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「日本スゴイ」なんて自己陶酔する「この国」はアホの限界
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2017/01/22/post-1358.html
サンデー毎日 2017年1月22日号
牧太郎の青い空白い雲 603
新年、柄にもなく神仏に「国家の安寧」を祈った。おのれの健康より、国家が大事!なんて思ったのは初めてのことだ。
昨年6月、国民投票でイギリスのEU離脱が決まった。11月のアメリカ大統領選はトランプ氏が予想を覆し勝利した。グローバル経済の下で「困難な立場」に追いやられた人々が、「既存の価値観」に異議を申し立て"思わぬ結果"を招いた。
とはいっても、グローバル化の波は避けられない。これも時代の流れだ。その結果、あちこちで保護主義(=愛国第一主義)派と市場開放派の「戦い」が始まる。「価値観分断の時代」の到来である。
せめて日本国だけでも「限られた人間の限られた幸せ」ではなく、誰もがイライラすることなく、精神が安定する日々を過ごせるように! そう祈った。
電通の女性社員が長時間労働などに耐えられず自殺、イライラが高じて佐川急便の社員が配達の荷物を地面に叩(たた)きつけたりするようなことがないように!神仏に頼んだ。ともかく、日本は「アホの限界」に瀕(ひん)している。
長いことアメリカに「属国扱い」されているのに、今さら歴史的真珠湾訪問!と大々的に喧伝(けんでん)し、「仲直り」を演出する安倍さん。はっきり言わせてもらえば「アホの限界」である。大多数の国民がイライラしているのに、安倍さんはコレに気づかない。批判精神旺盛なはずのメディアは「アホの限界」に知らん顔。神仏に頼るしかない。不安な新年である。
× × ×
今年も「安倍晋三首相」でいいのか?
昨年5月16日の国会審議。安倍さんは「議会の運営について、少し勉強していただいたほうがいい。議会については、私は立法府の長」と答弁した。念のため、立法府の長は(形式的ではあるが)、衆参両院議長である。安倍さんは小学生でも知っていることすら知らない。無知だ。「言い間違えだ」と彼に味方する人もいるが、翌日も「立法府の長」と言い続けた。誰かが教えてやらないと、裸の王様は「無知」に気づかない。
安倍さんは「下品」でもある。その12日後の国会で「早く質問しろよ!」。ヤクザのようだった。
安倍さんは「嘘(うそ)つき」だ。
これは数え切れない。その代表格が「フクシマについてお案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御されています」。例の五輪招致プレゼンテーションでの発言。これは真っ赤な嘘だ!と世界は知っている。
「デフレではないという状況を作りだすことはできたが、デフレ脱却というところまではきていないのも事実」と言い続ける。何を言いたいのか、さっぱりわからない。要するに、真っ赤な嘘の連続。地獄の閻魔(えんま)様もビックリだ。
「思い上がり」でもある。「(憲法解釈の)最高責任者は内閣法制局長官ではなく私だ」と言い放つ。
それでも「安倍首相」を権力の座から引きずり降ろそうとしないのは、悪知恵に長(た)ける「限られた人々」が、「利用価値」を知っているからだ。首相をおだてれば「利権」を独り占めすることができる。この構図は、大統領スキャンダルで瀕死の韓国と同じではないのか?
× × ×
年末年始、テレビ各局は「日本スゴイ」特集を流した。
12月29日の「世界!ニッポン行きたい人応援団」(テレビ東京)は3時間も、外国人が「日本大好き!」と称賛する番組だった。1月3日は日本の良さを再確認する「和風総本家」(テレビ大阪)......日本って、伝統文化もハイテクも全部スゴイ!を連発する。年末年始、テレビは日本礼賛のオンパレードだった。書店にも「日本スゴイ」本が並ぶ。『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社)といった調子である。
誰かが「日本スゴイ」ブームを作っているのか。 安倍さんの「アホ支配」を続けようとする向きが、カネを使って「世論操作」をしているのではあるまいか?
(少数派だ!と思いたいが)アホな日本人が「日本スゴイ」ブームに自己陶酔している。
× × ×
戦時下の自己陶酔に似ている。
満州事変をキッカケに、国際社会から孤立した日本は天皇中心の国家統治を前面に打ち出し「神の国、日本はスゴイ」を喧伝した。日本民族は優秀だ!と信じた日本人はやがて破局を迎えた。
あの時と同じではないか?
2017年、日本は「スゴイ」どころか、「アホの限界」を迎えているのに。
あえて言う。今年も「安倍首相」でいいのか?
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