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ドゥテルテ比大統領(左)来日歓迎式典での安倍首相(C)AP
“中国憎し”の色眼鏡で見るから評価が上がらない安倍外交 永田町の裏を読む
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/193074
2016年11月3日 日刊ゲンダイ
フィリピンのドゥテルテ大統領の二枚舌どころか三枚舌まで駆使する老獪な対中・対日外交にすっかり翻弄されて、呆然と立ちすくんでしまったかのような安倍晋三首相である。安倍は、南シナ海問題を抱えるフィリピンを“準同盟国”と位置づけて、比沿岸警備隊に大型巡視船を供与し、同海軍に練習機を貸与するなど軍事協力を強化して「対中包囲網」に組み込もうと躍起となってきたが、あっさり肩を外された格好になった。
外交に詳しい野党議員が言う。
「安倍さんは頭が単純で、米国を盟主とした軍事的包囲網で中国を封じ込めようという冷戦時代の安保観から一歩も成長していない。この時代錯誤の拝米反中の思想が、この件に限らず、日本の外交をよろず混乱に陥れている」
TPPを最優先しているのも、それが経済面からの対中包囲網になると勝手に政治的に解釈しているからである。ところが米国は、2人の大統領候補が反対を口にしているだけでなく、オバマ自身も「最初から最大の輸出市場である中国をTPPに組み込まなかったのはちょっと失敗だったな」と思い始めているから、あまり熱心ではない。すると安倍は、「オバマの対中姿勢はあいまいだ」となおさらムキになって米国より先に批准してオバマの尻を叩こうとする。
他方、TPP審議に手間取ったこともあって、温暖化対策の「パリ協定」批准のための審議は進んでおらず、主要国では唯一、11月4日の発効に乗り遅れてしまった。それで安倍が平気でいるのは、パリ協定は米中が協調して率先批准して世界の流れをつくったことが気に入らないからで、オバマがTPPよりもこちらを優先しているのは彼の対中姿勢のあいまいさの表れと解釈しているからである。
核兵器禁止条約に反対したのも、中国・北朝鮮の核の脅威に直面している以上、米国の核抑止力に頼らざるを得ないという発想からのことで、唯一の被爆国として核保有国と非保有国との間をどう橋渡しするかという本来の役目は放棄してしまった。
北方領土問題に前のめりになるのも、ロシアを対中包囲網に引き込みたい一心からのことで、こんなことではドゥテルテより10倍もしたたかなプーチンに足元を見られるに決まっている。何もかも「中国憎し」の色眼鏡で見るから、安倍外交はバタバタするばかりで何も成果を挙げられず、国際的な評判が落ちるばかりなのである。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中
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