http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/665.html
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「日露首脳会談合意の内実を読み解く」というタイトルの投稿を予定していたが、簡単に結論を言ってしまえば、核心の問題である四島の「主権」について、安倍−プーチンは、56年「日ソ共同宣言」に明記された「平和条約締結後に歯舞諸島と色丹島を日本に引き渡す」ことで最終合意したと推測している。(残念ながら国後島と択捉島は現状のままロシア領)
愛国保守派を気取る安倍首相は、この時点で、「二島返還」を条件として平和条約を締結すると説明できない。(だから、記者会見での北海道新聞記者の領土問題に関する質問に的外れの説明をした)
プーチン大統領も、18年に大統領選が控えていることから、歯舞・色丹を日本に引き渡すとは直截に言いたくない。(だから経済協力を前面に押し出した説明に終始)
そのため、主権の異動に関する合意内容は完全にすっ飛ばし、「二島返還」後の「北方領土」の“姿”を語ることでごまかしたわけだ。
安倍首相の言う「新しいアプローチ」とは、国境画定→平和条約締結→主権異動→経済協力という正統な推移ではなく、最後の経済協力を先に説明することで、歯舞・色丹の返還を意味する平和条約締結に日露双方が動くことを示唆するという手法だった。
色丹島に現在住んでいるロシア人は、主権が日本に移ったあとも、望むならそのまま住み続けられるといった合意もなされているようだ。
プーチン大統領は共同会見で「日ソ共同宣言」の有効性と尊重を再確認しているので、当該プレス向け声明にある「共同経済活動に関する協議を開始することが、平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得るということに関して、相互理解に達した」という文言や「共同経済活動に関する交渉を進めることに合意し、また、平和条約問題を解決する自らの真摯な決意を表明」という文言を見せることで、「平和条約締結後に歯舞諸島と色丹島を日本に引き渡す」ことを匂わせていることになる。
残念ながら国後島と択捉島は返還されないが、日本人(企業)に対し、一定範囲での往来の自由と“特別の制度”に基づく経済活動を認めることで、ロシアは日本に対して格別の配慮を示したことになる。(“特別の制度”は、裁判権や警察権など厄介な問題を含んでいるので一筋縄ではいかないが)
「北方領土」問題は、昭和30年頃から反ソ宣伝と日米安保の重要性を語る“貴重なネタ”として活用されるようになった。
千島列島を放棄したサンフランシスコ講和条約に従えば、ロシアに歯舞・色丹の返還を求めることはできても、日本が放棄した後どこの領土か国際法的に確定していない千島列島の一部である国後島と択捉島の「主権」問題をロシアと交渉するのは筋違いである。
それは、同じく日本が放棄した南シナ海の島々の領有権問題で、領有権を主張する中国を非難するのと同程度で...(千島列島の領有を主張するロシアと南シナ海島嶼の領有を主張する中国とはそれほど変わらない立場)
安倍―プーチンの「平和条約締結」構想は、経済協力を進めるなかで、
いずれ日本に返還される色丹島在住のロシア人が、「日本領になっても悪くはないようだ」と思うようになり、
日本に戻ってこない国後島と択捉島の関係者や根室や羅臼などの漁業関係者が、「二島が返還されないのはイヤだが、“自由往来”や経済協力でもメリットがある。以前よりはずっとマシ」と思うようになってくれることである。(そのためには国後・択捉近海の漁業権に関する配慮が必要)
そのように国民(住民)意識が醸成された時点で帰属問題を明らかにし、平和条約を締結する腹づもりなのだろう。
70年以上(56年からでも60年)も決着を付けられなかったことを考えれば、今回の日露合意は致し方のない落とし所であり、説明手法も、ことを円滑に進めるためのやむを得ないゴマカシだと思っている。
今回の交渉で、福島第一原発の廃炉についてロシアが協力するという合意も得られたが、日露関係が改善されることで、身勝手な願望だが、使用済み核燃料の最終処分にロシアが協力してくれることを切に願っている。
それが実現すれば、政府も、「原発廃止」を高らかに宣言することができる。
※関連参照投稿
「安倍首相の発言は国民や政治家の“期待値”を下げるためのもの:北方領土外交ではなく日露平和条約外交」
http://www.asyura2.com/16/senkyo216/msg/372.html
「日本、日ロ経済協力の「先食い」警戒:「先食い」は安倍政権崩壊の危機、やらなかったほうがマシのアホ外交はやらない」
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/521.html
「あす日ロ首脳会談 次官級の非公式協議で大詰めの調整:北朝鮮「核問題」解決に向けプーチン大統領が中国と日本のため一肌脱ぐか」
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/571.html
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プーチン大統領来日
「共同経済活動」に関するプレス向け声明(全文)
産経新聞 12/16(金) 16:24配信
1 安倍晋三日本国総理大臣及びV・V・プーチン・ロシア連邦大統領は、2016年12月15日−16日に長門市及び東京で行われた交渉において、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞諸島における日本とロシアによる共同経済活動に関する協議を開始することが、平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得るということに関して、相互理解に達した。かかる協力は、両国間の関係の全般的な発展、信頼と協力の雰囲気の醸成、関係を質的に新たな水準に引き上げることに資するものである。
2 安倍晋三日本国総理大臣及びV・V・プーチン・ロシア連邦大統領は、関係省庁に、漁業、海面養殖、観光、医療、環境その他の分野を含み得る、上記1に言及された共同経済活動の条件、形態及び分野の調整の諸問題について協議を開始するよう指示する。
3 日露双方は、その協議において、経済的に意義のあるプロジェクトの形成に努める。調整された経済活動の分野に応じ、そのための国際的約束の締結を含むその実施のための然るべき法的基盤の諸問題が検討される。
4 日露双方は、この声明及びこの声明に基づき達成される共同経済活動の調整に関するいかなる合意も、また共同経済活動の実施も、平和条約問題に関する日本国及びロシア連邦に立場を害するものではないことに立脚する。
5 両首脳は、上記の諸島における共同経済活動に関する交渉を進めることに合意し、また、平和条約問題を解決する自らの真摯な決意を表明した。
最終更新:12/16(金) 16:24
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161216-00000536-san-pol
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