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安倍・プーチン首脳会談の正しい評価はズバリこれだ
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19Dec2016 天木直人のブログ
今度の安倍首相の北方領土問題に関する外交をどう評価するか。
それをめぐって様々な意見が行われているが、正しい評価はズバリこれだ。
まず指摘したいのは、今度の安倍首相の北方領土返還交渉は、安倍首相のひとり相撲の末にプーチン大統領に完敗したということだ。これは誰も否定できない。
そもそも北方領土返還に進展が見られるような外交環境などはじめから全く熟していなかった。
それを、安倍首相が功名心のあまり、自分の手で動かそうとしたところに初めから無理があった。
しかし、そんなひとり相撲でも、安倍首相がプーチン大統領とサシの交渉で勝つのなら文句はない。
ところが安倍首相はプーチン大統領に首脳交渉で、完敗した。まるで歯が立たなかったのだ。
2島の返還か、引き渡しか、知らないが、私は安倍首相は領土問題について、これまでから前進させて明確な成果を勝ち取ろうとしていたと思う。そして、それをプーチン大統領に対しみずから求めたと思う。しかしプーチン大統領は一蹴したのだ。
つまり安倍首相は文字通りプーチン大統領との首脳交渉で負けたのだ。
その時期がいつかは知らない、15回か16回か知らないが、その数ある首脳会談のどこかの時点で、あきらめたのだ。おそらく極めて最近だろう。
だからといってケツをまくって決裂というわけにはいかない。政治生命がかかっているからだ。
そこで考えたのが新アプローチだか環境づくりだか知らないが、今回合意した共同開発とか島民の交流実現などである。
それでは、その合意をどう評価するか。
私は、北方領土についての主権問題、領土問題は、今度の安倍首相の完敗で、日ロ間の外交問題としては当分遠のいた、いやそれどころか、終わったとすら思う。
そのかわり、棚上げという名の北方領土問題の解決ができたのだ。
もちろん安倍首相は、口が裂けても主権問題をあきらめたとは言わない。
だから主権は譲らないと言い続け、不毛な領土交渉のかわりに、共同開発や島民交流などを進める。
そのほうがはるかに意味がある事に、安倍首相は気づいたのだ。というより作戦変更をしたのだ。
いわゆる環境づくりとは、そういうことなのだ。
そして、それは決して悪い事ではない。
領土問題の原則論で進展しない対ロ外交を、領土問題を棚上げ(事実上のあきらめ)して、経済交流や人的交流をどんどん進める、そして、おそらくそうすることによって、日ロ平和条約が結べる時が来る。
これこそが、安倍首相がこれから狙っていることだ。
領土問題が解決できないからこれまで平和条約が結べなかった。
しかし、今度の交渉敗北によって、領土問題を棚上げしたまま平和条約を結ぶ、その可能性が出て来たというわけだ。
まさしく棚からぼた餅だが、それでいいのだ。
そして、それは安倍首相しかできなかったことだ。
安倍首相以外のどんな首相も、領土問題を棚上げすれば(あきらめれば)袋叩きだ。
しかし今の日本は安倍首相が何をやっても正面から批判しない、出来ない状況にある。
そして安倍首相は黒を白という厚顔さがある。
安倍首相だからこそできた棚上げであり、それは安倍首相の当初の目論見では決してなかったと思うが、プーチンとの外交交渉に負けたとたんに、問題をすり替えて、結果的には、誰もが出来なかった平和条約締結の道を開いたのだ。
安倍首相が、今度の合意について元気がいいのは、もちろん負け惜しみの空威張りもある。
しかし平和条約締結という新たな目標ができたから元気がいのだ。
安倍首相のダメなところは、まさしく棚上げを尖閣で習近平とすべきなのに、それをしないところだ。
尖閣を棚上げし、中国との経済協力や共同開発を始めれば皆が喜ぶ。
日本にとってメリットははるかに大きい。
それなのに、相変わらず対中包囲網に明け暮れている。
プーチンとの合意でさえも、対中牽制だと言っている。
やはり安倍首相は度し難い外交音痴であり、日本の指導者として失格だ。
それがわかったことが、今度の安倍・プーチン交渉の最大の成果かもしれない(了)
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