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ターゲットは日本人の金融資産 規制の甘い米国型が上陸へ 日本もこうなる カジノ現場報告
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2016年12月20日 日刊ゲンダイ 文字お越し
日本人がカモ(C)AP
カジノ解禁に向けた「統合型リゾート(IR)整備推進法」(カジノ法)が15日未明に成立したが、「日本人の金融資産が海外カジノ業者に流出することになるだろう」と断言するのは、世界各国のカジノを視察・調査してきた大谷大学の滝口直子教授だ。
「推進派は『100カ国以上にカジノはあるから日本で解禁しても問題ない』と強調していますが、世界のカジノには、規制が甘い24時間営業の『米国型』と、規制が厳しくて時間制限もある『欧州型』があります。規模も米国型の方が遥かに大きいのですが、今回の法案成立で日本に進出するのは米国型。今でも多いギャンブル依存症患者がさらに増え、海外カジノ業者に日本人の金融資産が流出するのは確実です」
大規模な米国型カジノを含むIRには、巨額投資の回収を可能とするノウハウが満載されている。
ひとつは、外国人だけに制限せず自国民も入場可能にすることだ。安倍首相は「外国人観光客を増やすため」と口先では訴えているが、今回成立のカジノ法案には日本人入場禁止が盛り込まれていない。法案提出者の西村康稔衆院議員(自民党副幹事長)は、「マーケットを考えたら、日本人入場禁止はありえない」と断言した。日本人の国富流出が前提になっているのだ。
2つ目の特徴は、時間規制がない24時間営業で、かつ自然光が入らない密室となっていること。
「自然光を浴びると、時間の経過に気がつくけれども、暗いカジノの中では時計があったとしても見ないですね」(滝口直子氏)
それでカジノ業者は、窓のない部屋で時間感覚をマヒさせ、アルコールも入ったら合理的には判断できなくなる。プレースピードの速いギャンブルマシンは「ギャンブル界のクラック・コカイン」と称されているほど。
3つ目が、すぐに借金可能な状態になっていること。
「シンガポールではカジノ施設のすぐ外にATMが設置されていました」(滝口直子氏)
甘い規制の下、ギャンブル依存症患者から巨額投資を回収していく。これが米国型カジノなのだ。
海外カジノ業者の大物が駆け付けた2年前の国際会議では、分かりやすいプレゼンがあった。それは、「日本人の富裕層の個人金融資産量」を「日本にできる推定カジノ施設数(3〜10)」で割り、「日本のカジノ1つ当たりの個人金融資産量は海外に比べて突出しているから日本のカジノは莫大な利益が確実」と投資を呼びかけるものだった。
法案成立を受け政府は内閣官房の検討チームを拡充、カジノの制度設計を本格化させて、実施法案を1年以内に提出する。
TPP交渉でも米国に譲歩の限りを尽くした「安倍“対米追随”政権」が、トランプ大統領の大スポンサーである米国ラスベガス・サンズをはじめ海外カジノ業者を厳しく規制するとは考えにくいのだ。
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