http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/553.html
Tweet |
北方領土、真珠湾解散って何だ? 安倍周辺はデマゴーグ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/195808
2016年12月14日 日刊ゲンダイ 文字お越し
自身の権力欲や延命のために…(C)日刊ゲンダイ
「1月解散風 再び」「真珠湾訪問 支持率上昇期待」「早期解散巡り臆測」――。
大新聞がまたぞろ解散・総選挙を煽っている。安倍首相が今月下旬、ハワイの真珠湾を訪れて、米国のオバマ大統領と慰霊の式典に臨むことで、支持率の上昇が見込まれる。トランプ次期大統領の効果で棚ボタの円安・株高にも恵まれている。このタイミングで、安倍が解散・総選挙に打って出るのではないかという臆測だ。
ちょっと前までは、15日からの日ロ会談の成果を受けての「北方領土解散」とか騒ぎ立てていたのに、領土問題に進展がないことが分かると、今度は「真珠湾解散」ときた。こうなると、解散時期の臆測というより、むしろメディア側が率先してけしかけているように見える。大体、「真珠湾解散」って一体、何なのか。真珠湾訪問で解散して、国民に何を問うというのか。
「例えば、トランプ政権になって防衛費の負担増を強要され、『この際、憲法改正をして国のありようを考える』というような国民に是非を問うテーマがあるなら分かりますが、真珠湾訪問で支持率が上がるから解散するというのは理由にもなりません。もちろん、解散が首相の専権事項とされている以上、勝てる時にやってしまうという戦略があるのは確かで、野党が弱い今がチャンスと考える気持ちは分かる。それでも最低限の『大義』は必要です。
4年の任期を待たずに、国民の代表として選ばれた代議士のクビを切るわけだし、総選挙には巨額の税金が使われる。少なくとも、納税者の生活にまったく関係のない私利私欲で解散・総選挙をすべきではない。2年前の解散・総選挙も『増税しない解散』というワケの分からないもので、いわば大義なき解散でした。自身の権力欲や延命のために解散権を振りかざすことには、与党内からも、もっと異論が出てしかるべきです」(政治ジャーナリストの山田厚俊氏)
その与党幹部がうれしそうに解散風を吹かせているのだから、世話はない。
■政局報道が権力を強化する構造
二階幹事長は7日、「年内の解散はない」と言いながら、「年内にはね」と思わせぶりに言葉をつなげ、「年明けたら年明けたで、世の中いろんな動きが出てくるでしょうが、私はそんな占い師みたいに先の先まで見通したりする資格はありませんから」と年明け解散に含みを持たせた。
同じ日に、古屋選対委員長も滋賀県の会合で、「通常国会で第3次補正予算を組み、しっかり切れ目ない予算対応をするとなれば、解散だってあり得る」と発言。石破茂元幹事長も10日のTBS番組の収録で、来年1月の衆院解散について「前回衆院選から2年経っており、十分あり得る」と話した。その根拠として内閣支持率の高さや、真珠湾訪問が外交成果になることを挙げた。
「外交で得点を挙げたら解散・総選挙なんて、権力の私物化もいいところです。本来なら、メディアは解散権の乱用を徹底批判しなければなりません。ところが大メディアの幹部が首相と頻繁に会食して、その場で聞いた話を『これが正しい』とばかりに得意げに話したり、首相の思惑や与党の動きを無批判に垂れ流す現状は、おぞましいの一言に尽きる。首相の外交パフォーマンスをことさら持ち上げ、その是非を問うこともなく、解散を煽る政局報道に終始することで結局、政権の権力強化に加担しているのです」(山田厚俊氏=前出)
そんなに解散させたいのなら、メディアはなぜ、国民生活に大きく影響し、賛否が分かれる年金カット法案やIR法案で「国民の信を問え」と言わないのか。法案の成立を待ち、選挙の争点をなくしておいて、外交得点で解散・総選挙になだれ込む。そういう政権の胸算用に乗っかった政局報道は、大本営以外の何物でもない。
オバマの広島訪問でも支持率アップ(代表撮影)
大義なき解散によって「合意独裁」が形成されていく
権力者による解散権の乱用がいかに危ないかは、歴史が証明している。短期間での選挙を繰り返すことで権力を強化していったのが、ヒトラーのナチスだった。ナチスが第2党になった1930年9月の選挙から、3年足らずの間に4回もの選挙を実施。議席を増やし、政敵を潰し、「全権委任法」を議会で成立させて独裁体制を築いた。議会軽視が民主主義を葬り、気付いた時には後戻りできなくなっていたのだ。
東大教授の石田勇治氏(ドイツ近現代史)は、著書「ヒトラーとナチ・ドイツ」でこう書いている。
〈ナチ体制は、「民族共同体」という情緒的な概念を用いて「絆」を創り出そうとしただけでなく、国民の歓心を買うべく経済的・社会的な実利を提供した。その意味で、ナチ体制は単なる暴力的な専制統治ではなく、多くの人びとを体制の受益者、積極的な担い手とする一種の「合意独裁」をめざした。このもとで大規模な人権侵害が惹起され、戦争とホロコーストへ向かう条件がつくられていった〉
失われたドイツの国威を「取り戻す」と訴え、庶民への経済的実利を約束し、表向きは積極的な平和外交を展開する――。今の日本は、まるでヒトラーの時代をトレースしているかのようだ。
「日本を取り戻す」で政権に返り咲くや、「アベノミクス」「1億総活躍」のキャッチフレーズで国民の歓心を買い、野党潰しの総選挙を繰り返す。それをマスコミが無批判で報じるから、国民は積極的にせよ消極的にせよ受け入れている。冷静に見れば、何の実績も残していない安倍政権が60%という高支持率を維持しているのは、まさにそういうことで、「合意独裁」が形成されつつあるのである。
そういう脈絡の中で、「真珠湾解散」などという“奇襲”が正当化されることの意味を考えなければならない。
■デマゴーグ化した亡国メディア
「本当に年明け解散などということになれば、ほぼ2年ごとの総選挙です。首相ひとりの野望のために、解散権が弄ばれている。政治家もメディアも、首相が解散したくなったら、いつでもどこでもやっていいと勘違いしているようですが、解散権が首相個人に帰するとは、憲法のどこにも書いてありません。内閣不信任案が可決された時に、総辞職か解散を選べるだけで、身勝手な解散権行使は許されないのです。メディアは首相の真珠湾訪問を歴史的成果のように大々的に報じて、援護射撃するのでしょうが、大義なき解散は憲法を踏みにじる行為であり、国会軽視でもある。主権者たる国民をナメくさっているわけで、こんな禁じ手を絶対に許してはいけないのです」(政治評論家・森田実氏)
ある意味、有権者の側も試されているということだ。せめて大メディアがマトモに機能していれば、パフォーマンス外交の目くらましにだまされることもなくなるのだろうが、政権の顔色をうかがって、提灯記事を垂れ流すだけだから度し難い。そこにシナジー効果が生まれて、ますます一強支配が強まっていくという悪夢。その先には、人権侵害が甚だしい自民党憲法改正草案が待っているのだ。それで国民は幸せなのか? 大事な争点を隠し、解散権を乱用するデマゴーグのお先棒を担いでいる亡国メディアは、本当に罪深い。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK217掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。