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[永田町インサイド]とがった自分にジレンマ 就任3カ月 民進・蓮舫代表に聞く
自己評価はしない。国民がする
民進党の蓮舫代表は15日で就任から3カ月を迎える。岡田克也前代表から野党第1党の顔を引き継いだものの、党の支持率はいっこうに上がらない。民進党はどこへ向かうのか。蓮舫氏に聞いた。
――就任後の取り組みを自己採点すると何点か。
「政党の代表は自己評価しない。評価するのは国民だ。今なお伸びていない支持率も含め、厳しめにみていると思う」
――落第点なのか。
「自分で評価しない」
――代表としてどう評価されていると思うか。
「毎週末地方を歩いているが、多くの方が集会や街頭演説に来ていただいている。私への期待と党への期待の乖離(かいり)をどう縮めるかが最大の課題だ」
――党の支持率は上がっていない。
「平時に支持率を上げるのはすごく難しい。選挙が近づくことで上がっていくよう持っていきたいが、奇策はない。勝負に出たい」
――代表になって感じたことは。
「党のガバナンスは本当に大変だ。細やかなところに目配りしつつ大胆な判断も必要だ。蓮舫というキャラクターのとんがり方が期待されるが、とがることで党内にハレーションを起こすのをどうなくすかというジレンマが一番大変だ」
――政権を取るために何に重点を置くか。
「国民の支持なく立っていられない。共感されることだ。7日の党首討論で男性議員からは『当然ロシアは聞くのか』『財政規律聞くよね』とか言われたが、3分の2をカジノに使った。街に出て、人々の声を聞き、不安の声が共感のカギだと思ったのであえて大きく踏み込んだ。永田町にすれないことだ。外に出ることは私にとってすごく刺激だ。質問の仕方や言いぶりの知恵もいただける」
――党首討論に初挑戦。高支持率の安倍晋三首相は攻めづらかったか。
「一切ない。どんなに支持率が高い政権でも、どんなに人気のある首相でも、私たちは正論をもって臨むべきだ。ただ明快な議論をしようという答弁がないのが非常に残念だった。ヤジで逃げてごまかす、まっすぐ私の目を見ない、私の質問に答えないの3つだ」
――首相は強気の答弁姿勢を貫いた。
「自民党と公明党のバラバラ感も明らかになり、カジノがなぜ成長戦略になるか首相に答えがないことも分かった」
――幹事長に野田佳彦氏を起用した人事に党内には批判も根強い。なぜ野田氏だったのか。
「誰を指名しても批判はでる。野田さんなのは首相経験者だからだ。政権を目指す上で、中途半端な仕事はしない証だ。とても優れて信頼できるパートナーだ。存在の大きさではなく信頼できるということが私の絶対条件だ。野田さんに代わる人は現段階ではいない」
――衆院解散・総選挙があるか。
「あると思っている。総選挙は近い。もう準備は進めている」
――野党の選挙区調整が間に合わないのでは。
「調整は前提にしていない。まず我々の公認候補者をできるだけ立てる。少なくとも過半数を目指して選挙対策委員長に擁立を急がせている」
――公約は月内に固められるのか。
「もちろんだ。ただし、最終形を示すのは選挙の時。政権公約で私たちの国家像、政策を端的に示そうと思っている」
失敗を省み、税制の整理を徹底
――首相の経済政策「アベノミクス」とどう経済哲学が違うのか。
「現政権は税収増分を補正予算で公共事業に向ける財政出動でまわす手法だ。金融政策に大きく傾倒する反動も出ている。今年度の税収が1.9兆円前後下ぶれる見込みとなったのはその証左だ。必要なお金の使い方は無駄な公共投資ではなく人だ。私たちの『人への投資』は株価や為替のように瞬時で動かないが、教育などで人を育て、貧困に陥らせず、未来の納税者にする投資だ」
――財源は確保できるのか。
「税制の整理は徹底的にやるべきだ。我々の失敗の反省もある。単年度の税収の切り盛りや一時金の利活用に頼り、不安定になってしまった。税制改革をうまくやれば、経済を動かすバネになる」
――育児・教育などに使うため提唱する「子ども国債」のイメージは。
「財源が不足した場合に子ども国債という手段もありうる。ただ前面に打ち出すのは教育無償化。給付型奨学金は成績や年収で要件があれば数百億円からできる。衆院選の公約では財源論もしっかり明示する」
――恒久財源としての消費増税をどう考えるか。
「税率10%への引き上げはいずれ必要になる。その財源は公共事業ではなくて人に使うべきだ」
――民進党の経済政策の哲学やキャッチフレーズが分からない。
「中身はある。適切なキャッチフレーズを検討中」
「提案型」伝えるには時間かかる
――党内がバラバラとの批判が続く。
「まとまっている」
――首相は党首討論で、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案で意見が割れていると批判した。
「首相が勝手に言っている話だ。バラバラな時はニュースになるが、まとまっている時は報道されない」
――外交や安全保障分野の政策が見えない。
「外交や安保は政権が変わって大きくぶれてはいけない。首相がロシアのプーチン大統領やオバマ大統領と会談するのに異を唱えたことはないが、会談内容や成果については注視。問題があれば指摘する。日米同盟は基軸だ。ただ憲法違反の疑いのある安全保障関連法は廃止する。抑止力が高まったと首相は言うが、中国は相変わらずわが国の領海に侵入し、北朝鮮はミサイルを発射している」
――安保法廃止で日米関係に影響が出ないか。
「日米同盟を名目に憲法違反を是認することはできない」
――自らが首相ならトランプ米次期大統領にどう働きかけるのか。
「まず日米同盟は基軸で、自由、民主主義、法の下の平等、基本的人権の尊重という理念で同じ立ち位置だと再確認する。日米同盟の何を変え、維持発展させようとしているのかは丁寧に分析すべきだ」
――民進党の「提案型」が伝わってこない。
「1億2千万人に伝えるにはものすごく時間がかかる。地域に根付いた活動を通じて地道に広げたい。解散・総選挙に向けて衆院小選挙区の候補者が地元でしっかり発信していく」
蓮舫氏の略歴
れんほう 本名は村田蓮舫。父は台湾人で、母が日本人。青山学院大卒。行政刷新相、首相補佐官、党代表代行。キャスター出身で双子の男女の母でもある。参院東京選挙区、当選3回。49歳。
■蓮舫体制 私が採点(100点満点)
68点 個性をわかっている 芸能プロ社長 おかざきなな氏
自らの個性をよくわかっている。ファッション、ヘアメイク、立ち振る舞いが生むオーラは小気味よい。かたや近づきやすさの面では、型が出来すぎて付け入る隙がない印象だ。一般国民だけでなく、政治家仲間からも「ねえ蓮舫」とはなりづらそう。本当の強さとは柔軟性、しなやかさ、ぶれられることだ。真っ赤なボディコンのワンピースで甘え声でしゃべるようなアレンジも時に期待したい。
民進党は印象がなかったが、蓮舫代表になって興味を持つようになった。安倍晋三首相も大好きだが、タレントでも初舞台の新人がベテラン勢を押しのけて喝采をさらうことがある。田中角栄さんの「日本列島改造論」のようなダイナミックな政策を投げてほしい。
女優を経て、芸能プロダクションを設立。著書に「愛され女子研究」など。55歳。
60点 機微な討論、怖い印象も 政治評論家 有馬晴海氏
二重国籍問題で党内から代表選をやり直せという声まで出たが、いまは落ち着いた。次期衆院選は蓮舫氏で臨む雰囲気になった。しかし代表選は個人票で勝ったわけではない。野田佳彦幹事長という人事は「野田主導」なのではと疑心暗鬼にさせる面がある。今後どれだけ蓮舫色を出せるかが問われる。
党首討論での機敏さを生かした攻撃力はさすがだった。一方で鋭すぎて怖い印象もある。大事なのは論戦に勝つことではなく、国民を一緒に巻き込むことだ。使い古された名前ではないのが蓮舫氏の強みのはず。安倍晋三首相の壁は高い。女性が総裁になっていない自民党とも、これまでの旧民主党とも違うものを出さないと蓮舫代表である意味がない。
議員秘書を経て政治評論家に。政治家や政界関係者との交流は深い。58歳。
10点 政権よりポピュリズム 大和総研チーフエコノミスト 熊谷亮丸氏
やらなくてはいけないのはまず成長戦略だが具体像がみえない。踏み込むべきは岩盤規制の緩和だ。経済政策の財源の裏付けが詰められていない。7日の党首討論で賃金が伸びていないと言っていたが、企業業績が伸びなければ賃金も増えない。明確なビジョンや国家観の全体像が伝わっていない。党首討論などで一生懸命やっている印象は受けるが、方向性が間違っている。
野党だから耳の痛い大胆なことを自由に言えるのに、政権よりポピュリズムになっていないか。社会保障制度の抜本的改革など財政規律維持に向けた骨太で筋の通ったことを言うべきだ。民主党政権で失敗した総括ができていない。
日本興業銀行(現みずほ銀行)などを経て大和総研へ。専門は経済・金融調査。50歳。
<記者の目>具体的な対案で国家像示せ
政策決定で注目される与党と違って、野党が存在感を示すのは難しい。旧民主党の下野から4年。3月に民進党として再出発したが、政権時代の「失敗」の印象から支持を取り戻せず、党内から「何をしても批判される」との自虐もよく聞く。蓮舫氏は「挑戦者」との表現を多用する。国民の共感を得るのは簡単ではなく、まずは具体的な対案をそろえることで、めざす国家像を示してほしい。
(宮坂正太郎)
[日経新聞12月11日朝刊P.12]
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