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PKO5原則はとっくに崩壊 南スーダンの修羅場と政府のウソ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/193286
2016年11月5日 日刊ゲンダイ 文字お越し
戦場」の南スーダンで「駆け付け警護」を付与(C)日刊ゲンダイ
現地がドロ沼の戦闘状態に突入している証左だろう。ケニア政府が南スーダンの国連平和維持活動(PKO)から、軍部隊を撤退させることを決めた。国連の潘基文事務総長が、7月に南スーダンの首都ジュバで起きた大規模戦闘の際、PKOの南スーダン派遣団(UNMISS)のオンディエキ軍司令官=ケニア出身=が市民保護などの対応で指導力を発揮しなかった――として更迭を決めたことに反発したのだ。
UNMISSには日本の陸上自衛隊を含む約1万3000人の部隊が参加し、うち、約1000人を派遣していた主要部隊がケニアだ。ケニア外務省は、今後は和平協議にも一切関与しない方針を示していて、UNMISSの活動に大きな影響が出るのは必至だ。ケニア政府は、自国出身の司令官の「更迭」人事について「メンツを潰された」と考えたのだろうが、撤退の理由はそれだけじゃないだろう。
ジュバの戦闘では政府軍兵士がUNMISS司令部から約1キロにある宿泊施設を襲撃して市民を殺害。女性らを暴行するなど残虐行為が繰り広げられた。救助要請を受けたUNMISSが動くに動けなかったのは、南スーダンの大統領派と前副大統領派の戦闘が激化し、それだけ現場の危険性が高まっていたことや、大混乱が生じていたということだ。おそらくケニア政府は、UNMISSに参加していると、いずれは自軍兵士にも戦死者が出るのは避けられないと判断したに違いない。
2014年に陸自の研究本部が南スーダンの自衛隊活動をまとめた報告書でも「(大統領派と前副大統領派の衝突で)南スーダン情勢が混沌とした状態となり、従来の施設活動への復帰の見通しが全く立たない」「(部隊長が)平成26年1月8日、『緊急撤収計画』を決裁した」とあった。ジュバの自衛隊宿営地周辺では治安状況が悪化し、全隊員が防弾チョッキや鉄帽を着用し、武器・弾薬を携行しているというから、もはやジュバは「戦場」と言っていい。
■「駆け付け警護」の任務が付与された自衛隊を送り込めば最悪の事態に
そんな危険地帯に派遣される次期陸自部隊に新たに「駆け付け警護」を付与する方針を示しているのが安倍政権だ。15日にも閣議決定するとみられているが、「駆け付け警護」は、武装勢力などに襲われた国連やNGOの要員らを、武器を持って助けに行く任務だ。当然、相手から反撃を受けることが予想されるため、自衛隊員のリスクはグンと高まる。創設以来、1人の死者も出さず、1人の戦死者も出さなかった自衛隊の戦後史が大きく変わる可能性は高い。
それなのに安倍首相の姿に緊迫感は感じられない。4日も、たった1日だけジュバを視察した柴山昌彦首相補佐官から「市内は落ち着いた状況。治安を脅かす動きは全く見て取れなかった」という能天気な報告を受け、「(駆け付け警護は)しっかり検討していく」と意欲マンマンだった。そもそも、ジュバが「落ち着いた安全な場所」であれば、わざわざ自衛隊に「駆け付け警護」を付与する必要はない。いつものウソと詭弁で塗り固めたデタラメの説明だ。元外交官の天木直人氏がこう言う。
「ケニア軍の撤退理由はハッキリしています。治安情勢が最悪だからです。しかし、安倍政権にはそんな当たり前のことが見えていない。いや、分かっていても自衛隊に『駆け付け警護』を何が何でもさせたいのでしょう。そうでないと、何のために安保法を強行採決したのか――となるからです。いずれにしても、今の南スーダンに『駆け付け警護』を付与した陸自を送り込めば、最悪の事態を招くことになりかねないことを覚悟した方がいいでしょう」
ジュバ視察をわずか7時間で終えた稲田防衛相(C)日刊ゲンダイ
PKO参加5原則に反する安倍政権を批判しない大メディア
「戦闘行為ではなく散発的な衝突」(稲田朋美防衛相)
「武器を使って殺傷、あるいは物を破壊する行為はあったが、戦闘行為ではなかった」(安倍首相)
ジュバの戦闘では、中国のPKO派遣部隊に死者が出たり、300人近い市民が犠牲になったりした。これを「戦闘ではなくて衝突」なんてゴマカシの国会答弁を続けているのが安倍政権だ。内戦状態と認めれば、「停戦合意の成立」といったPKO参加5原則に反する。デマカセを言っているのは明らかなのだが、許し難いのは、そんな不誠実極まりない安倍政権を批判しない大メディアだ。
〈南スーダンの内戦泥沼化の恐れ〉(産経)、〈南スーダンで戦闘『内戦に戻った』〉(朝日)、〈政府軍と反政府勢力の間で戦闘が再燃し〉(NHK)……。ジュバの内戦直後、大新聞テレビはそろって「内戦・戦闘」と報じていた。ところが、それでも大メディアに自衛隊の南スーダン派遣が「PKO参加5原則に反する」と安倍政権を追及する論調は見られない。防衛省の担当記者が、ジュバの視察時間をわずか7時間で終えた稲田に対して会見で厳しい質問をぶつけた形跡もない。大メディア記者は、ケニア政府のPKO部隊撤退についても、どれだけ現地が深刻な状況なのかを伝えず、「ケニア軍が主として展開している地域は、自衛隊が展開している地域とは異なり、直ちに影響が出るとは思っていない」と言い放った菅官房長官の発言をタレ流ししただけだ。
安保法で任務が大転換した自衛隊が初めて「殺し殺される」舞台に送り込まれようとしている瀬戸際なのに、大メディアの報道姿勢は安倍政権と同じで緊迫感は皆無だ。
南スーダンで避難民支援に当たっている非政府組織(NGO)の「日本国際ボランティアセンター・スーダン事務所」の今井高樹代表が10月中旬に都内で講演した際、「(現地の)和平合意は崩壊し、内戦状態に戻っている」「(駆け付け警護は)日本への敵対心を高め、リスクが高い」と批判していたが、大きく報じたところはチョボチョボだった。
「平和維持」「警護」なんて言葉にカムフラージュされているが、ジュバは明らかに「戦場」だ。本来であれば、こうした事実をきちんと伝えて国民に警鐘乱打すべき役割を担っているのが大新聞テレビだろう。軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。
「防衛省担当の記者の中で、武器には多少、詳しくても、南スーダンの緊迫した情勢に精通した記者はいないでしょう。軍事の世界情勢を知らず、専門的見地にも乏しいと言わざるを得ない。その上、情報源は幕僚監部だから、政府の言うがままの報道になる。大本営発表と変わりません。まっ、仮に『PKO参加5原則に反している』なんて報道すれば、記者クラブを出禁でしょうからね。私が取材したイラクもルワンダも当時、日本では『非戦闘地域』と報道されていましたが、現地の状況は全く違っていました。おそらく南スーダンも同様の状況だと思います」
防衛省担当以外の政治部、社会部記者の報道姿勢も変わらない。この国の大メディアは、先の大戦から何も学んでいない。結局は権力のお先棒を担ぐだけの腐敗、堕落機関である。
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