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安倍外交・完全崩壊、運命が逆回転を始めた日/渡瀬裕哉
2016年11月15日
http://yuyawatase.blog.jp/archives/9298043.html
〔北方領土交渉のキーパーソン・突然の逮捕劇が起きた!〕
本日ロシアの連邦捜査委員会によって、ウリュカエフ経済発展相が国営石油会社を巡る収賄容疑で身柄を拘束されました。同人物は世耕・ロシア経済分野協力担当大臣(経済産業大臣)のカウンターパートとして日ロ関係のキーパーソンとなっていた人物です。
ウリュカエフ大臣が身柄を拘束されたことで、日本側が望む北方領土交渉は完全に暗礁に乗り上げる形となり、既に約束した対ロシア経済協力の果実のみをロシア側に提供するだけ状況になる公算が高まりました。
報道ベースではあるものの、世耕大臣のコメントを見る限り、日本政府はこの事態を全く予見できていなかったのではないかと推測します。そして、この致命的な外交ミスも米国大統領選挙と密接に関係したものと言えるでしょう。
〔トランプ大統領で米ロ関係が改善、用済みになった日本は捨てられた形に〕
トランプ大統領は予てから中東地域、つまり米国にとって最も厄介な地域での対ロ協調を打ち出してきました。そして、現実にトランプ大統領が誕生した以上、当面の間は米ロ関係はオバマ政権時代と比べて友好的な関係が続くものと思われます。
一方、日本は外交的な情報能力不足から「ヒラリー大統領誕生」を前提に様々な外交交渉を進めてきたように見受けられます。ヒラリー陣営に所属していたカート・キャンベル氏が「安倍・ヒラリー会談時に日本側が意図している日ロ関係改善についての大筋を認めた」趣旨の発言をしていました。
ロシア側にとっては日ロ関係の改善は、米国によるロシア包囲網を切り抜けるための重要なカードであり、経済協力と引き換えに北方領土問題で妥協する可能性は十分にあったものと思います。
ただし、それはヒラリー政権が誕生して米国がロシアに対して引き続き厳しい立場を取り続ける可能性がある場合のケースです。
トランプ勝利が決まったことによって、米ロ関係が二国間レベルで改善してしまうことで、ロシアにとって日本の位置づけは相対的に低下することになります。そのことを端的に示した事件が上記のウリュカエフ大臣の身柄の拘束です。ウリュカエフ氏は今月予定されているAPECで世耕大臣に会う予定になっていましたが、日本側は完全に梯子を外された形になりました。
〔日本エスタブリッシュメントの頭の中、致命的な外交失敗を引き起こした頭の中〕
安倍政権の外交政策の基本方針は対中包囲網であったように思われます。
歴史修正主義のイメージを払拭して米国の支持を取り付け、南シナ海でASEAN諸国と結んで中国に対抗し、インドに巨額の支援を約束して抱き込む、最後に北方領土問題を前進させて、中国を四方八方から抑え込むというイメージです。
しかし、このような対中包囲網の発想は、日本のエスタブリッシュメント独特の極東の島国の外交センスでしかありません。なぜなら、世界の基本的な外交状況は中国の脅威にそれほど重きを置いていないからです。
国際政治の基本的な構図は、米ロ対立の構図、そして中東地域におけるテロとの戦いです。米国のシンクタンクの外交文書でも東アジアに触れる量の何倍もの分析がロシア・中東に対して行われています。
中国をロシアや中東よりも安全保障上の脅威として上だとみなしている米国の専門家は少数でしょう。一部の日本をヨイショしてくれるような都合が良い米国のカウンターパートから情報収集をしているから、木を見て森を見ずの外交政策が実行されてしまうのです。
そのため、対中包囲網という枠組みは、米ロが激しく対立している状況においては、ロシア側の思惑(日米同盟の切り崩し)によって有効に機能しているかのように見えましたが、実は掌の上で踊らさられていたということが言えそうです。
南シナ海においてもフィリピンをはじめとして、安倍外交が作り上げた中国封じ込めの枠組みは崩れつつあり、韓国でも政権が転覆して日韓合意のレガシーが破棄される可能性も高まっています。まさに、世界情勢は大きく変動しつつある状況です。
このように米国によるロシア包囲網の枠組みが偶然に日本の中国包囲網の枠組みとリンクしたことで、安倍外交はここまで実に見事な成果をあげてきましたが、この年末にかけて運命は逆回転の道をたどることになるでしょう。
〔外交失敗によって日本国内で政変が起きる可能性も高まった〕
安倍外交の失敗は日本国内における自民党内でのパワーバランスの変更を迫ることになるかもしれません。国内では民進党が非常に弱体であるため、選挙による政権交代が発生する可能性は極めて低いものと思います。
しかし、自民党内では今年の参議院議員選挙・都知事選挙を通じて反主流派の力が増加している状況があり、安倍首相をはじめとした政権主流派の影響力が外交的な失敗によって低下することで、党内のパワーバランスが崩れて政変に繋がる可能性もあるのではないかと推測します。
日ロ関係で大見得を切った安倍外交は北方領土問題で成果を挙げられるかどうかで成否が問われる状況となりました。トランプ氏の親ロ的方向性から意外と前向きに話が進む可能性もありますが、プーチン大統領が利用価値が下がった安倍首相を引き続き必要とするかどうかは分かりません。
来年のトランプ政権の本格稼働によって米国のエスタブリッシュメント人脈に依存した安倍政権の限界が更に露呈していくことなるでしょう。日本は一気に危機的な状況に立たされた状況となっています。
渡瀬裕哉(ワタセユウヤ)
早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員
東京茶会(Tokyo Tea Party)事務局長、一般社団法人Japan Conservative Union 理事
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