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首相官邸ホームページより
日本政府が南スーダンへの武器輸出禁止決議を棄権! 自衛隊“駆けつけ警護”だけが目的の安倍政権に大義なし
http://lite-ra.com/2016/12/post-2798.html
2016.12.24. 日本が南スーダン武器禁輸決議を棄権! リテラ
南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)で、新任務「駆けつけ警護」を付与された自衛隊の現地入りが完了してから1週間とちょっと。日本政府がその南スーダンをめぐってとんでもない行動に出た。
23日、国連安全保障理事会の南スーダンに対する武器の輸出禁止などを禁ずる制裁決議案の採決があったのだが、日本政府はその採決を棄権したのだ。その結果、採択に必要な理事国15カ国中9カ国の賛成を得られず、決議案が否決された。
制裁決議案の提出国であるアメリカのサマンサ・パワー国連大使は「非常にがっかりしている。国連の事務総長までもが、過剰な武器の流入によって大勢の人々が命を落としていると指摘しているのに、これ以上議論を続ける必要があるのか。現地の残虐な状況に安保理メンバーの良心は揺り動かされないのか」(NHKニュースより)と、反対国や棄権国を厳しく批判した。
当然だろう。南スーダンでは政治的対立及び部族間対立を背景とする政府軍と反政府軍の戦闘が断続的に発生している。また治安悪化で政府軍による市民の虐殺も起きており、南スーダンの人権問題を調査する国連の委員会は「飢えや集団強姦、村の焼き打ちといった形で、国内各地で既に民族浄化が進んでいる」「国際社会には(大虐殺に発展することを)防ぐ義務がある」と警告を発していた。
今回の制裁はこうした状況を受けて、反政府軍、政府軍両方に武器の輸出禁止をするというもので、ジェノサイドを止めるためには絶対必要な措置だった。
ところが、ジュバのPKOに自衛隊を派遣する日本政府はこの制裁案の対象に政府軍が含まれていることにずっと難色を示してきた。欧米諸国から「武器流入の削減や、憎悪や暴力をあおる人物への制裁をなぜ問題視するのか」と強く批判されても、その姿勢を変えようとしなかった。いったいなぜか。
安倍政権は、制裁により政府軍と反政府軍間の武力バランスが崩れ、治安の悪化を招く可能性があるとして「制裁は逆効果だ」と主張していたが、これはあくまで建前にすぎない。
本音は、「政府軍への制裁に参加すると、政府軍を刺激して、自衛隊が政府軍の標的になる可能性があるから」だという。
安倍政権はこの間、「状況は落ち着いている」「(南スーダンで発生しているのは)戦闘行為ではなくて衝突」(稲田朋美防衛相)などとインチキをふりまいてきたが、現地の状況は非常に緊迫している。
しかも、7月には自衛隊が派遣されているジュバでホテルに宿泊していたNGO関係者らが政府軍の兵士に襲撃され、レイプや殺害される事件が発生しているが、もし、このとき自衛隊がこの新任務を行なっていれば、南スーダン政府軍兵士との交戦に発展した可能性が高い。
ところが、自衛隊が政府軍に応戦すると、「国や国に準ずる組織」に対して武器を使用すれば憲法が禁じる「武力行使」にあたる。国会でも政府軍と戦闘状態になることはありえない、と言っている手前、政府軍のことはとにかく刺激せず、見て見ぬ振りをしておく、という姿勢を貫きたい、ということらしいのだ。
しかし、考えてもみてほしい。そもそもPKOはその名のとおり、紛争における当事者間の平和的解決を促し、国際社会の平和を維持する活動だ。日本もまた、そうした名目で国連PKOに参加しているはずである。
にもかかわらず安倍政権は、「駆けつけ警護」を付与した自衛隊のために、市民のジェノサイドを防止するための武器禁輸決議案に反対した。つまり本来、自衛隊のPKO派遣は、平和維持や紛争解決の“手段”であるはずなのに、自衛隊派遣自体が“目的”にすり替わっているのだ。もっといえば、「新安保法に基づく新任務の付与」だけが自己目的化していると言える。
環境、人権、戦争と平和をテーマに紛争地などを取材するフリージャーナリストの志葉玲氏は、「Yahoo!ニュース個人」(外部リンク)に投稿した記事のなかでこう述べている。
「自衛隊を南スーダンPKO活動に派遣する目的が、同国の平和と安定を目的にしているのであれば、自衛隊の安全確保のために、対南スーダン武器禁輸制裁に安倍政権が反対することは、全くもって本末転倒だ」
まさに本質をつく指摘だろう。安倍政権は「駆けつけ警護」付与という“実績”を作りたいだけで、南スーダンの平和維持など、まったく考えていないのだ。この姿勢は“本末転倒”としかいいようがない。しのかも、アメリカのパワー国連大使が「武器禁輸は南スーダンの国民のみならず、現地で活動するPKO部隊の安全確保の手段にもなるので、武器禁輸に反対するのは極めて疑問だ」と指摘していたように、こうした日本政府の動きが自衛隊を守るどころか、さらに危険を増大させる可能性もある。
しかし、安倍政権にとって、そんなことはどうでもいいのだろう。安倍首相が考えているのは、政治実績のための自衛隊利用のみ。そのために、都合の悪いことはすべてスルーして目をつぶる。ジェノサイドを煽動することになってもなんの痛痒も感じない。
そもそも、戦闘状態にある南スーダンへの自衛隊派遣は「PKO5原則」違反にあたる。そして、安倍政権には“平和維持への貢献”という大義がないこともはっきりした。今すぐ、南スーダンのPKOから自衛隊を撤退させるべきだ。
(宮島みつや)
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