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改正国民年金法が成立、年金は確保できるのか?
変わる国民年金、「じぶん年金」の必要性高まる(後編)
2017.1.6(金) 岡田 正樹
改正国民年金法が成立した。改正の中身とは?(写真はイメージ)
2016年は、国民年金に関わる法律の改正が相次ぎました。まず、5月に「確定拠出年金(DC)」の改正法が成立し、個人型DCに誰でも加入できるようになりました。そして12月14日には、年金の給付を抑える「改正国民年金法」が成立しました。
国民年金の仕組みが変わり、「じぶん年金」の必要性が高まっています。前回「驚きの節税効果、個人型DCのメリットとデメリット」は「確定拠出年金(DC)」の改正法について解説しました。今回は、「改正国民年金法」のポイントを解説しましょう。
年金支給額は15年間で年20万円減少
今回の「国民年金法」改正は、年金の支給額を抑制する新しいルールをつくり、将来世代の年金を確保しようという試みです。概要は以下の通りです。
・支給額改定に新ルールを適用。賃金の下落率に合わせて年金額を改定する
・マクロ経済スライドを強化。物価上昇時に複数年分まとめて給付を引き下げる
・厚生年金の加入対象を拡大。従業員数500人以下の中小企業の短時間労働者も加入対象に
・出産前後の保険料を免除
・GRIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のガバナンス改革
・日本年金機構の不要財産返納
政府はこの改正によって「100年安心プラン」を目指していますが、野党は「年金カット法案」と批判して、反対していました。
日本の年金制度は会社員(第2号被保険者)や自営業(第1号被保険者)、専業主婦(第3号被保険者)などによって種類が異なり、支給される年金額も変わってきます。そのうえ、将来いくら支給されるのかもよく分かりません。
年金支給額はこのところ減り続けています。夫婦の基礎年金に夫の厚生年金を加えた「標準的な年金額」は、2000年の月額23万8125円から、2015年には同22万1507円となりました。支給額が15年間で年額20万円近く減少しているのです。標準的な年金受給世帯の年金額(夫婦の基礎年金+夫の厚生年金)の推移は以下の通りです(表1)。
表1 年金額の推移(出所:厚生労働白書)
*特例水準の計算式によって算出された給付水準
夫が平均的収入(平均標準報酬月額36.0万円。賞与を除く)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯が受け取り始める場合の額
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高齢者の年金を減らす新しいルール
最初のポイントは、現役世代の賃金下落に合わせて高齢者が受け取る年金額を減らす新しいルールです。
現在は、物価が上昇していれば、賃金が下がっても高齢者の生活水準に配慮して給付額を据え置いています。物価が下落して賃金がさらに下落した場合も、物価に合わせて給付額を引き下げています。しかし、改正後は賃金に合わせて引き下げることになります。実施は2021年4月からです。
マクロ経済スライドは2004年に導入されました。物価や賃金が伸びている間は毎年およそ1%ずつ支給額を抑えて年金制度の持続性を高める仕組みです。しかし、物価が下落しているデフレ下では適用しないため、消費税が5%から8%に上がった翌年の2015年度に1回しか発動されていません。
今回の改正では、物価の下落局面では支給額の抑制を凍結する代わりに、物価が上昇に転じたときは2018年度から複数分まとめて抑制できるようにしました。
支給年齢の引き上げや高所得者への支給制限も
国民年金法の改正で将来世代の年金は確保できるのでしょうか?
国民年金の給付総額は年間50兆6157億円です。これに対して収入は、保険料が32兆5640億円、国庫負担などが11兆8143億円、運用益が5兆1041億円などとなっています(表2)。
表2 公的年金の財政状況(2014年度)
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50兆円という支給総額は、政府の予算案(2017年度97兆4547億円)の半分を占める規模です。高齢者の受け取る年金を減らすことで、年金財政のバランスを調整するのが、マクロ経済スライドという仕組みです。政府としては、いつまで削減を続ければ年金財政のバランスがとれるか、5年ごとに検証しています。
2009年の財政検証では、2038年度まで削減を続ければ、2105年までの年金財政のバランスがとれるという結果でした。2014年の財政検証ではこうした計算結果がなく、給付水準の調整機関の終了時期が経済再生ケースで2043〜2044年度の見通しとなっています。「100年安心プラン」を実現するためには、2040年前後まで年金が減り続けることになります。
これまで物価や賃金の伸びが小さかったため、マクロ経済スライドが1回しか発動されていないことから、年金額の調整期間が先延ばしにされてきました。
今後は、年金支給開始年齢の引き上げや、高所得者への支給制限の実施など、給付総額を抑制するための改革も検討されています。将来世代の年金確保は前途多難と言えそうです。
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驚きの節税効果、個人型DCのメリットとデメリット
変わる国民年金、「じぶん年金」の必要性高まる(前編)
2017.1.4(水) 岡田 正樹
個人型DCに誰でも加入できるようになった。メリットとデメリットは?(写真はイメージ)
2016年は、国民年金に関わる法律の改正が相次ぎました。まず、5月に「確定拠出年金(DC)」の改正法が成立し、個人型DCに誰でも加入できるようになりました。そして12月14日には、年金の給付を抑える「改正国民年金法」が成立しました。
国民年金の仕組みが変わり、「じぶん年金」の必要性が高まっています。以下では、それぞれの法改正の内容を2回にわたって解説しましょう。まず今回は「確定拠出年金(DC)」の改正法についてです。
個人型DCは「運営管理機関」に申し込む
確定拠出年金(DC)の改正によって、すでに企業年金に入っている会社員や公務員(第2号被保険者)、専業主婦(第3号被保険者)など、誰でも個人型DCに加入できるようになりました。
個人型DCは「iDeCo(イデコ)」という愛称が付けられており、2017年1月から基本的にすべての人が加入できます。企業年金に入っている従業員がiDeCoに加入するには、事業主が個人型DCを実施する国民年金基金連合会に事業所登録する必要があります。
個人型DCの加入は「運営管理機関」と呼ばれる金融機関に申し込みます。運用管理機関は銀行53、信用金庫68、労働金庫13、証券会社5、信託銀行1、投信会社2、保険会社8、専業会社3が行っています。受付業務のみを行う金融機関も137あります(2016年12月24日現在)。
国民年金基金連合会のホームページには運営管理機関が金融機関ごとに掲載されています。コールセンターや担当部署の電話番号、ホームページが載っているので、問い合わせてみるといいでしょう。
金融機関の支店はいくつかの大手銀行を除いて、個人型DCを扱っていないため、相談しにくいのが難点です。支店窓口では営業職員が制度の説明はできますが、運用関連の業務はしていません。2001年に出された制度の法令解釈で「営業職員にかかる運用関連業務の兼業の禁止」が通知されているからです。
中途解約できないデメリットも
iDeCoのメリットとして挙げられるのは、3つの税制優遇措置があることです(表1)。
表1 iDeCoの3つの税制優遇措置
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なかでも掛け金が全額所得控除できる点は大きいと言えるでしょう。
例えば所得税率20%の人(課税所得330万円〜695万円)が月額2万円を掛け金として拠出すると、住民税と合わせて30%、年間7万2000円の節税効果を生み出します。30%という運用利回りを得られる金融商品は見当たりません(「課税所得」は給与所得から基礎控除や配偶者控除、社会保険料や生命保険料などの控除額を差し引いたもの)。
ただし、金融機関はiDeCoのメリットばかりを強調して、中途解約ができないといったデメリットをきちんと伝えない傾向があります。
専業主婦は配偶者控除を受けるためには給与収入が103万円以下でなければならないという“103万円の壁”があります。所得がないので、掛け金を拠出しても所得控除は受けられません。一般に専業主婦は投資に関するリテラシー(理解力)が低いことから、元本確保型商品で運用する傾向が高くなります。運用益が非課税というメリットも受けられない人も出てきそうです。
こうしたデメリットに加えて、いったん加入すると中途で解約できない点も、個人型DCを扱う金融機関ではきちんと説明していないと思われます。
中途での引き出しに制限があり、原則として60歳まで引き出すことができません。運用指図者になれば、掛け金の拠出は止められますが、各種の手数料で引かれるものもあり、資産は目減りしていきます(表2)。
表2 iDeCo加入時に留意すべき点
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なお、iDeCoの拠出限度額は以下の通りです(表3)。
表3 iDeCoの拠出限度額
*1 企業型DCにのみ加入している
*2 それ以外(公務員・私学共済加入者を含む)
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「マッチング拠出」との同時利用はできない
企業型DCをすでに実施している会社がiDeCoを導入するケースは、規約変更が必要になります。事業主の掛け金に加入者が上乗せ拠出できる「マッチング拠出」を行っている場合は、iDeCoを同時に利用することはできません。会社として、どちらかを選択することになります。
専業主婦だけでなく、会社を退職した場合など、一時的に第3号被保険者になった人も引き続き、iDeCoに加入できるようになります。第3号被保険者は拠出時の所得控除は原則としてありません。夫婦でiDeCoに加入した場合であっても、給与の源泉控除は従業員のみが対象となります。
個人型DCの加入者が掛け金を拠出するためには、国民年金の保険料を納付することが必要条件になっています。国民年金基金連合会では毎年3月に前年1〜12月の保険料納付状況をチェックして、保険料未納付の月に掛け金を納付していた場合、未納月の掛け金相当額が還付されます。還付の手数料として1029円徴収されます。
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