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明示されない 「立憲主義は現代には通用しない」の根拠 改憲論 ペテンを暴く
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2016年12月9日 日刊ゲンダイ 文字お越し
小林節氏(C)日刊ゲンダイ
空恐ろしい自民党の憲法観<2>
衆議院憲法審査会で自民党の上川陽子代議士は次のようなことも言っている。つまり、「近代立憲主義は大きく変容しており、時代や国家観の変化に応じて進化する」。
しかし、まず本来的に不完全な人間が、日常生活において民法(私人間の約束は守るべきこと)や刑法(犯罪は行わないこと)に規律されていることは古来不変である。その不完全な人間が近代になって国家権力という強大な力(軍隊、警察、税務署、中央銀行など)を握ることになったため、憲法という新しい法で規律されることになった。その「人間」の不完全な本質は今日に至っても変わっていない。現に、刑法の涜職罪は現代になったからといってなくなってはいない。
自民党は、常々、主権者国民の最高意思としての憲法で権力者を規律する……という立憲主義を、それは近代に特有なもので、現代には通用しない(だから権力者は法から自由?)と主張している。しかし、その結論だけは常に明確であるが、それがなぜか?という根拠は一度も明示されていない。
その上で、上川代議士は、「『立憲主義に反する』という抽象的な言葉で議論が閉ざされてはならない」とまで言っている。
しかし、「立憲主義」とは、「政治家以下の権力担当者(公務員)は、主権者国民の最高意思としての憲法に違反してはならない」という自明の具体的原則である。昨年の議論は、憲法9条が「軍隊」と「交戦権」という国際法上の戦争の資格を禁じているのになぜ戦争に参加できる法律をつくれるのか? という具体的かつ明確な問いかけで始まった。それに対して、政府・自民党が答え得なかったことが問題なのである。
同じ審査会で、中谷元代議士も、「(自民党)改憲草案は、人権を保障するために権力を制限する……立憲主義の考え方を何ら否定するものではない」と言い切っている。
私たちは、そんな開き直りの結論は聞き飽きている。憲法を守る義務を国民に負わせ、その憲法で国民に、日の丸・君が代に敬意を示す義務を課して良心の自由を侵害する等の自民党草案のどこが立憲主義にかなっているのか? 具体的に答えてほしい。
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