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安倍首相とプーチン大統領(C)JMPA
成果は首相の選挙運動 返還を遠ざける北方領土の共同開発 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196367
2016年12月23日 日刊ゲンダイ
「私の世代でこの問題に終止符を打つ」――。安倍首相は北方4島の元島民たちにそう約束したばかりだが、まさか、こんな形で終止符を打つつもりなのか。
ロシアのプーチン大統領を遠くモスクワから首相の地元・山口県長門市の温泉旅館に招き、東京に移ってからも柔道の総本山・講道館で“黒帯大統領”をご接待。ここまでやって2日間に及んだ首脳会談で成果を得られたかといえば、少なくとも領土問題は1ミリも動かなかった。むしろ日本側が前のめりになって「領土問題は存在しない」とするロシア側の主張を認めるためのセレモニーという印象さえ受けた。
北方4島は、71年前の終戦時のドサクサに紛れて、旧ソ連に不法占拠されてしまった。米国に「占領」された沖縄と違って、領土の「略取」は、連合国が先の大戦の戦後処理方針に掲げた「領土不拡大の原則」にも反している。
ただし、交渉相手は21世紀の世の中でも、平気で隣国ウクライナからクリミア半島を奪い取るような国家である。一筋縄ではいかない。同盟国の米国から占領地域を返還してもらったのと同じような外交感覚は全く通用しない。もし、そんな生半可な気持ちで、安倍首相が交渉のテーブルに臨んでいたのなら、ハナから勝負は決まっていた。
しかも、ロシアは欧米諸国から経済制裁を科せられている身だ。その現状を打開するための国家戦略として、アジア重視の「東方シフト」を打ち出している。東アジア・太平洋地域への資源の輸出など、経済面でのアプローチを考えれば、北方領土の重要性は増すばかりである。
今後は8項目の経済協力プランに基づき、日本の並み居る企業が北方領土にもドンドン進出することになるのだろうが、それこそ悪しき結果を招きかねない。日本が北方領土の開発に力を貸すほど、ロシアの東方シフトにとって、ますます手放しがたい重要拠点となるだけだからだ。
日本の経済協力は、せいぜいシベリアから樺太にとどめるべきで、ジャパンマネーでロシアに東方シフトの橋頭堡を築かせるなんて愚の骨頂だ。日本にとって望ましい形での領土問題の解決を遠ざけることになる。まさしく本末転倒だ。
結局、安倍首相がプーチン大統領を地元の温泉旅館で歓待したところで、自身の選挙運動以外の効果を生み出していない。長門市の観光資源を世界にアピールできて、地元の人々は大喜び。首相は次なる総選挙も盤石で、一度も選挙区に足を向けずとも圧勝は確実だろうが、首脳外交に名を借りた選挙活動は許されない。ましてや自らの功名心にはやって、領土を差し出すような態度は絶対に看過できない。
はたして、こんな政治が2017年も続いていいのか。国民は今こそ思案のしどころである。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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