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TPP承認案が衆院本会議で可決され拍手する安倍首相(C)日刊ゲンダイ
TPP固執に垣間見える 21世紀型の「大東亜共栄圏」構想 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/194905
2016年12月2日 日刊ゲンダイ
さすがに往生際が悪すぎる。安倍首相が今国会でのTPP承認と関連法案の成立に、いまだ固執している。
衆院での強行採決に続き、今度は自然成立を狙って、11月30日までだった会期を延長させた。会期末までの法案成立が困難となったのは、山本有二農相の度重なる失言や、ちぐはぐな国会運営など、政府与党の身から出たサビだ。それでも、安倍首相は発効が絶望視されるTPPの批准をあくまで目指す。この執着心は尋常ではない。
TPPの発効には参加12カ国で最も経済規模が大きい米国議会の承認が不可欠。安倍首相の言い分に従えば「米国にTPPの意義を粘り強く訴え続ける」ために、「国会での速やかな承認」が必要らしい。だが、トランプ次期大統領は当選以来、かなり穏やかになったとはいえ、「就任初日のTPP離脱」という公約については強硬姿勢を崩そうとしない。安倍首相との会談から5日後に、改めて離脱表明のビデオメッセージを発表したのも、強い意志の表れだ。
トランプ氏の保護貿易主義は筋金入りで、彼は自由貿易そのものを否定している。経済のグローバル化が雇用を奪うという考えは大統領選中から一貫してブレない。国内産業を再び育て上げ、過去最大の雇用をつくり出すという公約の死守に血道をあげるに違いない。
トランプ氏の翻意が考えにくい中、安倍首相がTPP批准に邁進するのは恐らく別の狙いがあるのだろう。現行の規定ではムリでも、米国抜きのTPP発効を模索しているのではないか。TPPについて、安倍首相は国会で「日本がここで立ち止まれば自由貿易は後退する」とも語っている。米国が保護貿易に固執するなら、日本主導で他の参加国に米国抜きの自由貿易圏の創出を呼びかける。首相の発言には、そんな思惑を感じるのだ。
日本を中心に環太平洋地域の国々が共存共栄を大義に掲げ、国境を取り払って、ヒト・モノ・カネを自由に往来させる。つまり安倍首相は21世紀型の「大東亜共栄圏」を目指しているのではないか。
安倍首相の祖父で、A級戦犯容疑で収監された岸信介氏は、戦前の「大東亜共栄圏」構想の申し子のひとりだ。まさか、祖父の亡霊にとらわれているわけではないだろうが、首相が「共栄圏」の実現に突き進むのなら、日米間の外交摩擦の激化を覚悟しなければならない。安倍首相が自由貿易圏を高らかに掲げるほど、保護貿易の権化のトランプ氏にケンカを売ることになる。
相手は大統領選挙中に日本に対して「在日米軍の駐留経費を全額負担しなければ軍の撤退もいとわない」と言い放った男である。怪物大統領の心証を損ねれば、安全保障の問題にも飛び火しかねない。戦前のように日米両国が最悪の関係に陥らないことを、ひたすら祈るばかりだ。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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