http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/577.html
Tweet |
安倍外交を持ち上げる大メディアの恐るべきトンチンカン
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196919
2017年1月4日 日刊ゲンダイ 文字お越し
正月休みもゴルフを満喫(C)日刊ゲンダイ
何が起きるか分からない。混沌の年の幕開けだ。今月20日には、米国で暴言王トランプが新大統領に就任。ドイツやフランスなど欧州各国でも重要な選挙が予定されていて、極右勢力の台頭に注目が集まる。米ロ関係、中国と各国との距離感をはじめ、国際情勢はガラッと変わり、これまで日本人が無自覚に受け入れてきた世界秩序が一変するかもしれない。ところが、相変わらず安倍首相の言動を無批判に垂れ流し、日米同盟を盲目的に持ち上げているのが、この国の大メディアなのである。
記憶に新しいところでは昨年末、安倍の真珠湾訪問を伝えた礼賛報道もひどかった。
「耳を澄ますと、寄せては返す波の音が聞こえてきます。降り注ぐ陽の、やわらかな光に照らされた、青い、静かな入り江。私の後ろ、海の上の、白い、アリゾナ・メモリアル……」
アリゾナ記念館をオバマ大統領とともに訪れた安倍が、強風にあおられて髪を振り乱しながら読み始めた演説は、聞いている方が恥ずかしくなるくらい甘ったるいものだった。
「この地で命を落とした人々の御霊に、ここから始まった戦いが奪った、全ての勇者たちの命に、戦争の犠牲となった、数知れぬ、無辜の民の魂に、永劫の、哀悼の誠を捧げます。戦争の惨禍は、二度と、繰り返してはならない」――。
紋切り型の表現を羅列しただけの安倍の演説には、歴史作家の保阪正康氏も朝日新聞(12月29日)で「戦争の一部だけを切り取り、ポエムのように語っている感じだった」と苦言を呈していたが、お涙ちょうだいの「ポエム」をメディアはことさら感動的に取り上げ、「歴史的瞬間だ」「和解の力だ」と称賛するのだ。政治評論家の森田実氏が言う。
「日本が米国の従属国という事実を覆い隠すことに、メディアや御用学者は必死です。日米同盟は厳然とした軍事同盟なのに、美しい友情で結ばれた気高い関係のごとく賛美して、真実を見えなくしている。和解の力というなら、まずは基地問題で対立する沖縄との和解の方が先でしょう。どっちを向いて政治をしているのかという話です。本土だって本質的には沖縄と同じで、米国に軍事的にも経済的にも支配されている。それを安倍政権やメディアは、友情の同盟などという架空の物語で隠蔽し、従属国の卑屈な行為を合理化しているのです」
「希望の同盟」の欺瞞(C)AP
加害者側が「寛容」を求める筋違い
演説では、米国の作家アンブローズ・ビアスの詩「To E.S. Salomon」から「勇者は勇者を敬う」の一節を引用し、「戦い合った敵でも敬意を表する。米国民の寛容の心だ」と持ち上げていたが、安倍もスピーチライターも、この詩の本来の意味を理解しているのかどうか。
「悪魔の辞典」で有名なビアスの作風は、徹底した冷笑とアイロニーで知られている。この詩も、南北戦争で亡くなった南軍兵士を手厚く葬ることに反対した北軍士官の「非寛容」な態度を、痛烈に皮肉ったものだ。
安倍のスピーチは、いつだって上っ面の言葉だけで奇麗事を並べ立てるのが特徴で、だから、こういうトンチンカンな引用になる。
大体、RPG(ロールプレーイングゲーム)の「ドラゴンクエスト」じゃあるまいし、戦没者に対して勇者、勇者の連呼はどうなのか。ゲームキャラのマリオに扮してご満悦の首相だから仕方ないのかもしれないが、悲惨な戦争も、しょせんはゲーム感覚でしか捉えていないように見える。
早大法学学術院教授の水島朝穂氏は、新年のブログでこう書いていた。
〈そもそも安倍首相が「寛容の心」を語ることに違和感がある。「寛容の心」は侵略戦争を開始した側が侵略された側に示すものではない。中国や東南アジア、韓国などに対して、日本から「寛容の心」を求めることは筋違いである。米国との間で言葉だけの「寛容の心」を示して(戦争の性格などについては棚上げして)、「過去」に強引に決着をつける。真珠湾攻撃とヒロシマ・ナガサキとを同列に並べて、日米がともに「寛容の心」を示して、謝罪なしに「和解」しようという段取りだとすれば、真の和解にはつながらない〉
加害者側が謝罪もせずに、相手に「寛容」を求め、未来志向などとうそぶくのは、言葉遊びでしかないということだ。もちろん、真珠湾で謝罪の言葉はなかった。
「それどころか、真珠湾に同行した稲田防衛相は、帰国するなり靖国神社に参拝し、安倍首相はゴルフと娯楽映画観賞にふけっていた。あまりに不誠実な態度で、やはり、真珠湾での不戦の誓いも口から出任せだったかと国際社会は呆れたはずです。米国に忠誠を誓う一方で、日本の侵略や戦争犯罪を頑として認めず、アジア諸国に対して一方的に和解と寛容を求める。そうやって、不都合な事実にフタをしようとしているだけだと見抜かれています。そこをメディアがきちんと批判しないから、勘違い首相がますますつけ上がり、日本は世界から不信の目で見られる一方です」(政治評論家・本澤二郎氏)
■時代遅れの新自由主義に固執する愚
年明けの新聞各紙の社説でも、安倍が自由主義世界の牽引役を務めるべし、みたいな論調が目立った。欧米で保護主義が台頭していることを憂うふうを装いながら、「日本が自由貿易の旗手になるべきだ」とけしかける。要はTPPの推進であり、安倍ヨイショの一環だ。中には「粘り強くトランプを説得すべし」なんて笑っちゃうような言説もある。
核能力強化や軍拡競争にも言及し、次々と米国第一主義の本性を露わにするトランプを「説得する」ことが、日米の力関係や、安倍個人の能力からいってあり得ないというだけでなく、時代の潮流が見えていない。トランプ大統領を誕生させたのも、欧州で極右勢力が支持を集めているのも、根底にあるのは経済問題だ。新自由主義に対する大衆の抗議、反発が顕在化したわけで、あちこちで資本主義の限界が露呈している。それなのに、何周も遅れて、「アベノミクス」などという新自由主義と心中しようとしているのが今の日本だ。そこに警鐘を鳴らすでもなく、アベノミクス推進を後押しするメディアのオメデタさは犯罪的と言うほかない。
「国内の貧困問題を放置し、社会保障費を削ってでも軍事費を増大させる安倍首相は時代に逆行しているし、都合のいい美辞麗句で問題の本質にフタをしてしまう風潮は危険です。メディアがマトモに機能していれば、こんな無能独裁政権は三日天下で終わっておかしくないのですが、メディアが率先して安倍サマのお先棒を担いでいるのだから話になりません」(本澤二郎氏=前出)
世界が激変する中、メディアが国民から情報を奪い、思考停止に導く閉鎖的な日本の現状。それで自由貿易の旗振り役なんて、よく言う。まったくの喜劇だ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK218掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。