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気がつけば敵をつくるだけに終わっている安倍外交の正体
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/197237
2017年1月10日 日刊ゲンダイ 文字お越し
抗議の帰国の長嶺大使(左・央=AP)と釜山日本総領事館前に設置された少女像/(C)ロイター
この判断が歴史の分水嶺となるのではないか。
韓国・釜山の日本総領事館前に少女像が設置された問題。日本政府が決定した対抗措置の一環で、9日、長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事の2人が一時帰国をした。強い抗議を示す“異例”の措置だが、これで事は前に進むのか。問題が解決するのか。
2015年12月の日韓合意で、「最終的かつ不可逆的な解決」として日本側は軍の関与と政府責任を認め、元慰安婦を支援する韓国の財団に10億円を拠出、韓国側はソウルの日本大使館前の少女像の撤去について「適切に解決するよう努力する」と表明していた。民間団体がやったこととはいえ、韓国政府が日本の領事館前の新たな少女像設置を放置するのは、信義にもとる行為だとして安倍政権は強硬姿勢に出たわけだ。
日本国内は大メディアも黙認ムードで、「両国政府は対応に苦慮」と腫れ物に触るような報じ方。テレビの情報番組などは合意を履行しない韓国が悪いという空気さえある。だが、死に体の朴政権下で大使や領事を一時帰国させたからといって、すぐに慰安婦像が撤去されるとは思えない。展望ゼロの強硬策は、むしろ韓国世論の火に油を注ぐだけじゃないのか。
コリア・レポート編集長の辺真一氏はこう言う。
「韓国政府は、釜山の日本総領事館前の少女像について『好ましくない』としていたが、世論に押されて設置されてしまった。そういう経緯がありながら、日本政府がこの一件を外交問題にし、大使を一時帰国させたことについて、韓国世論は『そこまでするのか』という反応です。
圧力をかければかけるほど、逆に韓国国内の反発は強まり、ソウルの大使館前や領事館前の少女像の撤去は遠のく。さらに、安倍首相が『日本は10億円を払った。韓国側も誠意を示せ』という言い方をしていることが、韓国では『カネで決着をつけた』と悪いイメージで受け止められている。早速、野党第1党は『10億円を返そう』と言い出し、日韓合意をチャラにしようとしています。安倍政権はレームダックの朴政権が何もできないことをわかっていながら、次の政権への牽制として強硬手段を取ったのでしょうが、私は裏目に出たと思います」
外相レベルの形だけの合意だった(C)AP
メンツ先行では何も解決できない
こうした最悪の事態になったのは、一昨年の日韓合意が、邪な、形だけの決着だったことが根っこにある。歴史問題で中韓が連携する流れを嫌った米国が日韓両国を締め付けた結果、バタバタと合意に至ったもので、外相レベルの口約束だけで文書も何もない。国民的合意ではなく、オバマ大統領の顔を立てることが優先された欺瞞の合意だったから簡単に崩れる。
韓国は朴政権が弱体化した今、次期大統領選を睨んで野党が朴の外交批判を展開。世論もそれを後押ししている。今回の日本側の抗議に対しても、「日韓合意は文書もなく、条約でもない」「日本は合意より重い『日韓漁業協定』を一方的に破棄したではないか」などと逆に攻勢をかけ、対立は激化するばかりなのである。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏もこう言う。
「メンツをつぶされたからお仕置きだとばかりに大使を一時的に帰国させても、何の解決にもなりません。韓国の一般国民は日本に対し、第2次大戦前からの日本統治時代に、力で押し込まれてきたという感情が残っている。それが従軍慰安婦問題の根底にあるのです。韓国世論の6割が日韓合意を破棄すべきとする調査結果が出ています。圧力で制裁を科すのではなく、韓国国民の対日感情をひとつひとつ解きほぐしていかなければならないと思います」
安倍政権の感情論に任せた無定見外交は、日韓関係を悪化させるだけなのである。
■戦争準備、言論弾圧、報復外交が同時進行の恐怖
危ういのはメンツ優先で報復一直線の狂乱首相が、今国会で悪名高き「共謀罪」を成立させようとしていることだ。安倍政権にとって「共謀罪」は、「秘密保護法」「集団的自衛権の行使を容認する安保法」に続く戦争準備法制である。
「共謀罪」は2003〜05年に3回も廃案に追い込まれた悪法だが、組織犯罪処罰法の改正案という形で、名称も「テロ等準備罪」に改める。2020年東京五輪に向けてのテロ対策を名目にし、適用対象も単なる「団体」から「組織的犯罪集団」に絞り込むため、菅官房長官は「従前の共謀罪とは別物だ」と言い張るが、安倍政権のいつもの手口にだまされてはいけない。
法案では対象となる犯罪は、従前の共謀罪と同じで676にも上っている。何をもって「テロ準備」とし、「犯罪集団」と認定するのか。日弁連などが「(捜査機関が)法律を恣意的に解釈すれば、処罰対象は拡大する恐れがある」と警鐘を鳴らすのは当然だ。
強権・独裁の安倍政権のことだから、米軍基地や原発への反対運動が対象になる恐れだってある。
情報法制に詳しい中川亮弁護士は「治安維持法よりタチが悪い。考えたり、思ったりという『内心』が罰せられる、という本質は変わっていません」と断じていた。秘密保護法、安保法、共謀罪と、徹底的に自由な言論を封じ込め、戦争ができる戦前さながらの国家につくり変えようとしているのである。
「共謀罪は集団的自衛権で自衛隊を海外に派遣することと関係しています。2005年に日米で合意した『日米同盟:未来のための変革と再編』では、『共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる』とされています。これに従って日本政府は着々と法律を整備してきた。共謀罪もそのひとつで、米国の安全保障戦略のための日本の制度づくりなのです。実際は自衛隊が中東に派遣される可能性が高いですが、戦争ができる国づくりのために、安倍政権は今まで以上に中国や北朝鮮の脅威をあおって、緊張を高める手段に出る危険性があります」(孫崎享氏=前出)
■展望ゼロで突っ走る愚
この事態を韓国など近隣アジア諸国がどう受け止めるか。慰安婦問題での強硬姿勢と相まって、日本に対する警戒感を強めるだろうことは間違いない。
前出の辺真一氏がこう言う。
「大使の一時帰国という安倍政権の対抗措置は、韓国がいかに約束を守らない国であるかを国際的にアピールする狙いがあったと思う。しかし、日本では米国のバイデン副大統領が日本の立場に理解を示したように伝えられていますが、韓国ではバイデン氏は日本に対し、対抗措置を取らないように注文を付けたと報じられています」
これじゃあ日本はピエロである。
オバマ米国も、偽善の真珠湾慰霊で分かるように、安倍を信用することはないだろうし、次期政権は貿易問題で就任前にトヨタを名指し批判するトランプだ。経済だけでなく安保でも日本政府に無理難題を押し付けてくるだろう。
北方領土問題でプーチンのロシアにもはしごを外され、習近平の中国とも睨み合いが続く。唯一、改善の兆しとされた韓国も朴槿恵の失脚と今回の少女像問題で再び亀裂が走った。
気がつけば、安倍外交は敵だらけだ。それでもタカ派路線で突っ走る。何の展望もないのに突っ走る。見ちゃいられない。この政権は、本当にマズい。
- 国際板リンク:釜山慰安婦像問題への海外の反応は?アメリカや欧州のメディアはどう伝えたか? 戦争とはこういう物 2017/1/10 20:08:39
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