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鈴木宗男氏(左)と佐藤優氏(右)による対談講演会「東京大地塾」。集中連載第二回目のテーマは「北方領土交渉」
日露首脳会談は大成功だった? ロシアが嫌がる日米安保条約でプーチンが示したメッセージ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170110-00078048-playboyz-pol
週プレNEWS 1/10(火) 11:00配信
鈴木宗男・新党大地代表と、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による対談講演会「東京大地塾」(2016年12月22日開催)。
週プレNEWS集中連載第2回目のテーマは、新しい局面を迎えつつある北方領土交渉。(第1回参照「金正恩氏暗殺計画が現実に? 北朝鮮の核脅威より怖ろしい韓国の対日圧力とは」)
2016年12月15、16日に行なわれた日露首脳会談。多くのメディアがこの会談をネガティブな内容で報じたのに対し、両氏は今回の会談を“大成功”であったと振り返る。果たして、その理由は…。そして北方四島返還の為に今、政府と外務省がすべきこととは?
■日露首脳会談が成功といえる理由
鈴木 2016年12月15、16日に行なわれた日露首脳会談は大成功に終わったと受け止めておりますが、佐藤さんはどのようにお考えでしょうか?
佐藤 成功か失敗かをどこで評価するかの基準は、どのような目標を設定したかによります。仮に日本政府が歯舞群島、色丹島の引き渡しの実現を設定していたならば失敗ですが、そんな目標は初めから設定していません。
今回の交渉の目標は、領土問題や経済活動について日露でちゃんと交渉できる環境を整えるということです。その観点で見た時、今回の首脳会談は大成功だったといえます。
2016年12月16日の共同記者会見で安倍首相は「島での経済活動のための特別な組織を作り上げ合意を締結し、協力のメカニズムを作り、それをベースにして平和条約問題を解決する条件を作り上げていく」とし、平和条約の締結を一義的なものとしてあげています。
そして、プーチン大統領も安倍首相に対して「安倍首相の提案を実現していけば、この島は日露間の争いの種ではなく、日本とロシアを繋ぐ存在になりうる可能性がある」と発言しています。四島での共同経済活動を通じて信頼関係を構築し、深めていくことが歯舞群島・色丹島の引き渡しに繋がるというわけです。
鈴木 では、まず何から手をつけていくべきでしょうか?
佐藤 早く空の自由訪問をやるべきですね。船便だと波の高い季節は使えない上に、高齢の方は体力的に利用しづらい。だから中標津空港から択捉、国後にチャーター便を飛ばして、季節を問わず1年中行き来できるようにすべきです。
それから、向こう1年以内に共同経済活動で水産加工工場、サプリメント工場、病院などを作る。日本国民の信用を保つためにも目に見える成果を上げなければいけません。
もうひとつ重要なのは、日米安保条約です。歯舞群島、色丹島がロシアから引き渡されて日本の施政に入ると、日米安保条約第5条が適用され、米軍がこの島々に展開することが可能になる。これはロシアは嫌がるため、日本が北方領土交渉を進める上でやり方を考えなければいけないハードルでした。
しかし、この件に関してもプーチンは交渉をスムーズに進めるための柔軟な声明を出しています。
「日本と米国の関係は特別です。日本と米国の間には安保条約が存在しており、日本は決められた責務を負っています。この日米関係はどうなるのか、私たちにはわかりません」。つまり、今の北方領土交渉の段階でロシアは日米安保5条の適用除外を求めないし、そこは安倍首相が政治的に担保してさえくれればいいよ、と言っているんです。
アメリカは日本国内で基地展開を勝手に決められませんから、日米合同委員会で安倍首相が米国に対して、歯舞群島・色丹島が日本に引き渡されてもそこには展開しないでくれと頼めばいいんですよ。
鈴木 トランプ新大統領が誕生すると、日露関係にも影響が懸念されます。北方交渉もスピード感を持ってやることが大切になってくると思います。
佐藤 そうですね。ロシアはアメリカとの関係が良くなり過ぎると、日露関係を改善する必要がなくなってしまいます。ただ、向こう2年間、米ロ関係は大きく変化しない。
それは、トランプは非常に高い支持率でスタートしたオバマが中間選挙で負けたのを機に人気がどんどんなくなっていったのをしっかり見ていたからです。だからトランプが今一番大事に考えているのは、中間選挙で共和党が過半数を議会で確保することです。移民の問題等に全エネルギーをかけるから、対ロシア外交で無理なことはしない。
つまり、この2年間が日本にとってチャンスなんです。その間に北方領土で目に見える具体的な成果を上げられるかが重要。経済協力や空の自由訪問を実現させ、歯舞群島、色丹島の地域振興を行なっていく。そうすれば、例えば色丹島の島民ひとりひとりに、日本に返還になったほうが自分の個人的な生活においては得であると認識をさせることはできます。
そう感じる人が色丹島で7割というところまで持っていければ引き渡しになりますよ。5、6年後には歯舞諸島・色丹島が返ってくる可能性は十分にあります。
●鈴木宗男(すずき・むねお)
1948年生まれ、北海道出身。新党大地代表。2002年に国策捜査で逮捕・起訴、2010年に収監される。現在は2017年4月公民権停止満了後の立候補、議員復活に向け、全国行脚中!
●佐藤優(さとう・まさる)
1960年生まれ、東京都出身。外務省時代に鈴木宗男氏と知り合い、鈴木氏同様、国策捜査で逮捕・起訴される。外務省退職後は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、作家・評論家として活躍
■「東京大地塾」とは?
毎月1回行なわれる新党大地主催の国政・国際情勢などの分析・講演会。鈴木・佐藤両氏の鋭い解説が無料で聞けるとあって、毎回100人ほどの人が集まる大盛況ぶりを見せる。次回の開催は1月26日(木)。詳しくは新党大地のホームページへ
(取材・文/小峯隆生 撮影/五十嵐和博)
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