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維新、与党協議に参画検討 カジノ実施法案
政権との協力関係を拡大
自民、公明両党が来年1月にも始めるカジノ運営の制度設計を定める実施法案づくりの協議に、野党の日本維新の会が参加を検討していることが明らかになった。オブザーバーの立場で出席する案が浮上している。野党が政策立案の段階から与党協議にかかわるのは異例で、維新は安倍政権との協力関係を一段と拡大する。
カジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備推進法(カジノ法)が26日施行され、政府・与党は年明けから実施法案づくりを本格化する。法案そのものは政府が国会に提出するが、政治判断が必要な制度設計は与党が協議して決める。例えば、ギャンブル依存症対策の一環で検討する入場規制のあり方などが課題となる。
維新はかねて「カジノ法案提出者の維新が実施法案づくりの枠組みに入るのは当然」(幹部)として、与党協議への関与を求めてきた。大阪誘致をめざす2025年の国際博覧会(万博)との相乗効果を見込み、カジノ誘致を掲げて自民党にカジノ法の早期成立を働きかけてきた経緯がある。
与党協議には、必要に応じて政策を提言するオブザーバーなどの立場で参画する案が出ている。安倍晋三首相と維新の法律政策顧問を務める橋下徹前大阪市長、維新代表の松井一郎大阪府知事が24日に会食した際にも、首相は実施法案を念頭に「ご協力をぜひお願いしたい」と語った。
維新は民進、共産、自由、社民の野党4党の幹部協議には参加せず、野党共闘とは一線を画す。先の臨時国会では環太平洋経済連携協定(TPP)関連法など与野党の対決法案や16年度第2次補正予算に賛成に回った。民進など4野党が提出した内閣不信任決議案には反対し、与党寄りの姿勢を鮮明にしている。
維新が特定の政策について立案段階から関与することに対しては、政権与党がテーマごとに他党と協力する「部分連合」にあたるとの受け止めもある。ただ、維新幹部は現段階で、政策協定を交わす「閣外協力」や閣僚を送り込む「連立政権」にまで発展するとの見方には否定的だ。
自民党内にも、維新の関与はカジノ誘致をめざす超党派議員連盟のなかだけにとどめるべきだとの声がある。公明党は維新による与党協議への関与は拒まないものの、自民・維新のさらなる接近を警戒している。
依存症対策で法整備へ 政府、実効性は不透明
政府はカジノ運営の具体的な制度を定める実施法案とは別に、包括的な依存症対策の法整備の検討に入る。菅義偉官房長官は26日開いた依存症の関係閣僚会議で「徹底した対策を講じる。具体的な方針を早急にとりまとめたい」と述べた。
政府はカジノが依存症の増加につながるとの懸念の払拭に努めるが実効性のある対策をまとめられるかは不透明だ。2017年度予算案で依存症全般の対策費に5億円を盛りこみ、16年度の1億円から増額した。ギャンブルや薬物など依存症の形態は様々で、患者の急増が社会問題化している。治療法は行動パターンや考え方の修正を試みる認知行動療法などがあるものの、専門的な医療機関が圧倒的に少ない。
[日経新聞12月27日朝刊P.4]
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