞台での欧米軍事的優位性という幻想を更に弱体化することになる。これは、欧州連合とNATO同盟の双方と、近未来から中未来において、その双方なり、一方なりに加わろうとしている候補国の完全性に、極めて大きな影響を及ぼすだろう。
シリアの大詰めが迫り来る中、ダマスカスと同盟国は、この二つ目の最悪シナリオを、アメリカ-トルコ-サウジアラビアによる北シリアへのあらゆる侵略で、最もありそうな結果にすべく、大いに注力するだろう。そうすることにより、彼らはそのような動きが、そもそも実施されるのを阻止したり、明らかなリスクにもかかわらず、欧米があえて実行すれば、想像もできない結果をもたらすようにしたりすることが可能だ。
ダマスカスに対する政権転覆作戦が失敗した場合、シリア領から緩衝地帯を切り取るという計画は、文字通り、長年かけて練り上げられたものなのだから、シリアと同盟諸国がそれに対抗する本格的な対策を同じくらい長期間にわたり計画しているよう切に望む。
Tony Cartalucciはバンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2016/02/06/syria-natos-last-desperate-options-in-lost-proxy-war/
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