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2016/11/29 07:51
<2001年のノーベル経済学賞受賞者で、経済理論だけでなく政策面でも多くの国に影響を与えたジョセフ・スティグリッツ氏は、次期米大統領トランプ政権下では「米国経済がトラブルに陥るリスクがかなり高い」と警告している。
ジョゼフ・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz)
1943年生まれ。クリントン政権の大統領経済諮問委員会委員長、世界銀行上級副総裁などを歴任。2001年、「情報の経済学」に関する研究でノーベル経済学賞を受賞。行動する経済学者としても知られ、世界各地を巡りながら経済の現状を冷静に分析する。
世界に驚きを与えた米国大統領選挙。当選後のトランプ氏が過激な発言を控えていることもあり、市場は平穏を取り戻したかのように見える。しかしそれはどこまで続くのか。
トランプ就任が世界経済に与える影響をどうとらえればいいのか。「週刊東洋経済」では、2001年にノーベル経済学賞を受賞し、米国を代表する経済学者であるジョセフ・E・スティグリッツ氏に緊急インタビューした。
スティグリッツ氏は「トランプは非常に危険な人物。米国経済がトラブルに陥るリスクはかなり高い」と警告する。(一部敬称略)
──ドナルド・トランプ次期大統領が掲げる政策をどうとらえていますか。
同氏の主張には根本的な問題がある。歳出を増やす一方で、全所得層への減税を実施し、米国政府の予算を均衡化すると言うが、三つを同時に行うことはできない。
守れない公約をするという意味で、彼はポピュリスト(大衆迎合主義者)のレッテルを張られてきた。公約の多くを破ることになるだろう。
──全所得層への大幅減税についてはどう思いますか。
富裕層が最も恩恵を受け、富める者がさらに富み、格差が拡大するだろう。
連邦最低賃金を(10ドル以上に)上げるとも主張しているが、これも実現不可能なことを公約している。引き上げてくれればいいとは思うが、共和党は反対の立場を取っている。トランプは、共和党が異を唱える多くのことを公約している。
そもそも共和党は、昔から行いが一貫しておらず、誠実でない。たとえば、民主党が政権を取ると財政責任を求めるが、自分たちが与党に回ると支出もいとわない。レーガン大統領は、歴代大統領の中で最大の連邦債務を作り、ブッシュ前大統領も莫大な債務を積み上げた。トランプ政権も、そうなるだろう。
私が知るかぎり、彼のアドバイザーはヘッジファンドやウォール街の関係者ばかりで、経済学者はせいぜい1人。彼の周辺には経済システムを理解する人がいないのだ。株式取引や投機売買なら知っているかもしれないがね。
彼は環太平洋経済連携協定(TPP)の批准も拒みそうだが、これは米経済に何の影響も与えない。
北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉も公約しているが無理な話だ。メキシコとの国境に壁を造ると言っているのに、メキシコが再交渉に応じるわけがない。トランプは、メキシコと同国民を大いに侮辱してきたのだから。
メキシコのペニャニエト大統領が8月末にトランプと面会した後、ペニャニエト大統領の支持率が急落した。メキシコ政府にとって、再交渉に応じることは自殺行為だ。
トランプは中国と貿易戦争を起こすかもしれない。実に愚かなことだ。そんなことにでもなれば、米経済、世界経済に甚大な被害が及ぶ。
──教授はグローバル化の弊害も指摘されています。自由貿易協定で、米製造業の雇用が減少したそうですね。
米国人の下位90%は、収入が伸び悩んでいる。その点から見ると、米経済は悲惨な状況にある。トランプは、有権者の経済に対する不満を利用した。もっとも、その問題を解決するには最悪の人物だ。彼は格差を拡大する。富裕層に必要なのは減税でなく、累進課税の強化だ。
貿易協定が経済に打撃を与えた理由の一つは、政府が失業者の転職を支援してこなかったことにある。共和党がノーと言い続けてきた。皮肉にも国民を苦境にさらしてきたのは共和党なのだ。今回共和党が勝利したことを、多くの人々が奇妙に感じている。
──年内の利上げは?
イエレンFRB(米国連邦準備制度理事会)議長は制約がある中で非常によくやっている。金融政策だけで完全雇用は実現できない。財政出動が必要なのは明らかだが、共和党が反対してきた。与党になれば、一転して景気刺激策を取るかもしれないが。
先進国の大半がそうだが、米国の金融政策も非常に微妙な状況にある。現在の低金利下では景気浮揚は限定的。財政政策が必要だ。低金利は格差を広げたり、金融市場を歪めたりする懸念もある。
米経済がトランプ大統領の誕生に適応できれば、今年中の利上げもありうる。
とはいえ、トランプの下で米経済がトラブルに陥るリスクはかなり高い。彼は非常に危険な人物だと思う。政策に一貫性がない。慎重を期するなら、彼が間違いを犯したときに景気を浮揚できるよう、今のうちに利上げするほうがいい、となるだろう。
日本は人口減で悲観するな
──日本はいまだにデフレから脱却できません。
日本の過密さを考えると、人口減少は、たぶんいいことだ。低成長は気にならない。成長率(国内総生産=GDP)に目が行きすぎている。
デフレは、低成長、つまり総需要の不足によって生み出される症状だから、総需要が増えればプラスになる。
政府債務もさほど懸念していない。債務の多くは、日本銀行が(国債買い入れの形で)保有しているからだ。
気掛かりがあるとすれば、時間当たりの生産性が高くないことだ。生産性向上には、大学や研究機関への投資を増やし、より付加価値の高い産業を育成する必要がある。
私が重視するのは、生活水準や失業率、格差、貧困、時間当たりの生産性だ。日本の失業率は高くないが、格差は大幅に拡大している。デフレのような「症状」と違い、こうした点を注視している>(以上「東洋経済オンライン」より引用)
ジョセフ・スティグリッツ氏は冷静にトランプ次期大統領の治世を危惧しているようだ。日本にこうしたタイプの経済学者はいないか、いたとしてもマスメディアに登場していない。いるのは御用経済学者ばかりでトンチンカンな経済理論を展開して政権のご機嫌を窺う芸人のような連中ばかりだ。
彼の対日評は正鵠を得ている。何度もこのブログで指摘したように、日本経済のデフレ下の最大要因は総需要不足だ。その原因は消費増税と企業の生産設備に対する投資不足だ。
消費増税で個人の可処分所得が有無を言わさず奪われたから、それ以上に個人消費が落ち込むのは当たり前のことだ。そして企業の生産設備に対する投資は日本以外の海外で行われて、日本国内の生産性は一向に向上しないことになる。
だからこのブログで何度もUターン投資減税を行って、海外移転した生産拠点を日本に取り戻すように提言してきた。投資により新しい生産設備を造れば、必ず依然あったものよりも改良・改善指して生産性は向上するものを造る。
そうしたことによりデフレ化経済を克服して、生産性向上により製品単価に占める人件費を後進国並みに引き下げることが出来る。日本が海外の人件費の安価な製造業者と戦うにはそうした技術の研磨と投資により生産効率を向上させることでしか対抗できない。またそうして競うべきだ。
技術は労働者に蓄積されて初めて改善され改良される。そうした技術を蓄積する優秀な労働者は日本国民をおいて他にない。
トランプ大統領に対するジョセフ・スティグリッツ氏の危惧は当たるだろう。躓くのを待ってから、トランプ氏が自ら自覚して政策を決定し始めてから、日本政府は話し合いに乗り出すべきだ。時期尚早を「稚拙」と呼ぶ。
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