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破綻している年金制度はやめちまえ!で本当に撤廃したらどうなる?
ライフ2016.12.09 579
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若い世代を中心に、「いっそのこと、なくしてしまえばいい」との声も聞かれる公的年金。確かに年金制度を撤廃すれば私たちの月々の負担額は減るわけですが、それで生活も楽になるのでしょうか。無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、年金制度を撤廃した際の「未来」をシミュレーションしてくださいました。
もう年金制度を無くしちゃえ!…って事で年金制度を無くしたら一体どんな問題が待ち受けているのか
最近、現役世代の賃金が下がれば年金もそれに合わせて下げる年金改革法案が可決しました。
● 聞いてないよ年金改革。結局、年金は今後どうなるのか?プロが解説
こういう年金法改正の話題があがる度に年金は破綻してる!とか、年金なんてやめたほうがいい!とか、もう積立にしたほうがいい!みたいな話題が出たりする。
まず積立ですが、そもそも年金は歴史的には積立方式から始まったものです。それが役割を果たせなくなったから積立方式ではなくなったんです。積立方式はあらかじめ決められた保険料を支払いながら、運用しつつ、老後になったら積立金と運用収入を年金として貰う。まあ、そのほうが公平っていえば公平だからそれが望ましいから積立方式から始まったんです。
でも、インフレでそれもパーになったから、今の年金給付は現役世代が支払う年金保険料をそのまま年金として支払う賦課方式という方法を取っています。だから今は年金保険料だけでなく時々年金積立金の運用収入も年金給付に充てながらだからほぼ賦課方式といった形。それに今みたいな超長寿国になって、いつまで長生きしてしまうかわかんない時代に積立は対応出来ない。
また、仮に今、積立方式に戻したとしたら、二重の保険料負担の問題も生じてくる。自分の老後資金の為の保険料を支払いつつ、年金受給者の年金の為の保険料支払いもしなきゃいけなくなる。全然現実的じゃない。
さて、自分の保険料が年金受給者に渡るなんて嫌だ! とか、年金制度はもう役に立たない!って事で仮に年金制度やめちゃったとします。もう国民年金保険料や厚生年金保険料払わなくてよくなりますよね。余計な負担から解放されました。老後の資金は自分で貯めるから何も問題ない! 果たしてそうでしょうか。
結論から言うと年金制度は絶対に守っていかなければいけません。よく言われる、年金制度が破綻したら国も破綻するからとかそんな抽象的な話ではなく。破綻は極端な話、日本人口がすべて高齢者になって、全く保険料支払う人が居なくなり、年金が払われなくなれば破綻と言えます。でもそういう事はあり得ない。
で、もし、年金制度を辞めたら負担は軽くなるかというと、そんな事はありません。今の年金受給者の人は現役世代の保険料により主に支えられています。でもそれが無くなったら、高齢者は自身の貯蓄と子供等からの仕送りに頼るしかありません。という事は年金制度を無くしたら、現役世代は高齢になった親世代を自ら扶養しなければならなくなります。
年金制度を撤廃したら大変なことになる理由
例えば月6万じゃ生活できるわけないんだから年金は意味をなさないって言うんなら、その6万円は親族である子供が自分の収入から、親が高齢者になったら仕送りする事になります。つまり自分で扶養する負担が増えるだけなんです。
今の賃金から毎月6万支払うっていったら相当な負担になります(ご両親がご存命であれば倍の12万とか)。それこそ、今の時代って非正規労働者が約1,800万人(昭和60年ごろはまだ600万人くらいだった)になり、賃金もなかなか上がらず、生活はそこまで裕福ではないでしょう。一部の富裕層ならそんな事は大した事ないのかもしれませんが、大抵の人はそんな事不可能ですよね。例えば月に10万円稼ぐというのは本当に大変。
年金制度が無くなるって事は自分の家庭の事、ローンや子供への費用だけでアップアップな中に高齢の親世代を扶養する負担が上乗せされるわけです。年金保険料なんかよりも何倍も高いお金を仕送りする事になります。
今の高齢者は恵まれてるってよく言われますが、今の70代80代とかの人達って、高齢になった親世代を扶養しながら自分達の家庭を守りながらやってきた人達です。確かに、今の国民年金保険料払い始めた昭和36年4月の時は、国民年金保険料は月100円から始まりました。今の月額16,260円とはちょっと比較にならないですね(^^;;
※参考
国民年金保険料支払い困難な人はちゃんと国民年金保険料免除制度を利用しましょう。市役所に行って5分くらいで手続きは終わります。国民年金の基礎年金には給付の半分は税金なので、仮に20歳から60歳まで全額免除にしてても老齢基礎年金780,100円の半分の額は受け取れる事になります。
厚生年金保険料率も昭和の頃は10%いかないくらいだった。来年18.3%(会社と社員個人で折半して支払う)で上限固定される。今現在の保険料よりもすっごく低かった。でも、当時の人達はそうやって高齢になった親世代を扶養しながら生きてきた人達なので、一概に世代間の不公平がありすぎるとも言えない。例えば1980年以降くらいに生まれた人(だいたい親が今60〜70代前後になる人)が私的に親世代を扶養というのはほとんど無いですよね。
昭和50年あたりはまだ、65歳以上の夫婦のみ世帯、または、65歳以上の単身のみ世帯というのは90万世帯くらいで、100万世帯にも満たないほどでした。でも2010年くらいからは1,000万世帯を超えました。親は親自身で生活は任せて、子は社会に出たら親とは離れて自分達の生活をするというような時代に変わってしまった。そして、合計特殊出生率も昭和50年あたりから2.0を割り、平成元年に1.57ショックとか騒がれて、その後も出生率は下がり続け平成17年には1.26という最低を記録。最新の平成27年は1.45と、平成26年より0.03上がりました。
それでも2060年くらいには65歳以上の人口の高齢化率は40%くらいになってそれで推移していく見通し。
昔は子供も多かったし、同居して親世代を扶養するのはなんとか成り立っていたと思う。親を扶養する場合は子供の兄弟姉妹が多ければその分負担を分割する事も出来るんだろうけど、こんな少子化になったら子1人に対する負担はズッシリ重くなる。なのに、年金制度を無くしたりなんかしたら大変な事になりますよ。
逆にもし、自分自身が年金を貰うような年代になった時に未納が多くて年金を貰えなかったり、極端に少ない場合はもう貯蓄か、これから大人になっていく自分の子供達に個人的に仕送りしてもらわないといけなくなるわけです。
生活保護に頼ることは無理なのか?
じゃあ生活保護に頼るという考えに及ぶかもしれませんが、生活保護は原則としてまず自分の財産という財産を全部使い果たした上でしか支給されないし、親族が居るならそっちを頼る事を優先されます。それに生活保護は全額税金だから、国としてもとんでもない負担になる。年金は自分の子や孫等の後代に重い負担をさせる事を防ぐ役割もあります。
で、今は平均余命が延びて、高齢者の人も長生きして80歳、90歳超えなんて普通にある事。いつまで長生きするのかそんな事は誰にもわからない。仮に、年金無しで貯蓄だけで老後を過ごそうって事でやっちゃうとそういう長寿リスクに対応できない。いつ死ぬかわかるんならいいけどそれは誰にもわからないわけで…。
年金というのはそんな長寿リスクに最も強力な保険なんです。生きてる間はずっと支払われるから。そして、私的に親世代を扶養するリスクにも対応しているわけです。年金保険料払ってきたのに途中で死んだら払い損じゃないか! とか、保険料払った分の元が取れない! とかそういう話は結果的なものであり、問題はそこじゃない。
じゃあ、大抵の人がこぞって加入する民間の生命保険の定期保険で言ったら、途中で死ななかったから保険金下りずに損した! とか、火災保険だったら、家が燃えて無くならなかったから保険金下りずに損した! とか馬鹿な話をするんでしょうか。んなわけないですよね(^^;; 年金は貯蓄じゃなくて、保険なんです。
更に、老後の年金だけでなく、人生の途中で病気や怪我で働く事が困難になれば障害年金が傷病が治るまで保障。中には先天的な病気や、不慮の事故なんかで重い障害を負ってしまった方もいるでしょう。そういう方々が所得が得られない場合は障害年金やその他福祉的なもので支えていかなければいけません。20歳前はまだ年金保険料を支払う義務は無いですが、20歳前に負った障害も20歳以降に障害年金が保障します(障害年金の等級に該当する程度であれば)。
結局、年金制度は継続していくべきなのか?
また、自分が死んだら遺された家族(主に配偶者)の生活保障の為に遺族年金が支払われる(終身で支払われる年金は遺族厚生年金)。こういう所も公的年金の最大の強み。だから公的年金に加入して保険料を支払ってる。民間保険がそんな至れり尽くせりやってはくれない。
というわけで、「現役世代が老齢世代を社会的に扶養する」という年金の仕組みをこれからも維持していく事は本当に大切なんですね。
※追記
年金は少ない!とよく言われますが、もともと公的年金は生活費を全てカバーするものではなく、あくまで生活費の一部なんです。
とはいえ、今の65歳以上の高齢者世帯の総所得の67%は公的年金が占め、高齢者世帯の55%は所得の全てを公的年金で生活されていらっしゃる現状であり、年金は老後の生活には欠かせないものとなっています。
image by: Shutterstock
『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』
年金は国民全員にとってとても身近なものであるにもかかわらず、なかなかわかりづらくてなんだか難しそうなイメージではありますが、老齢年金・遺族年金・障害年金、その他年金に関する知っておくべき周辺知識をご紹介します!
http://www.mag2.com/p/news/230781/4
年金滞納者、9割が免除対象 低所得者の強制徴収に限界
井上充昌2016年12月7日08時39分
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国民年金の保険料を滞納している人のうち9割以上が、所得が低いため申請すれば支払いの一部もしくは全額を免除される可能性が高いことが分かった。6日の参院厚生労働委員会で、日本維新の会の東徹氏の質問に塩崎恭久厚労相らが明らかにした。
厚労省は低迷する納付率を上げるため滞納者への強制徴収を進めているが、低所得者に対する強制徴収は「現実的に困難」(塩崎氏)という。
国民年金保険料を2年間以上滞納している人は2015年度末で約206万人に上る。厚労省は年間所得が350万円以上の滞納者を強制徴収の対象としているが、来年度以降は300万円以上に拡大する。
しかし、厚労省の実態調査では年間所得300万円未満が94%を占め、300万〜350万円が2%、350万円以上は4%にとどまる。厚労省は「対象者のうち相当数が督促済み。強制徴収できる対象者はかなり限定的だ」としている。
国民年金の保険料は例えば被扶養家族が3人いる4人世帯の場合、所得が年162万円以下だと全額、282万円以下で半額、335万円以下で4分の1が免除されるという目安が示されている。天災や失業による特例もあるほか、生活保護や障害年金1、2級の受給者なども全額免除される可能性がある。
6日の参院厚労委では、現役世代の賃金が下がった時に公的年金の支給額も下げる新しいルールを盛り込んだ年金制度改革法案の実質審議に入った。(井上充昌)
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