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「ヤルタ密約」公表直前の1946年2月9日付で英外務省から全在外公館へ一斉に送られた外交電報(英国立公文書館所蔵、岡部伸撮影)(写真:産経新聞)
北方領土外交の失敗をだめ押しした産経新聞のスクープ記事−(天木直人氏)
http://www.twitlonger.com/show/n_1spcuq8
5th Dec 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
安倍首相の北方領土外交は、プーチン大統領が日本の主権を全面否定したことによって、
もはや1ミリも動かないことが明らかになったが、たとえ2島返還で安倍首相が譲歩し、
そしてプーチン大統領がそれを認めたとしても、そのような合意そのものが、日本にとって不当なのだ。
そのことを証明する一大スクープ記事を、きょう12月5日の産経新聞が一面トップで書いた。
すなわち、ロシア側が一貫して北方領土の領有権を主張する根拠として引用するヤルタ密約について、
英国政府が疑念を有していたことが、英国国立公文書館所蔵の英国外交電報で明らかになったというのだ。
つまり、英国外交電報では、ヤルタ密約(ヤルタ協定のうち極東密約)の有効性については、
ルーズベルト米大統領(当時)が権限を越えて署名したことや、
米国上院の批准もない状況下での有効性について米国内で論議が起こるかもしれないとし、
英国はその議論に巻き込まれないよう注意すべきだと警告しているというのだ。
実際のところ米国では、1953年に就任した共和党のアイゼンハワ−大統領が年頭教書演説で
「あらゆる秘密協定を破棄する」と宣言し、
1956年には
「ヤルタ協定はルーズベルト個人の文書であり、米政府の公式文書ではなく無効」との国務省声明を
発表している。
そして、米国政府の立場がそうである以上、日本政府もまたヤルタ密約については、
「領土問題の最終処理を決定したものではなく、当事者として参加していない日本は拘束されない」
(平成18年2月国会答弁)との立場である。
そこにきて、きょうの産経新聞のスクープ報道である。
英国外交電報が明かした、英国政府による疑義表明である。
米英のアングロサクソン同盟がそう認め、これまでの日本政府が従って来た政策を、
安倍首相が否定してプーチン大統領に譲歩することなど、そもそもあり得ないことなのだ。
そんなことを安倍首相がやろうとしていたのだ。
幸いにもプーチン大統領の強硬発言で領土問題解決はなくなった。
安倍首相は歴史的誤りを冒さないですむことになる。
安倍首相はプーチン大統領に感謝しなければいけないのである。
これ以上の外交大失敗があるというのか。
それにしてもこのタイミングでこのような大スクープを書いた産経新聞は、
少なくとも北方領土問題については、安倍首相に追従しているわけではないという事である。
◇
【ヤルタ密約秘話】英外務省、露の北方領土領有の根拠「ヤルタ密約」に疑念 「ルーズベルト米大統領が越権署名」 外交公電で全在外公館に警告
http://www.sankei.com/world/news/161205/wor1612050013-n1.html
2016.12.5 07:03 産経新聞
【ロンドン=岡部伸】ロシアがソ連時代から北方領土領有を主張する最有力根拠としてきた「ヤルタ密約」(ヤルタ協定のうち極東密約)の有効性について、ルーズベルト米大統領が権限を越えて署名し米議会で批准されていないことを引き合いに、英政府が大戦終了後の1946年2月に疑念を示していたことが英国立公文書館所蔵の英外交電報で明らかになった。=3面に「露の四島占拠根拠なし」
電報は、米英ソ3カ国が同11日にヤルタ密約を公表する2日前の9日、英外務省から全世界の在外英公館54カ所に「緊急かつ極秘」に一斉に送られた。
電報の冒頭には「ソ連のスターリン首相、ルーズベルト米大統領、チャーチル英首相が45年2月11日にクリミア会議(ヤルタ会談)でソ連の対日参戦条件について極秘に合意した密約内容の文書が含まれる」と記され、米英ソ3政府が合意から1年後にあたる46年2月11日に、それぞれの議会で合意文書を発表するとしていた。
「ソ連の樺太、千島列島の占拠は日本が敗戦するという文脈の中で取り扱われるべきだ」とした上で、「ルーズベルト大統領が権限を越えて署名したことや、米上院の批准もない状況下での有効性について米国内で論議が起こるかもしれない」として、「(英国は)その議論に巻き込まれないよう注意すべきだ」と警告している。
ソ連はヤルタ密約を根拠に当時有効だった日ソ中立条約を破棄し、満州(中国東北部)や北方四島に侵攻し占領。後継国家のロシアも北方領土の領有権を主張してきた。
一方、米国では53年に就任した共和党のアイゼンハワー大統領が年頭教書演説で、「あらゆる秘密協定を破棄する」と宣言して問題が表面化。56年には、アイゼンハワー政権が「ヤルタ協定はルーズベルト個人の文書であり、米政府の公式文書でなく無効」との国務省声明を発表し、ソ連の領土占有に法的根拠がないとの立場を鮮明にした。
一方、当事国の一つである英国は立場を明らかにしてこなかったが、チャーチル首相が41年8月、ルーズベルト大統領と領土不拡大の原則をうたう大西洋憲章に署名している。今回の電報を通じ、密約が大西洋憲章に反するとの英政府の46年当時からの認識が示された形だ。
■ヤルタ密約 1945(昭和20)年2月4日から11日まで、クリミア半島ヤルタで米国のルーズベルト大統領、英国のチャーチル首相、ソ連のスターリン首相による連合国3カ国首脳会談が開かれた。ルーズベルト大統領はソ連による千島列島と南樺太の領有権を認めることを条件に、スターリン首相に日ソ中立条約を破棄しての対日参戦を促した。会談では、ドイツ降伏後2カ月または3カ月でソ連が対日参戦することが秘密協定としてまとめられた。また、国際連合創設を協議し、ドイツと中・東欧での米ソの利害を調整することで大戦後の国際秩序を規定。東西冷戦幕開けのきっかけにもなった。
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