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高齢社会日本の縮図:交通誘導員
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都内の建設工事現場で車両を誘導する交通誘導員 PHOTO: PETER LANDERS/THE WALL STREET JOURNAL
By ELEANOR WARNOCK
2016 年 12 月 16 日 11:34 JST
暗闇の工事現場や駐車場でオレンジ色の光の棒を操る男たち。その姿を見て米国人の友人は、まるでスターウォーズのジェダイのようだとつぶやいた。
日本ではよくある光景で、通りがかりの人は気に留める様子さえ見せない。しかし彼ら交通誘導員の存在は、高齢化に直面する社会の現実と、規制が根強く残る経済を象徴していると言っても過言ではない。
人口減少が進む日本では、労働力人口も縮小している。日銀の統計を見ても、人手不足で人材が集まらないと回答する企業の割合は1990年代初頭、つまりバブル期以降で最大だ。
労働力需給がひっ迫する中で、若者はきつい仕事をやりたがらない。他方で高齢者は仕事の選択肢が限られている。世の中は人手不足なのに賃金もなかなか上がらない。
「我々の業界の最大の問題は人材不足。あまり魅力的な仕事になっていない」。主に建設工事現場に誘導員を派遣しているジャパンパトロール警備保障の中田文彦社長はこう語る。「若い人にとっては、この仕事は未来のない夢の持てない仕事に見える」
日本国内の警備会社約9300社のうち、7割近くが交通誘導のサービスを提供している
厳しい労働条件
交通誘導員の労働条件は厳しい。多くは日払いで、8時間以上働いて日給1万円程度。つい最近まで多くの会社が社会保険に加入していなかった。雨が降れば仕事は休みとなり、給与も支払われない。
「最初は大変だった、一日中立ってるのは。でも1週間もしたら慣れた」。スーパーマーケットの駐車場で交通誘導をしている秋山弘さんは言う。
秋山さんは50代まで建設関連の会社で管理職をしていたが、病気で仕事を辞めた。健康を取り戻した後に仕事を探したが、年齢的にこの仕事以外に働き口はなかったという。
多くの場合、交通誘導員には特別の資格は要らず、退職者や高齢者がこの業界に集まってくる。秋山さんの同僚の1人は77歳で以前はマッサージ師をしていた。経済学者は交通誘導員のような職業があることで、日本の失業率は先進国の中でも低い水準に抑えられていると指摘する。
気配り文化の表れ?
実際、日本に来る欧米人は数多くの交通誘導員を目にして驚く。道路工事、デパート、スーパー、展示場、イベント会場――。人や車の集まるところには必ず誘導員がいる。米国や欧州だったら車の運転手は基本的に自分で判断して行動する。非効率で無駄で、働く人にとってはもっといい仕事があるだろうにと彼らの目には映る。
日本の警備業界のルーツは1960年代前半にさかのぼる。経済が急成長するのに伴い、建設工事や道路工事などの現場では警備の仕事が必要となり、車社会になって交通事故も増えていく中で、交通誘導員の仕事が生まれた。日本国内の警備会社約9300社のうち、7割近くが交通誘導のサービスを提供している。
規制は都道府県によって異なるが、一番厳しい東京では、道路工事や道路を占拠して交通を妨げるような現場には警備員の配置が警察によって義務づけられている。
ショッピングセンターやスーパーの駐車場などには交通誘導員を配置する義務はないが、ほとんどの店が配置している。これは広い意味でのおもてなしの文化、気配りの文化の表れなのかもしれない。
一方で、人口減と高齢化が進む中で、警備会社は人材確保に努めている。政府も交通誘導員やガードマンの処遇改善を進めており、最近では社保完備や月払い給与で雇用する会社も増えてきた。
人材不足に規制の壁
とはいえ、退職高齢者や中高年の失業者の数は無限というわけではない。
日本が移民を厳しく制限しているため、警備員の人手不足を外国人で埋めるわけにもいかない。かといって女性が警備員に採用されることも少ない。
ではロボットはどうだろう。警視庁は、機械を使う場合でも必ず人間が近くにいることを求めている。交通量の少ない地方の警察ではこの規制は少し緩いが、労働力不足にもかかわらず警視庁がこの規制を緩める気配はない。
チャンスがもらえただけでもありがたいと話す阿部喬さん
チャンスがもらえただけでもありがたいと話す阿部喬さん PHOTO: ELEANOR WARNOCK/THE WALL STREET JOURNAL
より多くの高齢者が労働市場に参加し、そして失業率が低下している事実は、これまで重視されてこなかった人たちを労働市場に参加させることで経済成長を実現しようとしてきた安倍晋三首相にとっては好材料だ。
しかし、安倍政権は交通誘導員のような人たち、つまり一度仕事を辞めて高齢になってから新たな職を探している層に特段の関心を寄せているわけではなさそうだ。こうした高齢労働者と大企業で働く人たちとの間の賃金および処遇の格差を縮小させることについて、政府はほとんど前進できていない。
以前マッサージ師をしていた77歳の阿部喬さんは、チャンスがもらえただけでもありがたいと話す。
「体を使って歩き回る仕事は健康にいい。なので私はこの仕事を選んだ」。こう語る阿部さんは至って前向きだ。「店にはたくさんの高齢者が客として来る。私たちはいつも『お元気ですか』と挨拶を交わす。同じ年代の人と話が出来るのはとても嬉しい」
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フルタイム雇用なき豪州の若者に「迫り来る危機」
資源ブーム去り、仕事はアルバイトばかり
資源ブームが去った豪州で若者たちは鉱山からサービス産業への経済シフトの影響を受けている。写真は西オーストラリア州コリーの炭鉱 PHOTO: REUTERS/AARON BUNCH
By RACHEL PANNETT
2016 年 12 月 16 日 11:29 JST
【シドニー】鉄鉱石などの国際商品ブームは、これまでオーストラリアに膨大な富をもたらした。同時に、実に25年間という先進諸国世界では最長の景気拡大(年間ベース)を記録し、それは今もなお続いている。しかし、実現しなかったものもある。それは十分持続可能なフルタイム雇用の創出だ。
オーストラリアで「不完全就業(アンダーエンプロイメント)」の状態で働く人の割合は、世界で最高レベルとなっている。不完全就業とはおおむね経済的な理由でフルタイムほど長く労働していない人々、またはパートタイムで労働し、それ以上労働時間を増やせない人々と定義される。
経済協力開発機構(OECD)加盟国中で昨年、オーストラリア以上に不完全就業率が高かったのは欧州で問題が顕在化しているイタリアだけだった。15日発表された政府統計によると、11月までの3カ月間で不完全就業率はオーストラリアが8.5%だったのに対し、イタリアは11.8%となっている。米国は3.9%、カナダは4.6%だった。
オーストラリア統計局のブルース・ホックマン氏は「過去1年間、パートタイム雇用が増える傾向がみられた」と述べた。
5年前は長時間で時に危険なシフトで働く人々への需要がおう盛で、例えば高校中退者が地下鉱山で鉱物を掘削して年間20万ドル稼ぐこともできた。
しかし、そのような資源ブームが去ると、若者たちは鉱山からサービス産業への経済シフトの影響をもろに受けている。サービス部門の多くがレジ係やホテルのクラークといった不定期あるいはパートタイムの仕事だ。
ビクトリア州に住む18歳のアシュレー・マッキノンさんは、ソフトウエアの開発者になろうと情報技術を学んで卒業したばかりだ。しかし、マッキノンさんが見つけられたのは、食料品店で2週間に一度4時間働く仕事だけ。1週間に10〜15の職に応募する毎日を送るが「面接に着ていく服も買えない」とぼやく。
多くの若者たちは、自分の両親や祖父母の時代よりも暗い将来に直面している。一部には大学の卒業資格を断念した者もいるし、フルタイムの仕事を探すのをあきらめた者もいる。多くの若者は依然として親元で暮らしている。家を購入できないのはもちろん、賃貸住宅の家賃も十分に支払えないからだ。
福祉団体「セントローレンス同胞団」のトニー・ニコルソン事務局長は「危機が迫っている」と述べ、「まともなライフスタイルを実現したいと願う大勢の若者たちの控えめの希望すらくじかれるのであれば、そこからあらゆる種類の社会悪が発生する」と述べた。
不完全就業は、5.7%という失業率に上乗せされるもので、それが記録をとり始めて以来で最悪の賃金上昇率と、執拗に低いインフレ率の一因になっている。9月までの3カ月間、オーストラリア経済は2011年初め以降初めてのマイナス成長となり、リセッション(景気後退)への懸念が広がった。
それはまた、ポピュリスト(大衆迎合主義)的な雰囲気を醸し出すきっかけになっている。米国や欧州でみられるのと同様の現象だ。例えば7月の連邦議会選挙(上下両院の同時選挙)では、反移民政党の「ワンネーション党」が上院で4議席を獲得し、人々を驚かせた。
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