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甘すぎる安倍政権 トランプショックはこれからが本番
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2017年1月7日 日刊ゲンダイ 文字お越し ※タイトルは紙面と記事による
振りまわされるだけ(C)AP
日本企業に激震が走っている。次期アメリカ大統領のトランプが、トヨタを名指しで恫喝したからだ。
「アメリカファースト」を掲げ、雇用拡大と製造業の復活を最重視しているトランプは、これまでメキシコに生産拠点を移そうとしたアメリカ企業を「35%の関税を課す」などと恫喝。脅しに屈したフォードやキヤリアは、やむなく移転撤回に追い込まれている。
その矛先が、とうとう日本のトップ企業に向けられた形だ。5日、ツイッターでトヨタをこう批判した。
「トヨタはメキシコにアメリカ向けのカローラを造る工場を建てると発表した。とんでもない!」
「アメリカに工場を建てろ。さもなければ多額の関税を払え」
トヨタは10億ドル(約1150億円)を投じて、メキシコに2カ所目となる新工場を建設している。昨年11月に起工式を行い、2019年に完成する予定だ。もちろん違法ではなく、しかも、アメリカの雇用が減るわけでもない。アメリカ国内の工場を閉鎖してメキシコに建てるわけじゃないからだ。しかし、6日のトヨタ株は一時、3%も下落してしまった。
トランプの恫喝に、トヨタだけでなく日本の名だたる企業が震え上がっている。
「2015年時点でメキシコに進出している日本企業は899社に達しています。その5年前から倍増した。アメリカ、メキシコ、カナダがNAFTAを締結し、3カ国の関税が撤廃されたからです。生産コストの低いメキシコを生産拠点にして、アメリカに輸出している。たとえば、自動車産業の人件費は、アメリカの平均時給28ドルに対し、メキシコは5.5ドルと5分の1です。北米で販売する日産車の4台に1台はメキシコで組み立てている。もし、メキシコからの輸出に35%の関税をかけられたら、NAFTAを利用したビジネスモデルは成り立たなくなる。メキシコに進出している日本企業は大慌てしているはずです」(経済評論家・斎藤満氏)
■トヨタ叩きも公約を果たしているだけ
ルールに従っているトヨタに対して「アメリカに工場を建てろ。さもなければ多額の関税を払え」とは、まるで暴力団だが、傍若無人のトランプが理屈の通らない要求を突きつけてくることは、予想できたことだ。
なにしろ、大統領選の時から「NAFTAは再交渉する」「日本車の関税を38%にする」などと、勝手なことを口にしていた。トランプ本人からしてみたら、公約を実行しているだけの話なのだろう。
厄介なのは、トランプを大統領に押し上げた支持者も、公約を果たすことを強く望んでいることだ。
トランプを当選させたのは、工場の海外移転などで仕事を失った白人労働者たちだ。カギを握ったのが、ラストベルト(さびついた工業地帯)と呼ばれる中西部である。五大湖沿岸の製造業州だったペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州の3州は、過去6回連続して民主党候補に勝利を与えてきたが、今回、白人労働者が反乱し、トランプを勝たせている。3州の逆転がなかったら、トランプの大統領就任はなかった。
「トランプの支持者が求めているのは、“不法移民を追放しろ”“工場の海外移転をやめろ”などとシンプルなものです。グローバル経済によって職を失った白人労働者は、製造業を再興し、雇用を創出するというトランプの訴えに一票を投じた。トランプがやろうとしていることが、最終的に彼らの利益になるとは思えませんが、メキシコに工場を建設しようとしているトヨタを叩くことは、トランプにとっても支持者にとっても、自然なことなのでしょう」(外交評論家・小山貴氏)
経済のグローバル化が進んだ90年代以降、アメリカでは黒人やヒスパニックの死亡率は減少しているのに、中年白人の死亡率は上昇している。薬物中毒、自殺、慢性肝炎による死が増えているそうだ。もはや〈トランプのアメリカ〉は、アメリカの利益のためなら何でもありになっている。
株高に浮かれていては…(C)日刊ゲンダイ
トランプ現象を理解していない安倍政権
それにしても、日本政府も日本企業もつくづく見通しが甘い。トランプの過去の言動を吟味すれば、メキシコに進出している日本企業がバッシングの対象になることは容易に予想できたことなのに、慌てふためいているのだから話にならない。
いったい、安倍首相は何のためにニューヨークまで飛んで行き、当選直後のトランプに会ったのか。
安倍周辺も「トランプも大統領に就任したら無謀なことはできない」「安倍首相が説得すればいい」などとノーテンキな甘い見通しを語っていたのだから、バカ丸出しである。元外交官の天木直人氏はこう言う。
「今ごろ、日本政府がトランプの言動に慌てているのは、トランプが登場した時、トランプ現象を正確に理解していなかった証拠です。長期レースである大統領選でも、彼は平気でひんしゅくを買う暴言をつづけ、アメリカの知識人は選挙中から『彼が大統領になったら大変なことになる』と警告を発していました。なのに、安倍政権はアメリカで変化が起きていることを、まったく理解していなかったのだと思う。安倍さんの周辺からは『トランプも大統領に就任したら変わるよ』などと甘い見通しが流れていた。トランプという人物を理解する気もなかったのでしょう。今考えると、日本を代表するトヨタが叩かれるとも気づかず、安倍さんが『信頼できる人物だ』とトランプに太鼓判を押したのは、マンガですよ」
トランプと直接会った人物による共通の「トランプ評」は、バカに見えてクレバーだということだ。トランプの発言は、思いつきではなく、計算された発言の可能性が高い。
■ルールも理屈も関係ない
この先、トランプは、日本や日本企業に対して、どんな要求を突きつけてくるのか。トヨタ叩きは、まだ序の口だと考えた方がいい。大統領に就任した直後から次々に無理な要求をしてくるのは目に見えている。
「ビジネスマン出身のトランプは、外交も取引のように考えているはずだ、と指摘されますが、トヨタ叩きを見る限り、とてもビジネスの取引とは思えない。ウインウインを目指していないからです。ルールも理屈も関係ない。日産のカルロス・ゴーンが、『NAFTAのルールが変わるなら適応するまでだ』と発言しているのは、トランプによってルールを変えられてしまうと感じ取っているからでしょう。恐らく日本に対しては、2国間交渉でガンガン攻めてくるはずです。国民皆保険をやめてアメリカの民間保険会社に入れなどと言ってくるかも知れない。恐ろしいのは、なにをやってくるか、予測不可能だということです。偉大なアメリカを目指しているトランプは、本来、ドル高を志向するはずですが、ある日突然、ツイッターで『最近のドル高は看過できない』とつぶやきかねない。その瞬間、為替は一気に円高が進み、株価も急落してしまうでしょう。トランプの顔色をうかがっているだけの日本は振り回されることになるはずです」(斎藤満氏=前出)
世界中がトランプ大統領の誕生を警戒しているのに、安倍政権も経済人も束の間の「円安株高」で株価2万5000円だ、などと浮かれているのだから、この国はどうかしている。
トヨタ叩きは、トランプ・ショックのほんのはじまりに過ぎない。恐ろしい事態が待っていると考えるべきだ。
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