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外国人介護実習生を「国別採点」する受け入れ団体の“上から目線” この差別意識には、黙っていられない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50482
2016.12.17 大塚 智彦 PanAsiaNews記者 現代ビジネス
東南アジア各国から外国人技能実習生を受け入れている「国際事業研究共同組合」(本部・高松市、白井知之・代表理事)という組織があるのをご存じだろうか。
同組合は、これまで受け入れてきた実習生を国別に分け、「介護技能実習生のポテンシャル」と題して「真面目で純粋で高徳な人材が集まるか」「介護への適正・性格」などを点数とともに評価した一覧表をHP上に掲載していた。
この表には東南アジアの実習生だけではなく出身国そのものを見下した、「差別的」ともとれる表現が含まれていたため、すぐさま海外を含む各方面からの厳しい批判にさらされ、組合は一覧表を削除した。
法務省や厚生労働省は現在、こうした外国人実習生を受け入れ斡旋する組織を、現在の野放し状態から統制下に組み込む組織の立ち上げを進めており、今後、問題のある組織の淘汰が進むものとみられている。
■総合評価最低のタイで批判の狼煙
「国際事業研究共同組合」はHPで同組合がこれまで受け入れてきたミャンマー、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア、タイからの技能実習生を対象に「介護への適正・性格」「日本語学習・能力」「宗教」「日本への興味・親日度」「真面目で純粋で高徳な人材が集まるかどうか」など全8項目にわたる評価を掲載していた。
介護適正総合点(満点100点)ではミャンマーが87点と最高点であり、以下ベトナム、フィリピン、インドネシア、カンボジアと続き、タイが最低の49点となっている。
しかし各項目の評価に関して記載された「判断基準の詳細」を読んでみると、いずれも首を傾げたくなるものばかりであった。
たとえば「介護への適正・性格」では「心から弱者をいたわる奉仕の気持ちがあるかどうか。年長者を尊重する国民性かどうか」を評価の基準にしていることが明記されている。
また「宗教」項目の判断基準は「宗教が日本の介護施設に受け入れられるかどうか」であり、「日本への興味・親日度」では「親日国家かどうか。日本に対する強い憧れがあるかどうか」となっている。
「日本語の学習・能力」の項目では「学習能力が高いかどうか」という判断基準に加えて「日本と言語体系が似ているか。日本語能力が高い人がすでにたくさんいるか」が基準として明記されている。
この一覧表に対し、総合点で最低評価を受けたタイがまず反応した。インターネット上でこの一覧表を取り上げ「素面で評価したとは思えない」「これを公開する神経がわからない」などと批判の狼煙をあげた。
もちろん日本での反応も同様で、次のような厳しい意見がネット上に飛び交った。
「どんな国であろうと、個人によって性格や資質は大きく異なるのは当然のこと。それを国籍ごとに比較採点し、適不適のレッテルを貼るのは完全な差別行為です」
「来日する外国人技能実習生たちは言葉や文化を理解しきれていない弱いマイノリティの立場です。彼らに対してこの組織はどれほどいたわる気持ちを持っているのでしょうか」
「この採点表が存在する以上、彼ら彼女らを人格を持った対等な人間として扱っているとは決して言えません」
確かに、ごく限られた実習生の考え方や宗教などからその国の国民性を評価すること自体には無理があるといわざるをえない。さらに、実習生の日本語能力は極めて個人的な資質である。それなのに「その国の言語が日本と言語体系が似ているか」を基準にすること自体、首をかしげざるを得ない。
日本語能力に関してはミャンマーとインドネシアがともに最高評価となっている一方で、タイやカンボジアは最低レベルとなっている。これはタイ語やカンボジア語が日本語の言語体系に似ているかどうかが問題ではないと思われるのだが、どうだろうか。
そしてまた、個人の宗教がなぜ「日本の介護施設に受け入れられなければならないのか」という根源的な疑問や矛盾がこの表にはある。
「宗教」に関していえば、ミャンマーやタイが満点評価を得ているが、これは仏教徒が多数であること、そして最低評価のインドネシアはイスラム教徒が多数であることと密接に関係しているものと類推される。もはや「完全な日本人目線による一方的、偏見に満ちた評価」(外務省関係者)といえよう。
その後、共同通信や東京新聞などが「外国実習生を国別に採点 受け入れ団体HP『差別的』批判受け削除」として同組合の一覧表の件を報道したところ、「差別と言われて思い当たることがあった」(共同通信の取材に対して)として、一応は非を認めた格好だ。
■日本側に求められる姿勢
現在、同組合のHPから一覧表は削除されているが、表に関する説明も弁解も記載されていない。
このため筆者は同組合に対して「一覧表作成の真意」「誰が評価したのか」「いつ頃から実施しているのか」「今後の対応」などを問い合わせた。しかし、質問を受け付けた旨の返信はあったものの、問い合わせへの回答は一切ない。
同組合は会員企業に対して東南アジアからの技能実習生の受け入れ、紹介を業務として2005年8月に設立、高松市の本部のほかに東京、名古屋、大阪、福岡に支部を置いている。
白井代表理事はHP上で「相互扶助の精神のもと、組合員企業の健全な発展に強力寄与することを目的として異業種の協同組合としてスタートした」などとあいさつしているが、そこには企業同士の「相互扶助」しかなく、労働者として働くことになる外国人への配慮は一切見えてこない。
こうした外国人技能実習生の受け入れ、斡旋紹介を業務とする「監理団体」は現在、日本国内に約2100あまり存在し、全国の企業や介護施設などで約21万人が働いている。
外国人労働者を巡っては、これまでにも残業手当の不払い、低賃金過剰労働、宗教的差別、旅券の不法管理など数々の問題点が指摘されてきた。こうしたことなどを背景に法務省や厚生労働省は監理団体の一元管理と人権・法律上問題がある組織の是正のため、新たに「認可法人・外国人技能実習機構」を組織し、来年度の正式発足を目指している。
大手監理団体の職員に話を聞くと、「この新組織の発足すれば、現存する各団体の実態調査がまず実施され、悪質な場合には業務許可を取り消すなどして業界の健全化が進むだろう」と期待を表明した。
しかしその一方で、関係省庁から天下った元官僚がいる監理団体に対しても厳しい実態調査ができるのか、という指摘もでている。
日本で働く東南アジア出身者の多くは、経済的理由から実習生を志すケースが大半であり、今回問題となった「国際事業研究共同組合」の一覧表で図らずも露呈したような「弱者をいたわる奉仕の気持ち」や「日本に対する強いあこがれがあるかどうか」といった日本側が期待する動機を、必ずしも持ち合わせていないのが実情だ。
日本での研修を通じてそういう心境に変化していく事例がないことはないだろうが、「家族や親せきを経済的に援助するために日本を目指す」のが彼ら、彼女らの偽らざる真意である。
今後、日本側には求められるのは、そうしたボタンの掛け違い、価値観の相違、思惑のズレといったものを、きちんと理解することではないだろうか。
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