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原発事故費用 経産省"国民が払え" 経産省 内部資料入手/狙いは再稼働
しんぶん赤旗・日曜版 2016年11月27日号 1面
とりあえず8.3兆円。お支払いは電気料金の値上げで″−安倍政権は、こんな「請求書」を国民に出そうとしています。東京電力などが支払うはずだった福島第1原発事故の収束費用などを、国民に負担させようというもの。狙いはズバリ原発再稼働です。その計画書″ともいうべき内部資料を日曜版編集部は入手しました。その驚くような内容は…。 三浦誠記者
ここに経済産業省資源エネルギー庁の内部資料があります。タイトルは「電力システム改革の貫徹」。福島原発事故などで新たに発生する廃炉や賠償の費用などについて詳しく記しています。
東電と国はこれまで、原発事故にともなう廃炉に2兆円、賠償に5.4兆円がかかるとしてきました。これらは東電など原発を持つ電力会社が負担する計画です。
原発事故が収束しないなか、それらの費用が大幅に膨れ上がってきました。経産省は「(廃炉費用は)年数千億円」というだけで具体的な額は示していません。内部資料にはその額が記されています。
−廃炉で8兆円、賠償で7兆円。これに全国の原発の廃炉費用1.3兆円と試算している。
このうち8.3兆円を電気料金に上乗せする形で国民に肩代わりさせようという作戦です。廃炉の難航などでこの8.3兆円もさらに膨れ上がる可能性があります。
上乗せされると電気料金は一体いくら上がるのか、という試算も内部資しています。
−関東エリアでは標準家庭(3人家族)で月180円、年間では2160円の値上げ。そのほかの地域でも月60円、年間720円の負担増。
これらの内容を実現するための道筋も内部資料に記されています。経産省に「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を新設するというのです。
年明けにも法改正
実際、同委員会は9月に設立され、内部資料に沿った議論が始まっています。経産省は年明けにも法改正で実現を狙っています。
まさに国民負担のための「計画書」。東電などに責任がある廃炉や賠償の費用をなぜ国は、国民に負担させようとしているのか−。東電元取締役は本音を明かします。
「原発は事故が起きると巨額の損害となる。原発は一企業で扱えるものではない。それを承知で国策として導入した。国が面倒をみましょう″というのは当然だ」
安倍政権はエネルギー基本計画で、原発を「重要なべースロード(基礎)電源」と位置付けています。2030年度の時点でも原発の比率を20〜22%に保つ方針。カギは原発再稼働です。そのために安倍政権は、東電など電力会社の負担を軽減しているのです。
(6面につづく)
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(1面のつづき)
廃炉 賠償費用 電気料金に上乗せ 原発電力使わない人も
しんぶん赤旗・日曜版 2016年11月27日号 6面
1面で紹介した経済産業省資源エネルギー庁の内部資料。ここには、計8.3兆円を国民に負担させる計画が記されています。福島第1原発事故に伴い、東京電力など電力会社が負担すべき追加の廃炉や賠償の費用、全国の原発の廃炉費用です。そのやり方は、魔法の杖(つえ)″ともいうべき電気料金への上乗せです。
これまでも電力会社は廃炉費用を、国の規制制度で電気料金に上乗せしてきました。その仕組みに詳しい電気事業連合会元幹部は説明します。
「廃炉が最終的に完了するまでには、原発を止めてから数十年かかる。長い期間で成り立つのが原発の費用だ。だから電気料金に上乗せして廃炉費用をため込む制度ができた」
この制度さえあれば、廃炉費用がいくら膨れ上がっても、家庭や企業などの電力需要家に転嫁できます。まさに魔法の杖″。しかし小売り電力の自由化に伴い、この制度は2020年をめどに終了します。
新たな手段
自由化後にどうやって電気料金に上乗せするのか−。エネ庁は、1面で紹介した「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(貫徹小委)で検討しています。
電力自由化で電力会社は、発電会社と送配電をする会社などに分かれます。発電会社は東電などの送配電子会社に、送配電網の使用料金(託送料金)を払い、需要家に電力を届けます。
この託送料金には、国が料金決定に関与する規制の仕組みが残ります。そのためエネ庁は、託送料金に8.3兆円を上乗せし、回収しようとしています。
前出の電事連元幹部は言います。「すべての需要家から廃炉費用などをとる仕組みを継続しないとと原発はやっていけない。だから電力の需要供給に関係する人のすべてが使う送配電網から集める」エネ庁は貫徹小委などで、原発を保有しない新電力会社から電力の供給を受ける需要家からも、廃炉費用などをとることを明らかにしています。
買徹小委の大石美奈子委員(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
代表理事)は指摘します。
「託送料金は送配電のためだけに使うべきです。今回の案は、原子力の廃炉費用などを託送料金に上乗せして、電力自由化で原子力以外の電気を選んだ消費者にも負担させようとしています。原発事故を起こしても青天井で回収できるため、原発延命のための優遇策にしか見えず絶対に反対です」
珍妙な理屈
原発の電力を利用しない需要家にまで賠償費用を支払わさせるため、エネ庁は潜妙な理屈を持ち出しています。
−原発事故の賠償費用は本来、事故前にためておく必要があった。しかしためていなかったので、過去に原発の電気を利用した人すべてが負担すべきだ。
−現在、原発の電力を利用しない人も「過去分費用」として払うべきだ。
原発業界団体の元幹部は「この理屈はひどい」と怒ります。
「商品を安く売っておいて、後になって『経費を上乗せするのを忘れました』とお客さんに請求する企業なんてない。賠償や廃炉費用が足りないのは当初の見積もりミスで、原発事業者が費用を負うべきだ」
大手銀 東電融資で巨額益
福島第1原発の廃炉・賠償費用が膨れ上がるなか、金融機関の責任を問う声が高まっています。大手銀行は事故前から東電に融資するなど原発推進の一端を担ってきました。事故後も債権放棄をせず、東電に融資を続け、巨額の利益を上げています。
日本共産党の塩川鉄也衆院議員の調べによると金融機関は事故後、東電への融資の利息として計1993億円を得ています。東電支援のため国なども金融機関から償金。この利息だけで計約182億円です。
経産省元官僚の古賀茂明さんは指摘します。
「事故収束費用の負担の原則は、まずは東電、次に株主、そして銀行などによる債権放棄だ。それをやることもなく、いきなり電力利用者や国民に負担を押し付けている。他方で、国が東電を守ることで銀行がもうけ、株が上がって株主が喜ぶ。こんな理不尽なことがまかり通っていいはずがない」
再稼働のため電力会社延命 『原発のコスト』の著者
立命館大学教授 大島堅一さん
東京電力は、すでに支払った原発事故の収束・賠償費用だけで15兆円を超えており、約2.2兆円の純資産をはるかに超えています。事実上、債務超過の状態です。
東京電力は、すでに支払った原発事故の収束・賠償費用だけで15兆円を超えており、約2.2兆円の純資産をはるかに超えています。事実上、債務超過の状態です。
東電の経営破綻を避けるために政府は、本来、東電が払うべき収束・賠償費用を、託送料金に上乗せするという形で国民に負担させようとしています。
政府は福島第1原発だけでなく一般の原子炉の廃炉費用も、託送料金に加算し国民の負担にしようとしています。政府、電力会社は、廃炉費用がどのぐらいになるかを公表していません。国民負担が際限なく膨らんでいく恐れがあります。
電力会社の託送料金に上乗せする手法なら、税金などとは違い、国会での議決も必要ありません。チェックが利かなければ、費用はいっそう膨張する可能性があります。
いま政府が進めているのは、原発の再稼働を推進するために、電力会社の延命をはかるための仕組みづくりです。これほどの延命策をしなければ存続できない原発という電源を持つ必要があるかどうかが根本的に問われています。
(聞き手 宇野龍彦記者)
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