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トランプとプーチンにナメられて…安倍官邸「大パニック」実況中継 外務省と経産省が「責任のなすり合い」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50367
2016.12.05 週刊現代 :現代ビジネス
天国から地獄へ——ほんの数日前に「トランプに会った唯一の首脳」ともてはやされた安倍首相の外交戦略が、一瞬にして頓挫した。そのとき、首相官邸で起きていたことは。内実をレポートする。
■赤っ恥をかいた安倍首相
「まさに、青天の霹靂だった。トランプは、何てことをしてくれたんだ。ブエノスアイレスで一報を聞いた(安倍)総理の顔は引きつり、言葉も出なかった……」
こう証言するのは、ある外務省関係者だ。
日本時間の11月22日午前7時19分、安倍晋三首相がブエノスアイレスで、ニューヨークの「トランプタワー」訪問、ペルーでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、アルゼンチン公式訪問を総括する記者会見に臨んだ。
安倍首相は、「APECは30年近く前に日本が提唱して始まった」と前置きして、今回の成果を誇らしく述べた。
「決して内向きになってはいけない。それが今年のAPECの最大のテーマだった。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、そうした自由で公正なルールに基づく経済圏を太平洋に創り上げる野心的な挑戦であり、TPP首脳会合では、すべての参加国がその挑戦をやり遂げる決意を改めて共有した」
質疑応答で、NHK記者から、「トランプ氏はTPPからの離脱を言っているが」と水を向けられると、安倍首相は強気の表情で、「TPPは米国抜きでは意味がない」と言い切ったのだった。
同行記者が語る。
「総理は、南米訪問の途中でニューヨークに立ち寄り、トランプ次期大統領と1時間半も会談したことが、自慢でならなかった。それでAPECでは、各国首脳と話すたびに、『私は数日前に、トランプとじっくり語り合ったんだけどね』と、もったいをつけていました。
すると、どの国の首脳もトランプ氏と会ったことがないため、熱心に耳を傾けた。安倍総理は21ヵ国・地域の首脳の中で、すっかり主役気分だったのです」
ところが、である。安倍首相の記者会見が終わったのが、日本時間で午前7時43分。それからわずか18分後に、トランプ次期大統領は、ビデオメッセージを発表し、こう言明したのだ。
「わが国に災厄をもたらす恐れがあるTPPからの離脱の意思を通告する」
前出の同行記者が語る。
「APEC首脳会議の合間に、安倍総理が主導する形で、TPP参加国12ヵ国の首脳を集めて会合を開きました。その際、トランプ氏と会談をした安倍総理が自信満々だったため、参加した首脳たちは、『もしかしたらアベは、トランプ説得に成功したのでは』と、期待感を強めていたのです」
それが記者会見の直後に、トランプ次期大統領から正反対のメッセージが出たのだから、安倍首相は、すっかり赤っ恥をかいてしまった。日本の首相も、ナメられたものである。
■外務省の「2大戦犯」
前出の外務省関係者が告白する。
「実は安倍総理とトランプ次期大統領との会談の中で、トランプ氏の長女のイヴァンカさんから抗議を受けた。彼女は、日本のメディアがこぞって『駐日大使に起用』と報道したことに憤慨していたのだ。
トランプ氏がわざわざ安倍総理に恥をかかせるようなタイミングでビデオメッセージを公開したのは、長女に恥をかかせたことへの意趣返しではないか、とうがった見方をする関係者までいます」
この安倍・トランプ初会談の中身については、日米双方とも、「非公開だ」として、箝口令が敷かれている。
実際にはTPPに関して、何が話し合われたのか。前出の外務省関係者に改めて聞くと、重い口を開いた。
「本当に、詳しいことは言えない。ただ、会談を終えた安倍総理は、非常に明るい表情で、こう漏らしていた。
『トランプは、オバマよりずっと話が分かる男だよ。まずは、われわれが(TPPの)批准を目指そうではないか』。
だが、いまにして思えば、あんな会談はやらなければよかったのだ。外務省としては気乗りしなかったが、経産省サイドが勝手に突っ走った会談だった。
会談が行われることを知ったケネディ駐日アメリカ大使は、『来年1月20日までは、オバマ大統領が唯一のアメリカの指導者だ!』と怒り心頭だったし、ホワイトハウスもトランプ次期大統領に猛抗議したという。
そのため、安倍総理と会ったトランプ次期大統領の口は、意外に重かった。以後、他国の首脳らが『トランプ詣で』をできなくなったのは、トランプ氏が安倍総理だけを特別視したからではなくて、ホワイトハウスに、『もう二度とやらない』と詫びたからだと聞いている」
それでは、「経産省サイドが勝手に突っ走った」とは、どういうことなのか。経産省関係者に確認すると、怒りを滲ませながら反論した。
「だいたい外務省は、大統領選挙当日まで、安倍総理に、『クリントン候補の勝利は間違いありません』と囁き続けてきたのだ。特に、杉山晋輔外務事務次官と、秋葉剛男外務審議官が、『2大戦犯』だ。
そのくせ、トランプ勝利が確定して、安倍総理が『一刻も早く挨拶を述べたい』と言うと、『トランプとはツテがありません』とぬかした。それで総理が激怒して、『もう外務省には頼まん』ということになって、急遽、経産省に要請が来たのだ。
そこでわれわれは、トランプタワーに入居している日本企業を調べ上げ、トランプ氏が住む66階まで行ってもらった。それで『安倍総理が祝辞を述べたいから』と言って、電話番号を聞き出したのだ」
経緯はともあれ、安倍首相が意気揚々とトランプタワーに乗り込んで行ったことは、完全に裏目に出てしまった。
23日午後に帰国した安倍首相は、翌24日に開かれた参議院のTPP法案に関する審議で、野党から集中砲火を浴びた。
安倍首相は顔色もすぐれず、弁明に大わらわとなったのだった。
前出の経産省関係者が続ける。
「そもそも外務省は'13年夏、過去に省内で問題を起こして居場所がなくなった大江博氏を、TPP首席交渉官代理として送り込んだ。その大江氏は今年、甘利明TPP担当大臣がスキャンダルで失脚すると、定年退職のはずが首席交渉官に出世して、『ミスターTPP』のように振る舞い、団結を乱していったのだ」
■ロシアにのめり込んだ二人
ところで、安倍外交はAPECでもう一つ、赤っ恥をかいた。それは、ロシアとの北方領土交渉である。前出の外務省関係者が明かす。
「安倍総理がロシア外交を本格化させたのは、'14年2月にソチ冬季五輪の開会式に出席した時からだ。ウクライナ問題を巡って、欧米の首脳がおしなべて欠席する中、先進国でほとんど唯一、出席した安倍首相を、プーチン大統領が開幕式の翌日、ロシア料理の盛大なランチで歓待したのだ。
この時、安倍総理とプーチン大統領は、ウォッカを5杯も乾杯して盛り上がり、日ロ関係を前進させることで一致。会談に同席した世耕弘成官房副長官(現経産相)は、『(北方領土返還により)早めに地図を書き換える準備をしておけよ』などと吹聴していた」
北方領土を取り戻して歴史に名を遺したい安倍総理と、総理をヨイショして立身出世を狙う世耕氏は、欧米が対ロ経済制裁を強化する中、ロシアにのめり込んでいった。
「オバマ大統領から2度も、『ロシアに近づくな』と直接言われていたのに、安倍総理は今年5月にロシア訪問を強行。この時、世耕官房副長官と経産省が、『8項目の経済協力』を、プーチン大統領の鼻先にブラ下げた。
世耕氏はこの時の功績で、8月の内閣改造で経産相に抜擢された。さらに、『ロシアと交渉する際の肩書が欲しい』と総理にせがんで、ロシア経済分野協力担当大臣も拝命した。
そんな世耕経産相は、『いまさら4島一括返還を言っている外務省は古くさい』と非難し、『外交は外務省の専権事項』という不文律を破って、総理と二人三脚で、どんどんロシアに接近していった」(同・外務省関係者)
外務省では小泉純一郎政権時代に、北方領土の「4島一括返還」か「2島先行返還」かを巡って、いわゆる「(田中)眞紀子vs.(鈴木)宗男戦争」が勃発。その後は、「4島一括の日本の帰属が交渉の原則」と定めた。
「この10月に死去した、『ミスター北方領土交渉』と仰がれた丹波實元駐ロシア大使は、『北方領土の帰属をロシアに売り渡すな』との遺言を遺した。帰属の問題は一政権の問題ではなく、将来の子々孫々にまで禍根を残す問題なのだ。
それなのに安倍総理と世耕経産相は、対ロ交渉から外務省を事実上外した。その上で総理は、9月2日にウラジオストクで、プーチン大統領と55分間、二人っきりで会談。『2島返還でもよいから』と譲歩した。そしてプーチン大統領がニンマリ笑顔を見せたことから、交渉の行方を楽観視して、12月15日の『山口会談』を決めてしまったのだ」(同・外務省関係者)
ここから日本では、2島先行返還案を始めとして、共同統治案、ロシア施政権案、面積2等分案など、次々にリーク報道がなされ、「山口会談」へ向けた期待感が高まっていった。
■豹変したプーチン大統領
ところが、11月に入って俄然、雲行きが怪しくなってきた。
2日から6日まで、世耕経産相がモスクワを訪れたが、経済援助は大歓迎でも、領土問題には触れられず仕舞い。8日から10日には安倍首相の懐刀である谷内正太郎国家安全保障局長が訪ロしたが、やはり「玉砕」した。
あげく15日には、世耕経産相のカウンターパートで、「プーチン政権一の親日派」として知られたウリュカエフ経済発展相が、200万jの収賄容疑で拘束されてしまう。世耕氏がプーチン大統領に相手にされていないことがハッキリしたのだ。
こうした中、ペルーAPECの最中、現地時間の19日に開かれた15回目の安倍・プーチン会談は、重苦しい雰囲気となった。前出の外務省関係者が明かす。
「12月の山口会談は、日本にしてみれば『総理の故郷に招待するから領土を返せよ』という話なのに、ロシア側からまず、『なぜ交渉の過程が次々と日本メディアにリークされるのだ』とお叱りを受けた。続いて、『'18年に大統領選を控えているというのに、領土問題なんか出せるわけないだろう』と言う。
とにかく万事、強気で、プーチン大統領はこれまでとは別人のようだった。ロシアとの関係改善を公約に掲げたトランプ候補が勝利したことで、もはや日本など眼中にないということなのだろう」
これでは、いったい何のために山口まで招待するのかということになる。
ロシアは日本をせせら笑うかのように、ペルー会談直後の22日、北方領土の択捉島と国後島に、新型の地対艦ミサイルを配備したと報道した。同日、尖閣諸島周辺の上空にロシアの哨戒ヘリコプターが突如として出現し、自衛隊機が緊急発進する事態となった。
ロシアの立場について、セボードニャ通信社のコツバ・セルゲイ東京支局長が解説する。
「ロシア側は、南クリル諸島(北方領土)を日本に譲り渡すなどと言ったことは一度もない。そもそも経済制裁を科してくる敵国に、領土を渡す国がどこにあるのか。それに、クリミア半島を取り返したことでロシア国民から支持されているプーチン大統領が、日本に領土を渡したら、とたんに支持率が急降下して、ロシアで政変が起こるだろう。
12月のプーチン大統領の訪日は、あくまでも東京で、各種の経済援助を受け取るサインをしに来るのだ。いわばこれまで日本がロシアに経済制裁したことへの贖罪だ。山口では温泉につかって、『今後とも何事も話し合おう』で終わりだ」
トランプにナメられ、プーチンにナメられ、安倍外交はいよいよ「崩壊」に向かいつつある。
「週刊現代」2016年12月10日号より
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