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家宅捜索されたイスラム法学者の中田考氏(画像は『私はなぜイスラーム教徒になったのか』(太田出版)より)
イスラム法学者・中田考氏の家宅捜索は安倍政権=公安による報復不当捜査だ! 公安が官邸の特務機関と化した恐怖
http://lite-ra.com/2016/11/post-2664.html
2016.11.02. 官邸と公安が中田考氏を報復不当捜査 リテラ
10月31日、イスラム法学者の中田考氏が警視庁に家宅捜索された。中田氏は「イスラム国」も掲げるカリフ制を支持しており、イスラム国とパイプがあると言われている人物。2014年、北海道大学の学生がイスラム国に参加する目的で渡航しようとした件でも、仲介人としてクローズアップされたし、「イスラム国日本人殺害事件」では現地司令官に接触を試みるなど、人質救出の仲裁役を買って出ていた。
もっとも、今回の家宅捜索の容疑は古物営業法違反。中田氏は現在、豊島区でリサイクル店を経営しているが、盗品の売買を避けるため義務づけられている帳簿の記録を残していなかったとして捜索が入り、今後、逮捕の可能性も浮上しているという。
もちろん、これは明らかな別件でっちあげ捜査だ。古物営業法の「古物台帳の備付、記録、保存違反」はかなりの微罪で、この容疑で家宅捜索が行われることはほとんどない。しかも、古物営業法は本来、生活安全部の担当だが、今回の中田氏の家宅捜索は、国際テロを担当する警視庁公安部が仕切っていたという。
「警視庁は目白署の生活安全部が捜索を行ったと報道陣には説明していたが、実際は、公安部外事3課が目白署に出張ってやっていたんです。生活安全部に机を置いて捜索を指揮していました。押収後も、古物営業法違反なのに店の帳簿などは一切見ずに、ひたすら中田氏のスマホの解析を行っていたようです」(公安関係者)
もともと中田氏は、14年9月、拘束されていた湯川遥菜さんの裁判での通訳をイスラム国側から依頼され、ジャーナリストの常岡浩介氏とともにイスラム国の支配地域に赴いたことがあり、その際も帰国後、イスラム国の関係先として公安から家宅捜索を受けていた。しかし、このときも犯罪やテロにつながるようなものは一切出てきていない。にもかかわらず、なぜ今頃、家宅捜索を行ったのか。
「完全に嫌がらせでしょう。中田さんは、湯川さんと後藤(健二)さんが殺害された後、日本政府の失態を次々暴露していましたからね。2人の拘束後、イスラム国司令官から日本政府がイスラム国に送っていた間抜けな音声メッセージを入手した事実を明かし、その音声を公開しましたし、司令官の要求を日本政府に伝えたのに、無視されたことも告発していた。官邸はこうした中田さんの動きに相当激怒していて、公安に『中田を黙らせろ!』と厳命。それを受けて、公安はずっと逮捕や再捜索のチャンスをうかがっていたんですが、容疑がない。今回、ジャーナリストの常岡さんがイラクでクルド自治政府に拘束されたことで官邸からさらにプレッシャーをかけられ、何もないのを承知でガサ入れしたんじゃないでしょうか。公安としては事件にならなくてもいいんです。ガサ入れして新しい情報を得られたら、それで成果になる部署なので、片っ端から容疑をでっちあげて、ガサ入れだけかけまくるんですよ」(全国紙公安担当記者)
まさに公安らしい卑劣なやり口ではあるが、しかし、こうした不当捜査や別件逮捕はこの数年、「昔からの警備・公安の常套手段」という話では済ませられないくらい激増し、露骨になっている。
たとえば、今年5月14日には東京・JR立川駅前で「安倍政権打倒」のビラを配った中核派全学連の活動家が通行人を突き飛ばしたとして逮捕されている。この男性がビラを配っていたのは昨年12月のことだが、今年5月に沖縄のデモに参加しているところで逮捕されるというものだった。
また、7月14日には、政権批判ビラをまく目的でホテルに侵入したとして、兵庫県警が男性4人を逮捕する事件も起きている。男性らは「憲法改悪に反対しよう」というビラを所持していたとして逮捕されたが、当時ホテルでは組合関係の会議が開かれており、どこが建造物不法侵入なのかも不明の逮捕だった。その後、男性らが革マル派の活動家だったとして、東京新宿区の「解放社」に家宅捜索が行われている。
マスコミも国民も「過激派だからしようがない」という感じで一切問題視していないが、この公安の暴走はどんどんエスカレートしている。
昨年の安保法制が大きな批判を浴びていた8〜9月には、都内の複数の駅トイレで安倍政権批判の落書きが見つかったが、これに対し、警察が器物損壊の容疑で捜査に着手。さらに参院選の公示前の6月18日夜、別府警察署の捜査員が民進党や社民党の支援団体などが利用していた建物の敷地内にビデオカメラ2台を設置、この件には署長以下幹部もかかわっていたことが判明している。
ようするに、政権に反対する動きを、警察が片っ端から監視し、捜査権を使って抑え込もうという動きが出てきているのだ。
これは、本サイトでも指摘してきたように、安倍政権で公安出身の杉田和博官房副長官と内閣情報調査室の北村滋情報官が重用され、公安警察という組織自体が「官邸の特務機関」化してしまったためだ。しかも、最近は公安のほうも増長し、やりたい放題になっているのだという。
「官邸に命じられて反対派を取締まったり監視するケースはもちろんありますが、最近は公安のほうが官邸に気に入られようと、競うように、安倍政権に敵対する勢力を監視、摘発するようになった。しかも、多少の違法捜査をしても上層部からもマスコミからもほとんど批判を受けないため、イケイケの状態になっています」(前出・全国紙公安担当記者)
中田氏の違法家宅捜索は氷山の一角でしかない。この国は安倍政権によって、いつのまにか警察国家、言論弾圧国家になってしまったのである。
(田部祥太)
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