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前経営委員長代行の上村達男氏 “NHKの病巣”を解き明かす 注目の人 直撃インタビュー
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/195392
2016年12月12日 日刊ゲンダイ
早大法学部教授で前NHK経営委員長代行(C)日刊ゲンダイ
この3年間、世間を騒がせてきたNHKの籾井勝人会長(73)が来年1月に任期満了で退任する。次期会長は現職の経営委員で三菱商事元副社長の上田良一氏(67)。「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」という異常な状態から、果たしてNHKはマトモな公共放送に戻れるのか。経営委員会委員長代行の立場で籾井会長の言動を批判し、退任後も真っ向からぶつかってきた気骨の法学者・上村達男氏(68)がNHKの病巣を解き明かす。
■自殺行為を寸前で回避した経営委員会
――籾井会長の退任が決まりました。
当然の結果だと思います。今回、経営委は指名部会で〈政治的に中立である〉〈公共放送としての使命を十分に理解している〉〈人格高潔である〉など、5つの資格要件を自ら設定しました。それに照らして「要件に該当しない」と判断したのでしょう。
――早い段階から「籾井会長の再指名は経営委員会の自殺行為」と激しく警鐘を鳴らしてきました。
籾井会長は「政治的中立」を求める放送法に違反する発言を、“個人的見解”と国会の場でも平然と言い張ってきた人物です。再指名すれば、経営委は“NHKの最高意思決定機関”としての存在意義を自己否定するところでした。それを回避できたのはよかったと思います。
■大声で怒鳴り散らし議論ができない籾井会長
――“個人的見解”とは、就任会見時の「政府が右と言っているものを左とは言えない」といった発言や、秘密保護法について「まあ一応、通っちゃったんでね。もう言ってもしょうがないんじゃないか」などと述べたことですか。
一連の発言が世論の強い批判を浴びるたび、私は「見解の中身自体が間違っている」と籾井会長に進言しました。ところが、会長はまったく聞く耳を持たず、ますます言動がひどくなっていった。大声で怒鳴り散らし、席を立って出ていってしまうこともありました。議論とか意見交換をまったくできない人なのです。問題発言については、「記者会見の場で個人的見解を発言したことは不適切だった」と釈明したものの、“個人的見解”自体は今も取り消していません。放送法に違反する見解を個人的見解としてきたのですから、過去一貫して、経営委が定めた資格要件に反し続けてきたわけです。今回、経営委が改めて資格要件に合致していると言えるはずがないのですね。
――NHKが様変わりしてしまったことを悔やまれているそうですね。
これは籾井さんというより政府の問題ですが、長年の不文律とされてきた経営委員の「国会同意人事」が有名無実化され、「政府任命人事」になってしまったことの最終的な帰結が籾井会長です。“理事の辞表預かり事件”ですっかり有名になったように、籾井会長が理事に対して人事権を振りかざし、自分が「敵」と見なす人を追放したり担務を勝手に変えたりとやりたい放題でした。ガバナンスの崩壊と人事の混乱によって報道や制作現場が萎縮し、「クローズアップ現代」のようなまっとうな番組を作ろうとすると、特に勇気が必要な状況になってしまいました。
籾井会長(左)から上田新会長へ(C)共同通信社
上田新会長も政府のゴーサインの枠内で動く懸念
――前回の指名部会では、上村教授も経営委員のひとりでした。どうして籾井会長を選出したのですか。
今になってみると、「なんであんな人を選んだんだ」と誰もが言い、私もそう思うわけですが、履歴を見ると、籾井会長は九州大学経済学部から三井物産という一流商社に入社し、海外で活躍し、副社長にまでなっている。子会社の日本ユニシスの社長を務め、ITにも強いと聞きました。経済界の委員がこぞって推薦するのに、反論できる材料はありませんでした。
――会長指名には、12人の経営委員のうち9人以上の賛成が必要です。誰からも異論が出なかったのでしょうか。
書面の資料と推薦の辞をいきなり聞き、賛否を問われても否定的意見にはなりにくい。ただ、必ず2人の候補者を残すというような運用をすべきだったのではないかという反省はあります。その後の面接の時、籾井会長があまりにうれしそうに「放送法を順守します」と声を張り上げるので、それを見た女性委員たちが「この人で大丈夫かしら」とヒソヒソ声で話す様子を記憶しています。今思えば、女性の直感は鋭かったということでしょう。
――今回の会長指名で、現職の経営委員であり常勤監査委員の上田良一氏が選出されました。三菱商事の元副社長で、籾井会長と同じ商社出身。同じ過ちを繰り返しませんか?
ほぼ書類審査だけで決まった籾井会長と異なり、上田さんの人柄をほとんどの経営委員が知っています。私もご一緒しましたが、教養がある方ですし、おかしな発言をする心配も少ないと思います。ただ、最も重要な政府との関係で不偏不党を貫ける方かというと、むしろ籾井さんを支えてきた人でもありますので、政府のゴーサインの枠内でしか行動できないのではないかという懸念があります。それを上田さんが払拭していけるかを見守りたいと思います。
――前回の会長選出の際は、指名部会の前日の2014年12月13日、読売の夕刊1面に「籾井勝人氏が有力」という記事が出ました。今回は12月2日の朝日1面に「籾井会長 再任困難」と大きく載りました。“新聞辞令”という点ではそっくりです。
あの時、経営委員は一様に驚きました。これから自分たちが選んで決めるはずの新会長の名前が、新聞の1面トップに載っているのですから。今回も誰かの意図的なリークがあったのかもしれません。誰が上田さんを会長候補として推薦し、どのような議論を経て1人に絞っていったのか。今後、会長選任のプロセスがつまびらかにされるべきです。
――上田新会長には、コーポレートガバナンスの専門家としても危惧していることがあるそうですね。
NHKの経営を監視・監督する経営委員会の委員、それも常勤監査委員が自ら会長に就くのは極めて異例です。民間企業でいえば、常勤監査役がいきなり社長になるようなものです。常勤監査委員は会長や理事たちから業務上、ヒアリングなどを行い得る立場にありますから、そういうことのない経営委員に比べて内部事情に精通している。しかしそれは、会長に対する監視・監督という観点によるものです。逆説的な言い方になりますが、籾井さんに対して厳しく監視・監督をしてこなかったために、経営者として信頼されるという構図に見えなくもありません。経営委員会にとって、上田さんは身内の最たるものですので、今後、経営委が上田会長を厳しくモニタリングできるのか、疑問を持つ向きもあるでしょう。
■統治機構に大きなバグが潜んでいる
――籾井会長によって、トップに権力が集中すると、どれだけ不祥事を起こしても居座ることができる危うさも浮き彫りとなりました。
ヘタな会長をもってくれば、NHKのガバナンスが崩壊しかねないことがはっきりしました。籾井会長はNHKの統治機構に大きなバグが潜んでいることを明らかにしたと思います。会長が専制君主のような存在になることを防ぐためには、監督権を持っている経営委がよほどしっかりしなければなりません。とりわけ監査委員会の機能強化は喫緊の課題です。
――こうなると、会長を罷免できる手続きがいよいよ必要な気がします。
今でも12人の経営委員のうち過半数の7人の賛成があれば罷免はできます。私は在任中に籾井会長を罷免できなかったことに忸怩たる思いがありますが、現実的にはとても難しい。籾井会長はおかしな人だけど、罷免しなければならないほどではない、と考える委員が、徐々に多数になっていきました。罷免決議が否決されれば、籾井さんの信任決議になってしまいますからね。
(聞き手=本紙・岩瀬耕太郎)
▽うえむら・たつお 1948年生まれ、早大法卒。早大院法学研究科博士課程修了。前NHK経営委員会委員長代行・監査委員(15年2月末まで)、早大法学部教授。専門は会社法・資本市場法。近著に「NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか」(東洋経済新報社)。
前経営委員長代行の上村達男氏 “NHKの病巣”を解き明かす(日刊ゲンダイ)経営委員会委員長代行の立場で籾井会長の言動を批判し、退任後も真っ向からぶつかってきた気骨の法学者・上村達男氏(68)がNHKの病巣を解き明かす。https://t.co/TEPCjnzxuK
— teru☆No(Nukes/TPP) (@teru_lefty) 2016年12月11日
長年の不文律とされてきた経営委員の「国会同意人事」が有名無実化され、「政府任命人事」になってしまったことの最終的な帰結が籾井会長です
— 石川 吾郎 (@55gogo) 2016年12月11日
前経営委員長代行の上村達男氏 “NHKの病巣”を解き明かす https://t.co/e2sWgzHCab #日刊ゲンダイDIGITAL
「籾井会長はおかしな人だけど、罷免しなければならないほどではない、と考える委員が、徐々に多数になっていった」
— tumugi (@tumu1209) 2016年12月11日
新会長は、そんな委員達が選んだ。
前経営委員長代行の上村達男氏“NHKの病巣”を解き明かす https://t.co/Z5Gumelr6H #日刊ゲンダイDIGITAL
籾井会長は議論とか意見交換をまったくできない人。安倍と同類だな。
— JUNJI@昭和おやじ (@atsu444_k) 2016年12月11日
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類は友を呼ぶということだよね。籾井を支えてきたひとたちはまだ残るわけだ。
— T−T (@tcy79) 2016年12月12日
前経営委員長代行の上村達男氏 “NHKの病巣”を解き明かす
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— 大谷雅彦 (@ootanimasahiko) 2016年12月12日
論理的思考展開による名論であり、卓説です。安倍首相や同政権関係者らがする我意を並べただけの益体も無い空論、愚説など足元にも及びません。
前経営委員長代行の上村達男氏 “NHKの病巣”を解き明かす https://t.co/511zun44O1 #日刊ゲンダイDIGITAL 〜<経営委員会にとって、上田さんは身内の最たるものですので、今後、経営委が上田会長を厳しくモニタリングできるのか、疑問を持つ向きもある>
— 木津 繁 (@KizuShigeru) 2016年12月12日
注目の人 直撃インタビュー前経営委員長代行の上村達男氏 “NHKの病巣”を解き明かすhttps://t.co/MI2uIrgwcD「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」という異常な状態からNHKはマトモな公共放送に戻れるのか。籾井会長の退任が決まりました。当然の結果だと
— 秋野あかね (@dougakan) 2016年12月11日
@dougakan 「政府が右と云々」籾井さんの真意が誤解されているのでは?領土問題等、国益が絡む外交面で「政府の立場に立つ」と言う意味で、其れは間違っていない。NHKは尖閣について、恰も中立的な立場としか思えない報道をするが、その方が明らかに間違っている。
— サイ魔女 (@9W53YMO1abliCju) 2016年12月12日
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