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先の戦争に対する天皇家の深い思い
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16年10月29日 永田町徒然草
「偽りを述べる者が愛国者とたたえられ、真実を語る者が売国奴と罵(ののし)られた世の中を、私は経験してきた。」
これは、去る10月27日100歳でご逝去された三笠宮崇仁(みかさのみや・たかひと)様の太平洋戦争に関する述懐である。三笠宮様は、南京陥落から約5年後の1943年に、中国派遣軍総司令部参謀として赴任された。軍紀の乱れを知り、現地将校を前に「略奪暴行を行いながら何の皇軍か」などと激烈な講話をされた。当時を回顧した1956年の著書「帝王と墓と民衆」では、「聖戦」とはかけ離れた現実に「信念が根底からゆりうごかされた」とも述懐されている。詳しくは東京新聞のこの記事を参照されたい。
昭和天皇の弟君である高松宮様が、自らのご著書で太平洋戦争や当時の軍の実情を批判的に述べられていることに、私は注目する。これはひとり高松宮様の思いだけでないのではないか。天皇家全体が抱く先の戦争に対する思いなのではないだろうか。今上天皇が、先の戦争に対する深い反省を述べられ、かつ戦没者の慰霊に努めておられるのも、こうした思いに基づくものと私はいつも敬意を禁じ得ない。
天皇の譲位に関する“有識者会議”なるものが発足した。その顔ぶれやヒヤリング対象者などを見るにつけ、どうも安倍首相がおかしなことを画策しているように思えて仕方ない。どう考えても法改正か法制定が必要なことは疑いない。その場合、全党一致で行うことがいちばん大切である。そうだとしたならば、有識者会議も大事だが、早くから各政党から代表を選んでもらって、協議を始めることが重要である。この問題は、全党賛成で法改正などを行う必要がある。それが今上天皇のお気持ちであろう。
世界中でいろいろなことが起こっている。私がいまいちばん知りたいのは、イラクのモスルがどうなっているのかだ。イラク政府や有志国連合側の情報はあるが、その反対側の情報は皆無に等しい。シリアのアレッポなどの情報も私は知りたい。戦闘は現実に行われおり、毎日多数の死傷者が出ているのだ。これはもう戦争である。戦争の全貌は、やはり両面から見なければ本質を見誤る。ベトナム戦争の時は、ベトナム側がそれでもかなり情報が入ってきた。
連日のようにテレビでは、小池東京都知事に関することが流されている。私にしてみれば、どうでもいいことばかりである。それは前号の永田町徒然草で述べた通りだ。そんなことより、世界は間違いなく大きく変化しつつある。そして、その原因には、文明史的なものがある。それだけに幅広い観点からいろいろなことを私たちは学ばなければならない。読書の秋である。いろいろな本を買ってきて、私も少し勉強しようと思っている。
それでは、また。
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