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アメリカTPP離脱がもたらす想像以上に深刻なダメージ 気になる中国の動き
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50306
2016.11.28 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス
トランプ次期米国大統領の経済政策に対する期待から、世界の金融市場では株高、ドル高が進んでいる。
米国の株式市場は史上最高値を更新する一方、為替市場では一時、113円80銭台までドル高・円安が進んだ。そうした金融市場の動向の背景には、世界最大の経済大国である米国が財政出動を進めれば、一時的に世界経済の底上げに対する期待が高まる点がある。
一方、不安な部分もある。トランプ氏が、これまで主張してきた保護主義重視の考えを改めて示した。21日、同氏は“環太平洋パートナーシップ(TPP)”協定からの離脱を明言した。
これは、日米を中心にアジア太平洋地域の12ヵ国からなる世界のGDPの4割、貿易の3割を占める経済連携協定の行き詰まりだ。それが中長期的な世界経済にどう影響するか、慎重に考える必要がある。
■危ない保護主義
第二次世界大戦終結後の世界経済は、政治、経済、そして軍事の基軸国家である米国を中心に、自由貿易協定(FTA)の締結などを進めて貿易の障壁を取り除いてきた。
それが先進国企業の新興国への進出や、各国間での海外直接投資、貿易取引の増加につながった。こうしてグローバル化が進むことで、世界経済全体の成長が達成されてきた。
グローバル化に伴い、先進国での生産活動はコストの低い新興国にシフトしてきた。これが進むと、先進国の民主主義を支えてきた中産階級が、一握りの富裕層と、それ以外の低所得者層に遠心分離器にかけられたかのように振り分けられる。
この状況が続くと格差の拡大や固定化といった問題が発生し、世論の不満が高まる。そして、多くの政治家はその不満を解消する方策を示して人気を集めようとする。これが今日のポピュリズムの温床だ。
トランプ氏は米国第一を掲げ、グローバル化の潮流の中で職を失ってきた米国の労働者の支持を集めて大統領の座を手に入れた。また、同氏は、自国産業の保護、新興国からの輸入品への関税率引き上げなどの保護主義的な考えを強調してきた。
それだけに、21日にトランプ氏がTPP離脱を明言したことは今後の国際的な経済連携に大きな影響を与えかねない。
TPPは日米を中心にアジア太平洋地域の貿易や投資などのルールを統一化し、包括的な自由化を目指す取り組みだ。TPPには、米国を中心に民主主義に基づく連携を強化し、南シナ海への海洋進出など、身勝手な行動を進めてきた中国への包囲網を形成するという意義もある。
議論を主導してきた米国の離脱が決定的となった以上、TPPの実現は困難だろう。その結果、各国が連携よりも自国の都合を重視して動き始める可能性も高まったとみる。
■「暗黒の木曜日」再び?
気になるのは中国の動きだ。中国はTPPに対抗して、“東アジア地域包括的経済連携(RCEP)”の実現を目指してきた。
19日には、アジア太平洋経済協力会議(APEC)にて、習近平国家主席がRCEPの早期妥結を目指すと明言するなど、トランプ次期大統領の誕生以降、RCEP加速の兆しが出ている。
TPPという対中包囲網の実現が頓挫したことを受け、中国は覇権強化を目指して各国を自陣に引き込もうとするだろう。
アジア経済の成長が低迷しているだけに、目先のインフラ開発や中国の流通市場へのアクセスを見込んで、中国の呼びかけに応じる国が増えても不思議ではない。そして、中国が覇権を強めようとすることは、世界の政治、経済が多極化することでもある。
世界経済全体の需要が供給を下回っている中で多極化が進むと、需要の囲い込みなどが進み、特定の国、地域の利益を重視しようとする考えが広がりやすい。
これまでは米国が世界各国の利害を調整する役割を担ってきたが、保護主義を重視するトランプ氏がそうした役割を果たすとは考えづらい。利害の調整が進まないと、通貨安競争や貿易摩擦などが発生し、世界経済の安定性が損なわれかねない。
世界経済を支えてきた多国間の経済連携の動きは停滞し、中長期的な世界経済の下振れリスクは増していると考える。過度に各国が自国産業の保護や需要の囲い込みに力を入れ始めると、世界経済が1930年代のような低迷に陥る恐れもある。
特に、資源や食糧を輸入に頼るわが国は、米国とのFTA、アジア各国への経済外交を進め、中国にはない公平かつ透明性のある経済連携の締結に注力していく必要がある。
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