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[風見鶏]カジノが生む2つの亀裂
カジノ政局の幕開けか。安倍1強の永田町にさざ波が立ち始めた。激動の前触れか、大山鳴動してねずみ一匹か。来年はねずみならぬ、とり年である――。
こんなふうに講談調で書き出すと、政治の劇場化だと怒られそうだが、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法を巡り、安倍政権のあちこちにひび割れが生じたのは事実である。
今年7月、無所属議員を迎え入れ、自民党は27年ぶりに衆参両院とも単独過半数に達した。政治力学は当然、変化する。だが、公明党に危機感は乏しかった。
「自民党さんのメンツもあるし、カジノ法案は審議入りは認めていいんじゃないかな」。まるで自分たちに判断の主導権があるかのような口ぶりだった。
自民党は衆院の小選挙区に2万前後ずつあるとされる公明票を渇望している。国会での起立要員が足りたとしても、自分たちの存在価値は変わらない……。そう思っていたのだろう。
政治は動き出すと展開は意外に速い。1997年、自民党は無所属議員を次々と引っ張り込み、4年ぶりに衆院における単独過半数を回復した。途端に連立を組む社民党や新党さきがけをないがしろにする場面が増えた。6日後、橋本龍太郎首相はロッキード事件の有罪議員を入閣させた。自社さ連立が崩壊したのは、その8カ月後のことだ。
自公の貸し借りはどちらが重いか。自民党ばかり世話になっている印象があるが、実は公明党支持者に自民党候補の名前を書かせるよりも、自民党支持者に公明党候補の名前を書かせる方がよほど難しい。
公明票なしに当選できる自民党議員はいても、自民党の応援なしに小選挙区で勝ち抜ける公明党議員はほとんどいない。公明党の9人の小選挙区選出議員のうち、カジノ法に反対票を投じたのは1人だけだった。彼らが自民党に逆らいにくい構造がうかがえる。
自公は離婚はしないだろう。だが、もはや昔日の仲ではない。自民党は公明党の小選挙区議員に「おたくの執行部は苦労知らずの比例選出が多いですね」などと揺さぶりをかけ、下克上を促すかもしれない。
意に染まない場合、自民党は自ら手を汚す必要はない。日本維新の会に「××選挙区には積極的に候補を立ててはどうですか」と勧めればいいだけだ。
もう一つの亀裂はどうだろうか。菅義偉官房長官と自民党の二階俊博幹事長の間柄だ。ふたりとも、根回し上手な竹下派の出身で、大人の関係とされる。面と向かってぶつかるほど愚かではあるまい。10月の衆院補欠選挙では、手を携えて麻生太郎副総理・財務相をたたきのめした。
だが、このふたりの亀裂こそ修復は容易でないとみるべきではないか。メンツの争いではなく、実利の争いだからだ。
二階氏はいわずと知れた国土交通省のドンである。国土強靱(きょうじん)化の名の下に、建設予算を握り、航空業界などにもにらみを利かせてきた。そのなかには観光産業もある。
長年、聖域化されてきたこの分野に新規参入してきたのが菅氏だ。外国人観光客の増加策の柱に、観光客が個人の家に泊まる民泊を据えたのだ。二階氏と距離が近い全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会には心地よい話ではない。
「観光をこんにちまで進めてきた者として、何もIRに頼る必要はなかろうという気はある」。これはカジノ法についての二階氏の発言だ。反対ではない。だが、自分をないがしろにすることは許さない。そんな心持ちがにじんでいる。
(編集委員 大石格)
[日経新聞12月26日朝刊P.2]
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