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安倍政権はいま、解散総選挙についてこんなことを考えている 【永田町内幕リポート】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50190
2016.11.15 鈴木 哲夫 現代ビジネス
■解散を後押しする人、止める人
《安倍首相が年内、または年明け早々に解散・総選挙を断行するのではないか》
永田町で流れた、ひところの「解散風」は今ここへきて静まりつつある。しかし、「(解散は)やるやると言ってやるものじゃない。静かになったということは、やらないという意味じゃない」(自民党ベテラン議員)との声もある。
安倍首相によるこの時期の解散の理由は明快だ。「大勝するには絶好のタイミング。大勝によって長期政権を手に入れ、たっぷりと時間を確保した上で安倍首相の悲願である『憲法改正』を成し遂げるため」(首相側近)である。
トランプ氏が新大統領に選ばれるという想定外の出来事もあったいま、現時点での解散の可能性はどのくらいなのか。
まず、官邸。与党の閣僚経験者で官邸にも内通している大物議員は、「安倍首相周辺で早期の解散を一番強く主張しているのは、麻生太郎副総理兼財務相のようだ」として続ける。
「日ロ首脳会談で北方領土問題がある程度前進すれば支持率は上がるし、民進党の執行部内の選挙体制がなっていないことを考えれば、いまがベストタイミングというのが麻生さんの考え」
麻生氏は、今年6月にも参院選に合わせて衆議院を解散し、衆参ダブル選挙を仕掛けるべきだと主張した。
「かつて自分が首相のときに解散のタイミング逃して惨敗し政権から転がり落ちた。そのトラウマや反省から、常にチャンスがあればやるべきという主戦論なのではないか」(同議員)
これに対して、官邸内の慎重論者は菅義偉・官房長官だという。
菅氏に近い自民党議員は「菅さんは、民進党が体たらくでもそれなりに野党共闘が進むと、自民党は30議席や40議席は減らすという見立て」と話す。
この議席減については下村博文幹事長代理も、「野党4党の統一候補が進めば、単純計算で80以上の選挙区で逆転される」と語った。また、夏の参院選で敗れた1人区はいずれもTPPに反対の農業従事者が多い地方や原発政策への批判が強い立地県に、野党統一候補が立ち自民党は破れている。決して楽観視できる選挙状況ではない。
こうしたことから菅氏は、ごく近い周辺に「解散ムード一色を少し弱める」と漏らした。その直後の10月16日の講演では、「解散風は偏西風みたいなもの。偏西風は1年間吹きっぱなし」との慎重論を述べた。
党側では、選挙を仕切る二階俊博幹事長が相変わらずの変幻自在の発言。
これまで、「選挙の風は、もう吹き始めている」などと発言してきたが、10月末に出演したテレビ番組では、選挙が弱い1、2回生を指し、「我々の立場では、しょっちゅう『解散はあるかも』と言っておかないといけない。わたしの勘では、切迫したことはないんじゃないか」と軌道修正した。首相の決断が、どちらに転んでもいいようにする環境づくりだろう。
■日露交渉、公明党
こうした中で、解散を占う大きなポイントは2つ。
1つ目は、なんといっても日ロ首脳会談の中身の見通しだ。前出側近も「日ロ首脳会談の成果、北方領土での歴史的な前進が安倍首相の大きな判断材料でしょう」と話す。
現在、北方領土については「二島返還」など様々な見方が出ているが、自民党幹部は「首相は今回のチャンスに賭けている。プーチンと一対一の関係で話を進めようとしていて、誰が交渉の中身に関わっているのかもトップシークレット。限られた5人ぐらいのメンバーが担当している。プーチン側もごく少数が窓口になっている」と明かした上で、「領土問題がどう進むか。解散は、そこにかかっている」と話す。
2つ目は、公明党の了解だ。安倍首相も、いまや公明党の選挙協力なくして総選挙に勝利できないことは承知している。その公明党幹部が、支持団体の動きも含めて意味深にこう明かした。
「来年夏に都議選を控えているが、この都議選は小池都政下で注目されることもあり、国政選挙並みの戦いとなる。その時期と重なる時期の解散には、党としては負担が多くなるため『ノー』と言わざるをえない。2018年初頭にかけて、公明党の支持団体である創価学会もいろいろ仕事を抱えている。
それらを考えれば、解散のタイミングはこの年末から年始にかけてのワンチャンスしかない。そして、やるなら早い方がいいと考えている。こちらの事情で見るならば、日ロが終わった年内に解散して、選挙は1月、または2月18日投開票という選択もあるんじゃないか」
北方領土交渉次第というところはあるが、公明党の幹部の話を聞くと、俄然解散は現実味を帯びてくる。
なお、「トランプ大統領誕生」という想定外の出来事は、解散の判断にどんな影響を与えるのか。日本の株価が大きく下がることがあれば解散の判断に影響を与えるだろうが、トランプ新大統領が日本の経済にとってマイナスとなる政策を採ったとしても、それが実体経済に反映されるのは早くとも数ヵ月先である。
むしろ、「あと一年もすれば日本の景気が悪くなっているかもしれない」との判断が働き、解散に踏み切る材料のひとつとなるかもしれない、と考えるべきではないだろうか。
■自民党の選挙力も低下気味?
こうした中で、自民党、民進党の現在の、いわば「選挙力」を検証してみる。
まず自民党。
「勝ったからといって日本国中で自民党が支持されているかどうか。これからも慎重に対応すべき」
10月23日、衆議院東京10区と福岡6区の二つの補欠選挙にともに勝利した自民党。選挙を仕切った二階幹事長は、本来なら二勝したことで胸を張ってもいいのだが、選挙後、謙虚で慎重な言い回しをしたのだった。なぜか。
「補選の少し前に行われた新潟県知事選挙で、自民党がとても無様な負け方をした。その敗因が二階幹事長のやり方にあると批判が出てきているからです。謙虚にならざるを得なかったのでしょう」(自民党幹部)
幹事長になってまずは国政選挙の初陣となった「東京・福岡の衆院補選」を引っ張った二階氏。「勝つためには何でもアリの変幻自在」(自民党中堅議員)で、その真骨頂を見せつけた。
「自民党内で分裂選挙になった福岡6区は、事前に公認を出さず勝ったら追加公認にするというウルトラC。両方の顔を立て、結果的に自民党議席は守るということになった。東京10区も知事選で小池百合子知事とともに自民党に反旗を翻した若狭勝氏が圧倒的人気があることから、『撃ち方やめ』と公認を出した。批判や異論があっても、ただただ勝つためには何でもやりきるという二階流は凄い」(同中堅議員)
ところが、これに先立って行われたのが、東京電力柏崎刈羽原発の再稼動が実質的な争点になった「新潟県知事選挙」。こちらの方は、二階流は裏目に出て負けるはずのない戦いに敗れた。
自民党は公明党とともに森民夫・前長岡市長を担ぎ、本来は敵方である連合新潟の支援も取り付けた。森氏圧勝と誰もが思ったが、告示直後から大接戦の展開となり、野党が支える米山隆一氏が劇的な勝利を収めた。二階氏は、接戦になると分かった選挙終盤にまさに「何でもアリ」の手を打ったのだが…。
「二階さんの奇策は、これまで新潟で原発再稼動に慎重な姿勢をみせ、政府与党と対立してきた泉田裕彦・前知事と安倍首相を会わせたことです。首相は泉田さんに『当然、力を借りることもある。よろしくお願いしたい』と選挙協力を依頼。
これを仕組んだのが二階さんでしたが、新潟ではこの露骨なやり方に無党派が反発し、自民党の中にも敵に抱きつくなど、やり過ぎだという声が上がりました。つまり、今回は二階さんの何でもアリの方法が裏目に出たのです」(新潟県自民党県議)
そしてこの選挙に敗れると、安倍首相の責任問題も浮上してしまった。首相は国会の質疑でも、新潟県知事選について答弁せざるを得なくなったのだ。首相側近の一人が言う。
「私たちは安倍首相と泉田氏が会うのは反対でした。なぜなら、選挙期間中に会って選挙に介入したら、負けた場合に首相の責任も問われるからです。首相も二階さんの頼みだからと、断りにくかったんじゃないか。それでも、原発問題も絡んだ危ない地方選挙に、首相を利用するのはやり過ぎ。官邸では『二階さんの選挙手法にも、今後は注意すべきところがある』という声が出ています」
また、自民党中堅幹部は、「これで新潟では、参院選に続き原発で連敗した。今後、同じように反原発を訴える知事がいる鹿児島などで、原発を軸に現政権への反対運動が連動する可能性も出てきた。二階さんは。新潟をもっと重要視して取り組むべきだった」と手厳しい。二階氏の選挙手法に疑問が持たれるなか、決して自民党も「盤石」というわけではないのだ。
■またまた分裂気味の民進党
一方、蓮舫新代表率いる民進党の「選挙力」も怪しい。
「代表選挙で蓮舫さんに一票を投じたのは解散・総選挙を第一に考えたから。それなのに、新執行部はいったい何を考えているのかさっぱり分からない」
そうこぼすのは、落選中の元民進党衆議院議員。
新体制になって行われた新潟県知事選、衆院東京10区と福岡5区の補欠選挙は、「いずれも執行部がとった対応は、それまでの野党共闘で積み上げてきたものを台無しにしてしまった」(同元議員)という。
新潟知事選では、民進党は野党統一候補には乗らずに自主投票を決めた。原発再稼動を支持する連合に気を遣い、他の野党3党と縁を切ったわけだ。また衆院補選については、執行部は「民進党の原点回帰」と位置づけ、なんと他の野党の推薦を断ってしまった。威勢だけはよかったが、当然のごとく全敗。元議員はため息交じりにこう話す。
「岡田克也代表や枝野幸男前幹事長が懸命に進めてきた野党共闘は、参院選の1人区でしっかりと成果を上げた。蓮舫代表や野田佳彦幹事長は表向きには、『野党共闘』と言いながら、共産党には一線を引いて、栄光の旧民主党時代に先祖帰りしようとしている。もはや民進党が単独で戦えないのは、支持率を見ても明らか。それも分からないのか。世論をも読めなくなっているのかと情けなくなってくる」(同元議員)
こうした中、民進党内部ではついに執行部を差し置いて、野党共闘へ向けて個別の動きを見せる議員が出てきたのである。
■動きはじめた前原、小沢
まずは、前原誠司・元民主党代表だ。前原氏は自由党の小沢一郎代表と頻繁に会い、野党4党共闘の可能性について話し合っている。
前原氏は、同グル―プ議員らに「理念の違う共産党と同じ政党になることはない。しかし、もっとオープンに政策協議をすれば、(政策などで)共通するところがいくつも出てくるはず。じゃあ一緒に戦おうということになれば、世論も共産アレルギーのある民進党の支援者も納得させられる」と話し、「野党共闘しかない。自民党の対抗軸の政治勢力を作らなければオワリ」とまで言い切っているという。
また現執行部ながら、安住淳・代表代行も野党共闘へ動く一人だ。蓮舫・野田コンビが他の野党の推薦を蹴った今回の衆院補選では、最終盤になって安住氏が独自に共産・自由・社民に声をかけ、野党4党そろい踏みの応援演説を実現させた(民進は安住氏自らが壇上に立った)。
「安住さんは先の参院選のときに、自分の選挙区である宮城で野党統一候補を当選させた、成功体験がある。今後も独自に野党とは連絡を取り合いながらやって行くでしょう」(民進党選対幹部)
選挙での連敗やこうした党内の動きに触発され、さすがに方向転換を意識し始めたのか、先月末からようやく野田幹事長が自由党の小沢代表と数回にわたって会い、野党共闘について話し合いを始めた。
野田佳彦氏は自らが首相のときに、消費税についての意見の相違などをめぐって、小沢氏を離党させた張本人。「民主党が政権から転がり落ちたのは、小沢のせい」とばかりに、その後も徹底して小沢氏とは距離を置き、野党共闘が具体化してきていた今年春の段階でも。「野党共闘は小沢抜き」などと発言していた。
しかし、その野田氏もここへきて方向転換を見せている。
「最近の選挙で失敗した批判をかわすために、野党協力のポーズをとっているのでは」(他の野党議員)といった穿った見方もあるが、小沢氏自身が「どうも野田さんは本気のようだ」と周囲に話しているという。
野党共闘を推す市民連合幹部は、「共産党や、小沢さんと一番対極にいる野田さんが覚悟を決めて、エイヤッと本気で共闘に舵を切れば、一気に求心力を持ち、野党共闘がうまく行く」と野田氏の本気度に期待する。そもそも自民党に水をあけられている野党、とりわけ第一党の民進党にとって、新執行部の選挙戦術の軌道修正は待ったなしだ。
解散風は、決して吹き止んだのではない。水面下で与野党ともに選挙に向けた「立て直し」と「地力の強化」を行っていることからも、それは明らかだ。強弱を繰り返しながらも、永田町には風がしばらく吹き続けることは、間違いない。(了)
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