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経済効果の嘘と合理化の落とし穴
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2016.11.04 きっこのブログ
政治家や経済評論家たちが好んで使う言葉に「経済効果」と「合理化」があり、この2つは、たいてい何かの大事業を推進する時の大義名分として利用される。「TPPに参加すれば12兆円の経済効果が見込め、競争の原理が働くために一次産業の現場にも合理化が進む」とか「2020年の東京オリンピック開催による経済効果は少なくとも3兆円で、開催にともなったインフラ整備で都市交通の合理化も進む」とかって感じだ。
だけど、こんなのがデタラメだということは、過去の例からも明らかだ。たとえば、1998年2月に開催された長野冬季オリンピックでも、誘致の段階から「経済効果」という言葉が何度も繰り返され、それをヨリドコロにして100億円から350億円の箱モノ会場が6つも造られたけど、現在、すべてが赤字運営で、18年経った今も長野市は借金を返済し続けている。スキージャンプ台などを建設した白馬村に至っては、借金が120億円近くまで膨らんでしまった。これらの借金を長野市の世帯数で割り算すると、1世帯あたり約350万円の借金になると言われている。
1972年に開催された札幌冬季オリンピックにしても、たった10日間の大会のために大規模な自然破壊と莫大な借金を背負うこととなり、その借金を返済するために札幌市の住民たちの市民税が引き上げられ、市民たちは30年間もかけて返済されられたのだ。そして、つい最近、ようやく返済が終わったと思ったのもトコノマ、またまた2026年の冬季オリンピック招致に名乗りをあげた札幌市長、バカ丸出しとはこのことだ。ようするに、巨大な公共事業で自分たちだけがカネ儲けをして、そのツケを市民たちに尻拭いさせるという「オリンピックならぬ利権ピック」といったところだろう。
もちろん、こうした愚行は日本だけじゃない。イタリアなんか1960年に開催されたローマオリンピックの借金を、半世紀以上も過ぎた現在もセッセと返済し続けているのだ。そして、市が作った借金を返済させられているのは、日本と同じく市民たちなのだ。56年も前のオリンピックなんだから、今、借金を返済させられている市民たちの多くは、自分が生まれる前のことだろう。自分が生まれる前のオリンピックの借金を払わされるなんて、これほどバカバカしい話はないと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、もともとある競技場や会場を使ってオリンピックを開催するのなら、それなりの「経済効果」が見込まれるかもしれない。だけど、オリンピック招致が莫大な予算にたかるシロアリのようなゼネコンと癒着議員たちの利権の巣となっている今、「自分さえ儲かればいい」「後のことなどどうでもいい」と思ってる守銭奴たちの口から連呼される「経済効果」という言葉など、誰が信じると言うのか?
TPPにしても、政権に返り咲いた安倍晋三首相が手のひらを返して「TPP交渉参加」を表明した2013年3月の時点では、安倍政権の御用経済学者は「経済効果は3兆円」と言っていたけど、その1年後には「経済効果は6兆円」に変わり、今では「経済効果は12兆円」になってしまった。ヤフオクじゃあるまいし、何だこれ?
だから、東京オリンピックにしても、今までは「経済効果は3兆円」と言われてたけど、利権に群がるゼネコンと癒着議員たちによって開催費用が「3兆円」にまで膨れ上がってしまった今、「3兆円かけて3兆円の経済効果じゃプラマイゼロじゃん!」とツッコミを入れられちゃうから、近いうちに「東京オリンピックの経済効果は6兆円」とか「東京オリンピックの経済効果は10兆円」とかいう「新しい試算」がシレッと発表されそうな予感がマンマンだ。
‥‥そんなワケで、長野オリンピックを招致した時に「大きな経済効果が見込まれる」と連呼した政治家や経済評論家たちが、これほどの借金地獄に陥った今、誰1人として責任を取っていない現状からも、これがまったく信用できない言葉だということは一目瞭然だろう。そして、もう1つの「合理化」という言葉も同様だ。小泉純一郎と竹中平蔵という売国奴コンビが「新自由主義」を推進して、日本を弱肉強食の格差拡大社会にした時、何かにつけて枕詞のように連呼したのが、この「合理化」だった。
小泉純一郎と竹中平蔵は、「合理化」の名のもとに規制緩和を乱発し、「合理化」の名のもとに人員削減のリストラを進め、「合理化」の名のもとに社会保障や福祉を縮小し、現在の安倍政権による「トリクルダウン」とかいう「大企業や富裕層が儲かれば、そのうちシモジモの庶民にもオコボレが滴り落ちる」という国民をバカにしまくったペテン政策の基盤を作ってしまったのだ。
もちろん、世の中に必要な「合理化」はたくさんある。たとえば企業コンサルタントとかは、ダラダラと長時間の会議を続けることの無駄を指摘して、短時間で合理的な会議をするように提唱する。あたしは、こうした「合理化」には、もちろん賛成だ。だけど、大事業を推進する時の大義名分としての「合理化」という言葉は、「経済効果」と同様に、あたしにはウサン臭くしか感じられない。
その最たるものが、「リニア中央新幹線」だ。現在の計画では、2027年に東京の品川から名古屋までが開業して、2045年には大阪市まで延びる予定だけど、こんなもん造ったって「百害あって一利なし」だ。推進派の人たちは、口をそろえて「移動時間の短縮」という「合理化」を大義名分にしてるけど、品川から名古屋までなら新幹線の「のぞみ」で1時間30分で行ける。そして、「リニア中央新幹線」なら約40分に短縮できると言われてるけど、これはあくまでも、どの駅にも停まらないで最高速度で直行した場合の試算であって、途中の駅に停まりながら走行したら1時間12分かかるのだ。
現行の新幹線より、たった18分だけ短縮するために、5兆円もの事業費を投入して、大規模に自然を破壊して、多くの沿線住民に迷惑をかけて、新幹線の3倍もの電力を使って、いったいこれのどこが「合理化」なのか?その上、「リニア中央新幹線」は全長の9割がトンネルだけど、これだけ地震が頻発してる国で、こんなものを走らせるなんて正気の沙汰じゃない。近い将来、起こる可能性が高いと言われてる「南海トラフ巨大地震」が発生したら、最も被害を受けるのが、この「リニア中央新幹線」が計画されている東京以西の太平洋側だ。長いトンネルの中で生き埋めになっても、誰にも助けることはできない。
‥‥そんなワケで、小泉純一郎と竹中平蔵が「新自由主義」を推進してから、何かと言えば「経済効果」と「合理化」という言葉が、まるで水戸黄門の印籠のように使われて来て、それがあたかも正論であるかのような風潮になっちゃったけど、果たしてホントにそうなのだろうか?これまで自民党政権がやって来たことを見てると、あたしにはどちらの言葉も、守銭奴たちが「何よりもカネ儲けが最優先」と言ってるようにしか聞こえないからだ。
「経済効果」は重要だし、「合理化」も重要だけど、それがすべてじゃないし、ましてや、大事業を推進して新たな利権を生むための大義名分などに使われたら本末転倒だ。最近では、「コストパフォーマンス」を略した「コスパ」という言葉を連呼する人がいるけど、これも「経済効果」や「合理化」と同じで、それなりには重要だけど、最優先すべきことじゃない。「コストパフォーマンス」を最優先すれば、当然、製品やサービスの劣化が生じるからだ。
「経済効果」が見込めないから社会保障や福祉を縮小するのか?自立を促すという詭弁で障がい者への支援を打ち切ることや、要介護者への介護を縮小することが「合理化」なのか?こうした自公政権の方針が、あたしにはまったく理解できない。
‥‥そんなワケで、皆さんご存知のように、あたしは、日本のプロ野球、それもパリーグが大好きなんだけど、今年のレギュラーシーズンで、セパ両リーグの選手やファンをイライラさせたものに「コリジョンルール」があった。ようするに、ホームベース上でのクロスプレーによる選手のケガを回避するためのルールなんだけど、正直、理念が先にあってのルールだったために、選手や審判たちの実務での面で対応が追い付かず、シーズン中にルールを見直すという異例の事態に発展した。
そして、この「コリジョンルール」に続いて、またまたメジャーリーグの猿マネで導入されそうな大バカルールが「敬遠申告制度」だ。野球では、点差やアウトカウントや走者や相手の打順によって、強いバッターに「敬遠」と言って故意にフォアボールを投げることがある。タイムリーでも打たれて得点されるよりは、フォアボールで1塁に歩かせて、次のバッターでゲッツーを狙った方が良いという判断だ。
でも、メジャーリーグでは、この「敬遠」のフォアボールを「合理的ではない」と判断したのだ。今年5月にニューヨークの本部で行なわれたメジャーリーグ・オーナー会議で、少しでも試合を合理化して試合時間を短縮するために、そのバッテリーが「敬遠」を宣言すれば、いちいち4球もボールを投げなくても、宣言した時点でバッターは1塁へ出塁していいというルール変更が合意され、来シーズンから導入されるのだという。
このニュースを知って、あたしは「アホか?」と思った。だって、いくら「敬遠」のフォアボールだって、キャッチャーの捕れない大暴投をして、3塁ランナーがホームに滑り込んで1点を獲るケースだってあるし、さらには、新庄剛志のように敬遠のボール球を打ってヒットにしてしまう選手だっているからだ。こうした特例がある以上、宣言しただけで「敬遠」を成立させてしまっては、わずかな可能性の芽を摘むことになってしまう。
つーか、こんなバカバカしいルールを作ってまで、わずかな時間を短縮するほど「合理化」が大事だと思っているのがメジャーリーグのオーナーたちなら、そのうち、ホームランを打った選手の「ダイヤモンド一周」も割愛しろとか言い出しそうだ。ホームランは、打球がスタンドに飛び込んだ時点で決定するのだから、打ったバッターだけでなく、2塁や3塁にいた走者も、ベースを回らずにそのまま戻って来ればいいことにされてしまいそうだ。もしも、こんなことになったら、野球の醍醐味は大幅に消失してしまうし、選手たちのモチベーションだって下がってしまうだろう。だけど、何よりも「合理化」を優先する人たちには、こうしたファンや選手たちの気持ちなどカケラも分からないのだ。
‥‥そんなワケで、あたしは、「経済効果」も「合理化」も大切だとは思うけど、決してこれらが水戸黄門の印籠だとは思ってないし、ましてや開発のための大義名分になどなりえないと思ってる。「経済効果」が見込めなくても重要なことはたくさんあるし、「合理化」をはかることで大切なものが失われてしまう場合だってあるからだ。東京から名古屋までの移動時間をわずか18分短縮するために、かけがえのない自然を破壊し、膨大な電力を使い、いったい何がしたいのか、あたしにはまったく理解できない。こんな無駄なものを作るよりも、ソーラーシステムで東京から名古屋までを新幹線の3倍の時間をかけてのんびりと走り、車内で美味しいお弁当やお酒が楽しめて、足湯に浸かりながら車窓を流れる景色を眺めることもできる「のんびり足湯列車」でも作ったほうが、これから訪れる高齢化社会には遥かにマッチすると思った今日この頃なのだ。
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