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「北方四島に対する日本の主権を回復する」は、日本国家の原理原則である。実を言うと、北方四島に対する歴史的経緯や法的議論は大きな意味を持たない〜領土は最終的に国家神話によって基礎づけられる/佐藤優
〔はじめに〕
ソ連崩壊後…なぜ北方四島の日本への返還がロシアの国益に適うのだろうか? 1991年12月にロシアの国務長官としてソ連崩壊のシナリオを描いたブルブリスにその理屈を教えられた。
ブルブリス「いいか、マサル…ロシアの内政の課題は、スターリン主義の負の遺産から抜け出すことだ。民主化、市場経済を社会に根付かせようと必死になっている。北方領土問題もスターリン主義が残した負の遺産だ。わかるか」
「日本人が返還をあきらめたと言っても、ロシアは4つの島を日本に返還しなくてはならない。そうすることでロシアはスターリン主義と決別したということを世界に示すことができる。それによってロシアの権威が向上する。それだから北方四島を日本に渡すことはロシアの国益増進につながる」
この話を聞いて、わたしは「その通りだ」と思った。
第二章 亜民族(ナロードノスチ)
「北方四島に対する日本の主権を回復する」というのは、日本国家の原理原則である。実を言うと、北方四島に対する歴史的経緯や法的議論は大きな意味を持たない。
歴史的議論では、択捉島については1800年頃までは、日本よりロシアの影響の方が強かった。法的議論では、1951年のサンフランシスコ平和条約2条c項で日本は南樺太と千島列島を放棄している。当時の日本政府の認識では、千島列島のなかに、南千島というカテゴリーで、国後島と択捉島は含まれていた。
たまたまソ連がサンフランシスコ平和条約への署名を拒否し、ソ連の法的継承国であるロシア連邦がこの条約を援用できない状況にあるのが幸いしているだけだ。もしプーチン政権が二島返還で腹を括り、「ロシアもサンフランシスコ平和条約に署名する」という戦略に転換したら、とても面倒なことになる。…かなりの確率で、国後島、択捉島の日本への返還要求は根拠を失う危険がある。それだけでは済まないかもしれない。ロシア側の立場では、歯舞群島は北海道に属しているが、色丹島は千島列島の一部なのである。
領土は最終的に国家神話によって基礎づけられるのである。「歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の北方四島は誰が何といってもわが領土である」という神話を堅持することが、北方領土問題解決の大前提と思う。神話は外交交渉における取引の対象とはならないのである。
現状は、日本では「北方四島はわが国固有の領土である」という神話が機能しているのに対し、ロシアでは「南クルリ四島は誰がなんと言おうとも絶対にロシア領だ」という神話は機能していない。平均的ロシア人でも四島は第二次世界大戦の結果、ソ連領になったという認識はもっている。
【出典】「沖縄・久米島から日本国家を読み解く」佐藤優/小学館’09年
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