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サウジアラビアがシリアに地上軍派兵予定で、中東の混乱はこれまで以上に
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2016年2月 9日 マスコミに載らない海外記事
Peter KORZUN |2016年2月8日| 00:00
Strategic Culture Foundation
ロシア空爆の有効性が、反政府派が占拠している激戦中の都市アレッポ北部をシリア正規軍が包囲するのを助け、反政府派が、シリアでの戦争に敗北しかねないという懸念が強まった。この予想は、アメリカ率いる連合に属し、バッシャール・アサド政権を打倒するという頑固な願望を持ったいくつかの国の背筋をゾッとさせた。戦争で荒廃した国に軍隊を派兵する準備ができていることを、今や主要国が発表したのだ。
アアメリカが率いる連合が、地上作戦を呼びかけたら、サウジアラビは、シリアに軍部隊を派兵する準備ができている。サウジアラビア政府が現地に派兵する意思を公式に表明したのはこれが初めてだ。“王国は連合がシリアで遂行すると合意したあらゆる地上作戦(対「イスラム国」)に参加する用意がある”と、軍広報官アフメド・アル-アシリ准将がアル・アラビヤ・ニューズ・チャネルのインタビューで述べた。
“…空爆作戦は理想的な解決策ではなく、空爆作戦と、地上作戦とを併用すべきだと我々は考えている”とアシリ准将は語った。
トルコと協力し、何千人もの特殊部隊が派兵される可能性が高いと、サウジアラビア情報筋がガーディアンに語った。
その前に、アンカラはシリアに軍隊を派兵する用意ができていることを明らかにした。サウジアラビアとトルコが、数週間前に、軍事調整機関を立ち上げたのは偶然ではない
アメリカが率いる連合が始めるシリアでのあらゆる地上作戦に参加するというサウジアラビアの申し出を、メリカ国防長官アシュトン・カーターは、すかさず歓迎した。
地上軍派兵の申し出を、サウジアラビア国防相と、来週ブリュッセルで話し合うのを楽しみにしていると、カーターは述べた。
サウジアラビアとトルコの地上作戦はもう長いこと議題にのっていた。この情報の妥当性は、ハフィントン・ポストによって確認された。
両国間の対話は、カタールが仲介した。計画は、シリア政府に反対する“穏健”シリア反政府派戦士を支援するサウジアラビアの空爆に守られてトルコが地上軍を派兵することを構想している。
これは、シリアに関する別の声明を思いおこさせる。昨年11月、アラブ首長国連邦は、シリア現地における多国籍対テロの取り組みに進んで参加したいと述べていたのだ。
軍事的貢献がどれほど限定的なものであれ、UAEの参加は、政治的に重要だ。少なくとも3つの国が、もし行動がアメリカ合州国が率いる65か国の連合に支持されれば、地上作戦に参戦するつもりだと述べているのだ。
計画されている軍事行動の結果、直面する率直な軍事的現実が存在することとなった。あらゆるサウジアラビア-トルコの軍事介入の規模に関して、深刻な疑問が残っている。これには相当な資金を必要としよう。サウジアラビアは、現在イエメンで厄介な戦争を行っている。サウジアラビアが、二つの戦争を戦い、継続するのは困難だろう。アメリカや、おそらく、UAEなど連合内の他のいくつかの国々が大規模地上軍を派遣する可能性はまずないので、サウジアラビアとトルコがこの取り組みの重荷を担うことになるはずだ。
侵入希望者(UAEを含め、もし11月の声明がいまでも有効であれば)全てスンナ派が支配的な国々なのだから、作戦は、スンナ派対 シーア派という宗派の境界に沿った地域分裂を悪化させるだろう。サウジアラビアが率いる、UAE、カタール、クウェート、スーダン、ソマリアを含むスンナ派諸国集団と、ある程度まではエジプトも。同様にサウジアラビアは、シリア、イエメンや他の国々で、多数のスンナ派非国家的集団のスポンサーをしている。一方イランは、シリア政権、ヒズボラ、アンサール・アラー(フーシ派)や、“人民動員軍”に含まれるイラク国内の様々な民兵集団を含むシーア派集団を率いている。
サウジアラビア-トルコ戦略は、イラン・シーア派に地域覇権への恐怖で突き動かされている。イランの地域的影響力は経済制裁下にあった時代ですら拡大し続けた。イラン核協定が成功裏にまとまった際のアラブ湾岸諸国(オマーンを除く)の反応がヒステリーに近かったことを思い出せば十分だ。こうした姿勢は、湾岸諸国(+トルコとイスラエル)の根底にある懸念が、実はイラン核兵器の危険ではなく、イラクからシリア、レバノンやイエメンに到る地域におけるイランの増大する政治的影響力の脅威であることを強く示唆している。
国際経済制裁が解除されたので、地域団体へのイランの政治的影響力は増大する恐怖があるようだ。確かに、イラン人(ペルシャ人)やシーア派イスラム教徒に対する反感は 厳格なワッハーブ派教義が支配的なサウジアラビアや他の国々ではあまねく広まっている。この事実にもかかわらず、時折の、サウジアラビアとイラン間の政治的やりとりや、何世紀にもわたる私的な社会交流や、スンナ派とシーア派イスラム教徒間の結婚を妨げはしなかった。宗派的政策を進めることによって、サウジアラビア指導部は、再建が極めて困難な橋を燃やしているかのように見える。
たとえサウジアラビアとトルコが地上戦争の取り組みの重荷を負担するとはいえ、作戦が始まれば、アメリカはスンナ派-シーア派の対決に関与し味方につかざるを得なくなる。
カタールやトルコと共に、サウジアラビアはシリア(ヌスラ戦線や、他のアルカイダ系列)の過激スンナ派イスラム主義者を支援し資金提供している。これがその活動が「イスラム国」 (IS)と本質的に区別不能な過激派の制御不能な連合を強化してしまいかねない。
アサド排除は解決ではなく、役者を入れ代えるに過ぎず、多くの現政権支持者を、武装反抗勢力に変え、アルカイダ戦士とISとの間での支配権争いに油をそそぐことになる。しかも過激なイスラム主義勢力がシリア領に定着してしまえば、シリアの国境(潜在的にトルコ、ヨルダンとイスラエルとの)における紛争が治まることはあるまい。アメリカとサウジアラビアによるアフガニスタンのムジャヒディン支援が、タリバンとアルカイダという形で、アメリカを悩ませる結果になっているのと同様、シリアのアルカイダ系列を激励している連中も、必然的しっぺ返しを受けずにはすまない。
これら過激派集団を、スポンサーが封じ込めて、支配できると考えるのは幻想だ。シリア国内の過激派を支援するのは、自分の顔に腹を立てて鼻を切り落とすようなものだ。地域に第101空挺師団の一部を派兵するというアメリカ高官の声明や、オバマ大統領の決定は、アメリカ合州国が、サウジアラビアとトルコの政策に関与し、支援をしたがっていることを示している。一見したところ、これは、短期的な政治目標のためには容認できる代償のように見える。現実には魅力的な幻想だ。現在、中東で解き放たれた宗派間憎悪が簡単に消え去ることはない。こうしたゲームの結果、何年も、おそらくは何世代も、影響が残るだろう。
* * *
ロシア外務省広報担当官マリア・ザハロワは、サウジアラビアの発表に関する発言で核心をついた。
“申し訳ないが、あなた方はイエメン人全員を既に撃退できたのかどうか伺いたい”ザハロワは皮肉なコメントをフェースブック・ページに投稿した。
アメリカがシリアに軍隊を派兵するという最近のニュースで、トルコはシリアでの地上作戦を開始する意図を発表しており、シリア領内での“あらゆる”軍事作戦に参戦する用意があるというサウジアラビアの声明は、迫り来る大規模戦争の指標として機能している。サウジアラビアとトルコが支援している反政府派が、ジュネーブ-3和平交渉を妨害すべく最善を尽くしているのは偶然ではない。シリアへの地上軍派兵は、あからさまな国際法違反であるだけではない。そうした行為は、ロシア-シリア-イラン連合と、アメリカが率いる連合を、衝突の瀬戸際に導きかねない。サウジアラビア、トルコや他の国々は、アメリカの支援に頼って、この危険なゲームを始めたがっている。アメリカ合州国は鍵となる国だ。アメリカは最悪のことが起きるのを避けるために影響力を使うことが可能であり、使うべきなのだ。アメリカは過程を指揮して、状況が予測不可能な影響をもたらす制御不能な紛争に陥るのを防ぐことが可能だ。
たとえば、アメリカ国務長官ジョン・ケリーは、ロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフとの緊密な関係を享受している。両外務省首脳は、状況について緊急会談をすることができる。二人に、一切包み隠さずに、お互いの意図と、それに伴う影響を話し合ってもらおうではないか。ロシアとアメリカは、1962年キューバ危機の時期に世界が奈落の底に落ちるのを防ぐことに成功し、対話と政治的交流が素晴らしい成果を上げられることを証明した。アメリカには今おきていることに対して大きな責任がある。外交的行動をするべきは今だ。アメリカ合州国は、ロシアがその取り組みに沿って協力するだろうことは十分理解している。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/02/08/saudi-arabia-deploy-ground-forces-syria-middle-east-turmoil-greater-than-ever.html
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