>>24さん >トランプ次期大統領、21日、TPPについて、就任初日に >「離脱を通告する」と明言。TPPは死んだ。ただしトランプ氏は >「代わりに2国間の通商交渉にあたる」と宣言。よりむき出しに >譲歩を迫ってくる危険がある。多国籍企業の利益最優先でなく、 >経済主権を守る公正・公平な貿易ルールに切り替えを! ●確かにその通りですね。トランプは、2国間の通商交渉で、更に譲歩を迫るつもりでしょう。 ところで、そもそも、こうした通商交渉は世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が、参加国が多すぎて合意できなかったので、まず、第一段階としては地域毎に交渉して、地域別の「経済共同体」を形成し、その次の第二段階として、世界各地の「経済共同体」の代表が集まり、<世界共通の通商ルール>を決めるというプランで始まったものです。 要するに、世界の巨大資本=1%が、より効率的に世界を収奪できるようにするために、巨大資本=多国籍企業に有利な<世界共通の通商ルール>を決めるのが、真の目的ですね。 具体的に言えば、巨大資本=多国籍企業は、様々な特許技術を持っていますから、その特許期間を出来るだけ長めに決めたいわけです。一方で途上国は、その特許技術を使用料を払って使う側ですから、特許期間を出来るだけ短くしたいわけで、この点が大きな対立点の一つです。 ですからトランプは、2国間の通商交渉で米国の巨大資本に有利なルールを押し付けて、その次の段階で、再びTPP交渉をするつもりなのでしょう。 ●しかし、先日、日中韓の3国は「日中韓FTA」と、アジアの16カ国が参加している「地域包括的経済連携」(RCEP)交渉を加速することを決めましたね。 このRCEPには、日本や中国、インドも参加しているので、RCEPはTPPよりも自由化の度合いは低いのですが、その経済効果は、アメリカのシンクタンクである「ピーターソン国際経済研究所」(PIIE)によると、TPPよりも約9倍ぐらい大きいのです。★ ●しかし、こうした経済効果なるものは、先進国では巨大資本が享受するのであって、労働者ではないことに米国の労働者は気付き始め、トランプが勝利しました。 これは日本の労働者も同じで、TPPはもちろんですが、RCEPも、日本の労働者には競争の激化などマイナスの面もあります。 しかし、日本がRCEPに参加しないと、日本の貿易の50%ぐらいはアジア諸国ですから、日本の巨大資本だけでなく、日本自体が確実に衰退しますから、中国主導だろうが、参加せざるを得ません。しかし、RCEPには日本の労働者にとっても、安全保障の面では良い点もあると思います。 ●というのは、「日中韓FTA」と、このRCEP交渉が妥結すると、いよいよ、「東アジア経済共同体」(名称は違うかもしれないが)の交渉が始まるからです。そして、その過程では、この「東アジア経済共同体」には中国やベトナムなどの独裁国家も参加するので、「東アジア平和条約」が締結される可能性があるからです。(かつて、「東アジア共同体」の議論が盛んだった頃には、この「東アジア平和条約」の締結が前提とされていた) これが締結されれば「日米安保条約」は破棄でき、在日米軍基地も撤去できます。というのは、この「東アジア平和条約」には、やがてロシアや北朝鮮も参加するのは確実で、場合により、EUや、南米諸国まで参加して、世界規模の平和条約に発展するかもしれないからです。(既に、「東南アジア友好協力条約」に、日中韓、ロシア、北朝鮮、EU、米国、ブラジルなどの世界中の多くの国が参加した前例があります) ●そして、このRCEPは中国が主導しているので、先進国よりも途上国に有利な通商ルールを決めようとしています。それで、このRCEPが締結されると、世界中が、中国が主導するRCEPの通商ルールを、世界の通商ルールに採用する趨勢が強まります。つまり、世界の経済的な主導権が、米国から中国に移る可能性が強まるわけです。 だから、オバマ大統領はTPPの意義について「中国のような国に世界経済のルールを作らせてはならない。我々こそがルールを書くのだ」と中国を名指しで非難する声明を出して、ライバルへの敵意をむき出しにしました。 このことから、わかるように、米国は中国が主導する「RCEP」を恐れているのですね。なぜなら、経済領域での対立は、必ず政治領域での対立も生み出しますから、途上国が多い<アジア=中国>が米国に替り、世界を主導する趨勢が高まるからです。 ですから、トランプ式の2国間交渉の次に、再びTPPやEUとのTTIPを行うという方法では手遅れになり、TPPやTTIPが成立しても、既に世界では、「アジア=中国」型の通商ルールがスタンダードになっている可能性があります。 ●中国は、基本的にはまだ途上国ですから、先ほどの特許の件なら、出来るだけ特許期間を短くしたいわけです。 また、中国は共産党政権を守るために、自由化による経済成長で国内の経済格差を減少させることだけでなく、体制を不安定化させる自由化の犠牲者=失業者を極力減らしたいはずです。 ですから、競争力が弱い産業の労働者を再教育して他の産業へ移動させる時間が欲しいので、TPPよりも徐々に自由化を進め、経済の激変を避けるルールを決めるでしょう。これは、他の途上国も同じなので、日本はRCEPや「東アジア経済共同体」の交渉では苦戦すると思いますが、世界中に血の雨を降らす米国の世界支配を終わらせるためには、仕方ないことです。 武力で制圧して国土を広げた米国と比べると、中国は長い歴史から、武力の限界も知っているので、アルカイダやISの件でも、武力では解決できないと公言しています。ですから、日本と中国の2国は協力して米国から主導権を奪い、アジア=日中が主導する世界を構築すべきだと思いますし、自由党の小沢一郎氏の本心も同じで、まずは「米中等距離外交」を実現し、その次に、日中が主導する世界を実現するつもりなのだと推認しています。 ★TPPよりも、自由化の度合いが低い「RCEP」の経済効果の方が大きい理由についてPIIEは、@TPP参加国は既に、かなり関税率を引き下げているが、「RCEP」参加国は、まだかなり関税率が高いため、少し引き下げるだけでも大きな効果が期待できることと、A「RCEP」には日本や中国、インドといった経済大国が参加しているためと分析している。 東南アジア友好条約 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E5%8D%97%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%8F%8B%E5%A5%BD%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%9D%A1%E7%B4%84 東アジア共同体 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%BD%93
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