http://www.asyura2.com/16/senkyo215/msg/301.html
Tweet |
なぜ黒田総裁は辞めないのか デフレ逆噴射が始まった
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192933
2016年10月31日 日刊ゲンダイ 文字お越し
いつまでやるのか(C)日刊ゲンダイ
凄まじい勢いでデフレが進行している。モノの値段がどんどん下がり始めているのだ。28日に発表された9月の消費者物価指数は、前年同月比0.5%の下落だった。物価の下落はこれで7カ月連続である。日本経済はデフレ不況に逆戻りしている。
安倍首相は二言目には「だから民進党は」とバカにしているが、物価の下落は民主党政権時代の比じゃない。足元の消費者物価は、ピークの2014年10月から23カ月間で0.7ポイントも下落している。民主党政権の最後の23カ月は0.3ポイントの下落だった。
モノの値段が下がるのも当然である。家計支出は実質13カ月連続で減少している。モノを買わないのだから、値段が上がるはずがない。
経済ジャーナリストの松崎隆司氏がこう言う。
「日本経済はすっかりデフレ経済に戻っています。まず、高いモノが売れない。地方を中心にデパートが次々に閉鎖に追い込まれています。繁盛しているのは、串カツ1本100円〜がウリの『串カツ田中』や、280円均一が受けている居酒屋『鳥貴族』など激安店です。値上げした『ユニクロ』はパッタリ売れなくなり、慌てて値下げしている。『吉野家』も安売り競争から抜け出そうとしたが、客離れに苦しみ、安い“豚丼”をメニューに追加しています。エンドユーザーに接している経営者は、まだまだデフレは続くと腹を固めていますよ」
無責任なことに、日銀の黒田総裁も“デフレ脱却”を諦め始めている。日銀は31日と11月1日、「政策決定会合」を開き、「物価の展望リポート」を公表するが、2%目標の達成時期を、現在の「2017年度中」から「18年度以降」に先送りする予定だ。黒田総裁の任期が終了する18年4月までに、“デフレ脱却”は果たせないということである。
■デフレの原因を理解していない
この3年半、黒田日銀が続けた「異次元緩和」は一体、何だったのか。2013年4月の就任時、黒田総裁はエラソーに「2年で2%」と物価上昇を公約していたはずだ。岩田規久男副総裁に至っては「実現できなかったら辞任する」と豪語していた。2人ともなぜ、辞めないのか。責任をどう取るつもりなのか。よくも、恥ずかしげもなく総裁を続けられるものだ。
黒田日銀の「異次元緩和」が失敗に終わった理由は、ハッキリしている。日本経済がデフレ不況に苦しんでいる原因を見誤ったからだ。
「黒田総裁や岩田副総裁を代表とするリフレ派は、マネタリーベースさえ増やせば、デフレ脱却できるという考え方でした。デフレは貨幣的な現象だと思い込んでいた。だから、市場をマネーでジャブジャブにする前代未聞の“異次元緩和”に踏み切ったのでしょう。しかし、明らかな誤診です。20年近くもデフレが続いているのは、国民の将来不安が強いからですよ。将来に備えて貯蓄に励み、モノを買わない。経営者も、日本経済の将来に展望を持てないから投資しない。将来に明るい見通しがあったら、人は活発に消費するもの。経済は人の営みなのに、黒田総裁は国民を見ようとしない。異次元緩和が失敗した原因は、そこですよ」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
国民の将来不安を解消するためには本来、金利を4%程度まで引き上げるべきだったのに、マイナス金利まで導入したのだから最悪である。金利4%なら年金運用もラクになる。年金運用の定番である「10年物国債」の利回りは、1990年には6%あったのに、今やマイナス0.1%前後だ。国民が「年金制度は崩壊する」と不安を強めるのも当然である。黒田総裁も岩田副総裁も、まったく庶民の気持ちが分かっていない。
国税当局はタワーマンションに課税強化の方針(C)日刊ゲンダイ
不動産バブル崩壊が迫っている
そもそも「物価2%上昇」を掲げたことが正しかったのかどうか。日経新聞のコラム「大機小機」が指摘していたように、物価2%引き上げに固執すれば、電気料金や授業料の値上がりもプラスという倒錯的な思考に陥りかねない。何より2%に縛られ、ムリヤリ物価を上げるために、副作用の強い政策を乱発することになってしまう。
実際、黒田日銀は、後先を考えずに「国債80兆円購入」「マイナス金利導入」「ETF6兆円購入」と副作用の強い政策を次々に実施。その結果、日本経済は深刻な事態に直面している。目前に迫っているのが「不動産バブルの崩壊」である。
日銀の統計によると、金融機関の不動産業向け貸出残高は、今年3月末時点で67兆6991億円と過去最大に膨れ上がっている。不動産バブルに日本中が踊った1980年代後半を上回る異常な数字である。不動産価格は高騰し、全国の商業地の地価は9年ぶりに上昇した。
ところが、とうとう「不動産バブル崩壊」の兆候が表れ始めている。2016年度上半期の首都圏のマンション発売戸数は、前年に比べて12・4%減。24年ぶりの低水準だった。不動産バブルが崩壊したら、大不況に陥るのは確実である。
「不動産業向けの融資が膨らんだのは、日銀が異常な低金利にしてしまったからです。運用先に困った金融機関が唯一、金利を稼げるのが不動産融資でした。危険だと心配しながら融資するしかなかった。しかし、不動産バブルが崩壊したら、日本経済は物凄い打撃を受けてしまう。資産価格の下落が景気を冷やすだけでなく、分譲価格や賃貸価格が下がることで、デフレを加速させてしまうでしょう。もちろん、金融機関は巨額な不良債権を抱えることになります。心配なのは、国税当局が課税強化の方針を打ち出したことで、“節税対策”で買われてきたタワーマンションの価格が急落することです。不動産バブル崩壊の引き金になる可能性もあります」(経済評論家・斎藤満氏)
■発想は中国共産党と同じ
「2%の呪縛」に陥った黒田日銀は、日本経済から「市場機能」まで奪ってしまった。
「異次元緩和」などと称して、日銀が毎年80兆円も「国債」を買い続けているために、債券市場は、今やプレーヤーは日銀だけという状況である。
株式市場もマーケットの機能を失っている。日銀がETFを年間6兆円も買うようになったことで、活気を失い、取引をしているのは、日銀とGPIFと外国資本だけというありさまである。一般投資家は株式市場から手を引き始めている。東証1部の売買代金は、1日当たり1兆8000億円という少なさである。アベノミクスの初期は4兆円だったのに、半分以下に縮小してしまった。
「個人投資家は、株価が下がったところで買うのが鉄則です。なのに、日銀がETF購入で株価を買い支えているために、株価が下がらず“買い場”を失っている状況です。買いたくても、日経平均が1万7000円台では、企業業績の実態と比べて高過ぎるので怖く手を出しづらい。政府日銀が今、やっていることは、中国政府と同じです。上海株が暴落した後、中国共産党は必死に市場をコントロールしています。その結果、市場が歪み、取引規模は10分の1に縮小してしまった。政府日銀がやっていることは、市場を殺しているのも同然です」(斎藤満氏=前出)
「異次元緩和」は3年半続けてもデフレから脱却できず、しかも、とんでもない弊害を日本経済にもたらしている。最大の問題は「失敗しました」では済まないことだ。もう3年半前には戻れない。黒田総裁は一体、この落とし前をどうつけるつもりなのか。
関連記事
物価2%目標先送りで囁かれる黒田総裁「任期延長」の悪夢(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/16/senkyo215/msg/298.html
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK215掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。