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12月1日に開会した都議会定例会での所信表明で小池都知事は「現状維持は衰退や後退でしかない」と改革への意気込みを語った(撮影/伊ケ崎忍)
小池知事の次の一手は予算編成 「政党復活予算廃止」は吉か凶か〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161205-00000227-sasahi-pol
AERA 2016年12月12日号
五輪会場が従来の予定通りとなりそうな局面で、小池都知事が新たに投下した爆弾。都議選に向け自民党を追い込む一撃となるか、それとも自爆を招いてしまうのか。
「政党復活予算の仕組みは終了とさせていただきます」
12月1日の都議会定例会の冒頭で、小池百合子都知事は淡々と宣言した。すでに前週の定例会見で廃止を発表しており、改めて強調する形になった。
東龍太郎都知事時代(1959〜67年)に始まったとされるこの都独自の制度は、予算編成の過程で削られた項目を議会からの要望で「復活」させるもの。都民により近い議会としての存在感をアピールするねらいがあったという。92年度からは毎年200億円が割り当てられており、2016年度は私立学校への助成金や商店街活性化事業などが復活している。小池知事はこれまで議会に丸投げだった復活枠編成の慣例を変え、今後は「議会、各種団体の意見や要望をオープンな場で聞く」と改革方針を示した。
●「王手飛車取り」の策
小池知事の側近は「これは都議会自民党の動きを封じる『王手飛車取り』の策だ」と語る。都議会の会派のうち公明は方針に反対せず、共産や都議会民進は賛成しているが、自民党は会見での方針発表直後に抗議文を出すなど対決姿勢を示している。
「自民党が反発するのはこの予算を選挙対策に使ってきたから。廃止すれば力がそがれるし、自民党が廃止反対を貫けば来年1月の予算編成にも反対することになり、都民の生活が脅かされる。どちらに転んでも自民党に得はない」(小池氏側近)
小池知事はここのところ、守勢に回る局面が増えている。一つは、五輪問題。小池知事が見直しを示唆した3施設のうち、ボート・カヌー会場と水泳会場が予定通りの新設に決定。残りのバレーボール会場も、代案として検討されている横浜アリーナでの開催は「地元自治体の出すハードルが高い」(都関係者)ため、当初予定通りの会場新設になる公算が大きい。小池知事は「施設費用は意外に少ない。(そのほかの費用について)マネジメントが必要だ」とすでに論点をずらしつつある。
●「実態は『セレモニー』」
世論を味方につけた対自民の構図も、少しずつ変化が出てきた。知事選で小池知事を支援し離党勧告を受けた豊島、練馬区議の通称「7人の侍」は、11月28日に自民党本部で行われた聴取で代表者が自民に残る意思を示し、知事選で反小池だった都議の選挙も支援すると表明したという。これに対し、7人の区議の一人はSNSで「事実とは違う」と表明。「自民党側からのデマだ」(小池氏関係者)、「言いたいなら言わせておけばいい」(別の区議)など、両陣営の思惑が錯綜している状況だ。
そんな混乱を収めるねらいの一手が、政党復活予算廃止だ。前出の小池氏側近は、復活予算廃止は都議選の争点にもなると言う。
「『撃ち方やめ』と言われてもやめない都議会自民党とは戦わざるを得ない。都議選では小池知事の地盤や自民党の主要議員の選挙区には必ず候補を立てる」
一方で、ある都政関係者は、この策が「むしろ知事側にとって致命傷になるかも」と言う。
「政党復活予算は毎年ほぼ決まりきった項目しか復活していないし、内容も当たり障りのないものがほとんど。実態は『セレモニー』にすぎない。だから民主党が都議会第1党だった時も、復活予算の内容はほとんど変わっていない」
例えば商店街の活性化事業はここ5年間毎年復活項目に挙がるが、「商店街は自民党以外の政党支持者もたくさんいる。自民党だけが集票に利用していたという認識自体が間違っている」(前出の関係者)
200億円の予算編成を都が握ったとしても「各種団体からのヒアリングを本当にさばけるのか。むしろ混乱を招くだけなのでは」と、この関係者は予測する。攻めの一手が追い風になるか、逆風を呼ぶのか。来年1月の予算編成が新たな主戦場となる。(編集部・福井洋平)
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